『ハイキュー‼』×SVリーグ コラボ連載(19)クインシーズ刈谷 髙佐風梨(連載18:クインシーズ刈谷の「お姉ちゃん」なセッター、佐藤彩乃は日向翔陽の「楽してこうぜ」のパスに「やばい」>>)(c)古舘春一/集英社「ずっとバレーをやるつもりは…
『ハイキュー‼』×SVリーグ コラボ連載(19)
クインシーズ刈谷 髙佐風梨
(連載18:クインシーズ刈谷の「お姉ちゃん」なセッター、佐藤彩乃は日向翔陽の「楽してこうぜ」のパスに「やばい」>>)
(c)古舘春一/集英社
「ずっとバレーをやるつもりはなくて、高校でやめる、大学で終わると思っていたんですが、今ここにいます(苦笑)。『バレーが好きか』って言われたら、好きですし......それでずっとバレーをやっているんですけどね」
髙佐風梨は、そう言って自身のキャリアを淡々と振り返った。極めて自然に、バレーボールは側にあり続けた。
髙佐は、奈良県天理市に生まれた。物心ついた時には、バレーボールが足元に転がっていた。高校までバレーに打ち込み、ママさんバレーを楽しんでいた母親と一緒にボールを触った。
小学1年の頃にはママさんバレーについていき、練習や試合を見ていた。小学3年の時、地元のチームに「入ってほしい」と言われ、加わった。早くからボールに触っていたから、周りの子どもたちよりも秀でていた。
「6年生が抜けたら、来年はセッターで」
指導者は、髙佐をセッターにすることを決めていた。
「お母さんがセッターだったから、というのはあったと思います。指導者がお母さんと知り合いだったので」
髙佐は大きな目を動かして言った。
「セッターができそう、とか、オーバーパスが上手だから、というわけではなかったです。自分がどのポジションをやりたいのか、というのもその時はなかったですね。ただ、セッターをやると決まっていて、自然と『できるでしょ?』となって(笑)」
気づいたらセッターとしてプレーしていた。
「母親はセッターだったので、かなり『こうやれば』とか言われました。でも、お母さんは指導者じゃないし、真に受けていなかったです(笑)。お母さんにセッターの相談をしたことはないですね。バレーの話は基本的にしないので。中学くらいの時に、"お母さんより自分のほうができるな"って気づいたし、そこから何も言わせていないです(笑)」
セッターひと筋というわけではない。中学時代は部員がなかなか揃わず、彼女が拾い、自ら打つ、という戦い方しかなかった。それが3年間続いた。
しかし最後の大会が、JOCカップの関係者がいる中学校が会場で行なわれ、髙佐のレシーブが目を引いた。
「(JOCカップに出場するメンバーに)リベロとして来ないか」
そのリクエストに、彼女はこう願い出た。
「セッターで行きたいです」
そこには彼女の意思を感じる。しかし、こちらが"セッター魂"のようなものを探り当てようとすると、拒否した。
「結局、JOCカップには控えセッターとして選んでもらい、『もう一回、セッターで頑張ろう』って思いました。セッターが好きというよりは、中学でいっぱいレシーブして、いっぱいスパイク打ったから、次はセッターかなって(笑)。高校でバレーを続けるなら、背が低いからスパイカーじゃ通用しないと思ったので」
重ねて訊いた。
――過去最高のセットアップ、理想のセットアップとは?
「わかんないです。これといって、ない。イメージも湧かない(笑)」
しかし彼女は昨シーズン、1年目で最優秀新人賞を受賞した。上げたトスが、いくつもの勝利につながった。それが、彼女のセッターとしての答えなのか。
「たまたま試合に出させてもらい、チームの成績がよかったので」
髙佐はそう言って笑うだけだった。
【髙佐が語る『ハイキュー!!』の魅力】
――『ハイキュー!!』、作品の魅力とは?
「バレーを知らない人でもわかりやすいですね。各ポジションの大事なことがわかるのがいいなって」
――共感、学んだことは?
「影山(飛雄)が『セッターはチームの司令塔だぞ!? 試合中 一番多くのボールに触れるのがセッターだぞ!? 支配者っぽくて1番かっこいいだろうが』って言っていて。セッターはトスを上げる前、スパイカーとブロッカーを見て、ボールの軌道を見て、さらにスパイカーの表情を見たり......。"セッターにしかわからない"っていうシーンもあっていいなって思います」
――印象に残った名言は?
「北(信介)さんの『ちゃんとやんねん』ですかね。ルーティーンをちゃんとやれる人はいいなって、思います」
――好きなキャラクター、ベスト3は?
「1位は田中(龍之介)です。背が高いわけでも、飛び抜けたパワーがあるわけでも、特別な才能があるわけでもない。影山とか日向(翔陽)みたいに、何かすごい能力があるわけではないけど、熱くチームを盛り上げる"普通の感じ"が好きです。
2位は北さん。3位は菅原(孝支)さんです。菅原さんは人間性がいいなって。控えセッターで、試合に出ていないのに影山を支えて、練習を頑張って......さらに大事な場面に出ても、あれだけプレーできる。及川(徹)さんや影山は天才セッターですけど、菅原さんはそうじゃないのに活躍するのがいいですね」
――ベストゲームは?
「烏野vs音駒は劇場版も見ているし、迷いますけど......ひとつだけ選ぶなら、烏野vs青葉城西ですね。及川さんと影山のセッター対決が熱いです」
(連載20:クインシーズ刈谷の吉永有希は挫折にめげず、星海光来のようにレシーブを磨いて殻を破った>>)
【プロフィール】
髙佐風梨(こうさ・ふうり)
所属:クインシーズ刈谷
2000年9月4日生まれ、奈良県出身。164cm・セッター。幼い頃からバレーボールに触れ、小学3年で地元のチームに入った。奈良女子高校時代に春高バレーに出場、東京女子体育大では東日本インカレで準優勝を経験。2023年にクインシーズ刈谷に入団。1年目で最優秀新人賞を受賞した[。