参院議員も務めた女子プロレスの“カリスマ”神取忍(60)=LLPW―X=の還暦を祝う「神取忍還暦祭り~人生もう1度、これからも真向勝負」が18日、東京・文京区後楽の東京ドームシティホールで開催された。“元祖アイドル”井上貴子(55)や“極…

 参院議員も務めた女子プロレスの“カリスマ”神取忍(60)=LLPW―X=の還暦を祝う「神取忍還暦祭り~人生もう1度、これからも真向勝負」が18日、東京・文京区後楽の東京ドームシティホールで開催された。“元祖アイドル”井上貴子(55)や“極悪”ダンプ松本(64)、アジャコング(54)らレジェンド選手のほか、メジャー団体のスターダムやマリーゴールドなどから20選手が参戦。女子プロレスを舞台にしたドラマ「極悪女王」(ネットフリックス)でダンプ役を演じた、ゆりやんレトリィバァ(34)が観戦するなど、世代を超えた女子プロ祭りとなった。

 還暦仕様の赤と金のコスチュームを着た神取はメインイベントに登場。梅咲遥(ディアナ)、水波綾(フリー)と組んで堀田祐美子(T―HEARTS)、中森華子(PURE―J)、なつぽい(スターダム)組と対戦し、張り手、裸絞め、脇固めで会場を沸かせたが、11分12秒、中森に横入り式エビ固めで丸め込まれ、まさかの逆転負けを喫した。

 「負けちゃいました。人生、負けてから起き上がるんです。デビュー戦も負けました。でも、ここから起き上がるっていうことを今までしてきました。60歳、還暦、関係ないです。気持ちさえあれば上へ向かっていけます。みなさんも上を向いて歩いていただきたいと思います」と観衆にメッセージを送った。

 「今回は還暦祭と言いながら、全ての選手、全てのカードが主人公です」と言い、自身よりも女子プロレスのPRがメインテーマだった。神取社長率いるLLPW―Xからは、ここまで二人三脚できた井上貴子、若手のNRI、キャサリン、この日がデビューの18歳・ひなた乃彩(のあ)が出場したほか、ダンプ松本、アジャコング、ウナギサヤカ(ウナギカブキ)、ビクトリア弓月(マリーゴールド)ら多団体から個性派が集結した。

 一番、盛り上げたのはダンプ松本だ。薮下めぐみ(フリー)と組んで、渡辺智子(フリー)、キャサリン組と対戦。フォーク攻撃で渡辺を流血させ、5分44秒、ボディプレスからの体固めで勝利した後、独演会が始まった。

 「今日、来てくれたお客さんありがとね。『極悪女王』見たか、おい! 何回も見ろよ」と言って客席のゆりやん、えびちゃん、斎藤工の「極悪女王」出演陣を紹介した。「最近付き合い始めた、週刊誌にまだ書かれてないダンプの彼氏、斎藤工です。愛してるよ。ゆりやん、めちゃめちゃダンプに似てましたよね。お前、ダンプだな。前の方にいるならお前、代われって」と言いたい放題で「これからも女子プロレスよろしくお願いします」と新しいファンに訴えた。

 “カリスマ検定アンバサダー”の神取人脈でゲストも多数集まった。氣志團の綾小路翔と早乙女光が「One Night Carnival」、還暦仲間の嶋大輔が「男の勲章」、乳がんから復活したブラザー・コーンが「WON’T BE LONG」をリング上で熱唱。SHOW―YAの寺田恵子、女子プロ漫談のまちゃまちゃがリングアナを務めた。

 「舎弟」を名乗る綾小路のスピーチが神取像を凝縮していた。「神取さんは、“ミスター女子プロレス”、“女子プロレス界最強の男”…もうとっくに次元を超えてるんです。ジェンダーだったり、世間が言い出す前からとっくに飛び越えてるんです。天龍さんとも戦いました。これからもきっと、僕たちが想像もしないような次元を超えた世界へ連れてってくれてるんじゃないかと信じてます」

 1970年代のビューティ・ペア(ジャッキー佐藤&マキ上田)、80年代のクラッシュ・ギャルズ(ライオネス飛鳥&長与千種)、90年代の4団体対抗オールスター戦(全日本女子、FMW、JWP、LLPW)のブームを経て、2024年、ドラマ「極悪女王」から新たな時代の到来を告げる還暦祭りとなった。(酒井 隆之)

 ◆神取 忍(かんどり・しのぶ)1964年10月30日、横浜市生まれ。15歳で柔道を始め、83年から85年まで全日本柔道選手権66キロ級3連覇。84年の世界選手権3位。86年、ジャパン女子プロレス入団。92年、ジャパン解散後、風間ルミ(故人)とLLPWを旗揚げ。00年にはミスタープロレス・天龍源一郎とシングル対決しKO負け。04年の参院選で落選も、06年に繰り上げ当選。11年にLLPW―Xと改称。170センチ、75キロ。