日本では鳴かず飛ばずだったヘイグ。(C)産経新聞社 批判を受けた日本での挑戦から8年。元阪神の助っ人であるマット・ヘイグ…

日本では鳴かず飛ばずだったヘイグ。(C)産経新聞社

 批判を受けた日本での挑戦から8年。元阪神の助っ人であるマット・ヘイグは、後進育成のために汗をかいている。現地時間11月21日には、MLBの古豪パイレーツの打撃コーチ就任が発表された。

 決して華のある助っ人ではなかった。日本での成績はむしろ人気球団においては「期待外れ」と言える部類に入る。

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 2015年のオフに阪神と契約したヘイグは、2010年に当時のNPB年間最多安打記録(214本)を残した巧打者マット・マートンの退団にショックを和らげる助っ人砲として期待された。しかし、開幕から丁重なパフォーマンスに終始。日本の緩急を織り交ぜた投球スタイルに適応できずに、打率.231、2本塁打、OPS.685と成績も低迷。横田慎太郎や江越大賀、中谷将大など若虎の育成にも熱心だった金本知憲監督(当時)の方針もあり、わずか1年での退団を余儀なくされた。

 阪神退団の翌年からツインズ、マリナーズ、ナショナルズを渡り歩き、現役を引退した20年にブルージェイズ傘下A+で打撃コーチに就任。そこでの手腕が評価され、24年からMLBのブルージェイズで打撃コーチ補佐を務めた。

 そして、来季から現役時代の古巣であったパイレーツの打撃コーチとなる。順調にキャリアを重ねる彼にとって「失敗」だった阪神での1年は、どのような影響を及ぼしているのか。今年7月に米データサイト『FanGraphs』の取材に応じたヘイグは、次のように持論を展開している。

「2016年に日本でプレーし、1年後に帰国した時には、色々なタイプの速球を打つのが、本当に難しくなっていた。私がアメリカに戻ってくるまで、たった1年でメジャーリーグは劇的に変わっていたんだ。打撃の世界は、世の中に発信されている情報によって、混乱している時がある。それを上手く消化し、自分のあらゆる経験を活用することで、最終的に選手へ物事を伝えることができると思っている」

 現役時代に知った野球の劇的な違い。その体験が指導者人生にも生きているという。そんなヘイグに対する現場の評価は上々だ。阪神時代から「真面目」という声は尽きなかったが、そのスタンスは今も変わらない。パイレーツの地元紙『Pittsburgh Post-Gazette』の取材の応じた元パイレーツの米解説者であるアレックス・プレスリー氏は、こう話している。

「バッティングに関して選手がアドバイスをもらう人は誰でもいいわけじゃない。しかし、彼(ヘイグ)は信頼できる人だ。野球一筋という感じなんだ。彼の物事への取り組み方は見落とされがちだと思う。現役時代から多くの浮き沈みを経験し、厳しい状況でもプレーしなければならなかった。だから彼は頼りになる良いコーチだ」

 若手有望株も少なくないパイレーツでの指導に向け、「最終的に選手たちがキャリアのどの段階にいようと、成長するためのロードマップを提供したい」と意気込むヘイグ。彼にとって、“ダメ助っ人”の烙印を押された日本での経験も指導者人生の糧となっているようだ。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

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