◇国内男子◇ゴルフ日本シリーズJTカップ 最終日(1日)◇東京よみうりCC(東京)◇7002yd(パー70)◇晴れ(観衆5051人)悪天候の影響で36ホールの短縮競技になった8月「フジサンケイクラシック」の最終日。ディフェンディング大会を…
◇国内男子◇ゴルフ日本シリーズJTカップ 最終日(1日)◇東京よみうりCC(東京)◇7002yd(パー70)◇晴れ(観衆5051人)
悪天候の影響で36ホールの短縮競技になった8月「フジサンケイクラシック」の最終日。ディフェンディング大会を16位で終えた金谷拓実は、雨の中の練習グリーンで球を転がし続けていた。「最後に力を発揮するには練習量だと思って。根性で練習していました」。頂点に立つために、今まで以上にがむしゃらだった。
プロ転向当初は、海外進出への通過点だと思っていた「賞金王」。「1試合1試合、一打一打に対する気持ちは、他の選手より大事にしていると思う。それを発揮するために練習している」。練習量もゴルフに向き合う姿勢も、他のプロに引けを取らない自信がある。それが望む結果に結びつかないもどかしさはこの数年で味わった。プロ転向後国内で通算6勝をあげても、2020-21年がランキング2位、昨年は3位と頂点には届かなかった。
足りないものを挙げるとしたら、「気持ちに波が出てしまう」。上に行きたい思いが強いほど、空回りしてしまう時がある。昨年の中島啓太との賞金王争いも、周囲からの期待を思うと「すごく苦しい思いをした」とプレッシャーをうまく消化できない。今季は賞金王に関するニュースも、数字を追うこともシャットアウト。「ずっとネットニュースも見ない。申し訳ないけど…。どういった状況でも、自分がベストをつくすだけ」と決めた。
賞金王レースが佳境を迎え、平田憲聖と約1112万円差で迎えたシーズン最後の4試合。11月「三井住友VISA太平洋マスターズ」は、単独首位で出た最終日に「72」と伸ばせず10位で終えて逆転できずに終わった。「でも、そういうチャンスを作り続けていけば、つかめるときがあると思って」と、翌週「ダンロップフェニックス」9位、「カシオワールドオープン」16位で終えて最終戦を迎えた時点で平田との差を288万円に縮めていた。
「初日は少しナーバスに見えたけど、そこからは落ち着いていて、素晴らしいプレーだった」と話すのはエースキャディのライオネル・マティチャック氏。逆転するには少なくともトップ10前後の成績が求められる。初日「71」と出遅れたが、2日目に「65」をマークして4位タイ。最終日は終盤17番(パー5)で10mのイーグルパットを入れる勝負強さを見せて、単独3位で賞金王を決めた。
昨年タイトルを競った中島啓太は「終盤で力を発揮できるのは、日ごろの努力の積み重ね。気持ちの強さがあると思う」と話す。最終戦での逆転賞金王は、ツアー史上3人目。「とくに最後の5ホールは、最後は気持ちだと思ってプレーしていた」。約516万円差で競り勝った賞金王のタイトルは、“根性”と気持ちの強さでつかみとった。(東京都稲城市/谷口愛純)