WEEKLY TOUR REPORT米ツアー・トピックス 今季のフェデックスカップ・プレーオフも、あと2戦。今週のBMW選手権(9月14日~17日/イリノイ州、コンウェーファームGC)と、最終戦のツアー選手権(9月21日~24日/ジョー…

WEEKLY TOUR REPORT
米ツアー・トピックス

 今季のフェデックスカップ・プレーオフも、あと2戦。今週のBMW選手権(9月14日~17日/イリノイ州、コンウェーファームGC)と、最終戦のツアー選手権(9月21日~24日/ジョージア州、イーストレイクGC)を残すだけとなった。

 BMW選手権では70名が予選落ちなしでプレー。その結果を含めて、ポイント上位の30名が最終戦に勝ち進むことになる。そして、最後はツアー選手権の結果によって最終ポイントが確定し、年間王者が決定。王者には10ミリオンドル(1000万ドル)、日本円でおよそ11億円という破格のビッグボーナスが与えられる。

 さて、松山英樹(25歳)がこの10ミリオンドルを手にする可能性はあるのだろうか?



年間王者を目指してプレーオフを戦う松山英樹

「可能性」という意味では、十分にある。フェデックスカップのポイントランキング1位でプレーオフ入りした松山は、最終戦まで駒を進めることがすでに確定しているからだ。が、現実的にはどうなのか?

 ツアー選手権を前にして、フェデックスカップのポイントは一度リセットされて、上位30名に再配分されることになる。そのため、まずはBMW選手権で上位の成績を残し、ポイントにおいてトップ5以内をキープすることが重要だ(プレーオフ2戦を終えて、松山は4位)。上位5選手であれば、ツアー選手権を勝った瞬間、自動的に年間王者に輝くことができるのだ。

 もちろん、ポイントは出場する30名全員が王者になる可能性が残されるように配分される。しかしながら、下位の選手は数字的には”可能性がある”というだけで、上位選手が総崩れしない限りは王者になれないため、現実的にはほとんどあり得ない。おそらく、実質的に王者になれる可能性があるのは、最終戦に臨む際にポイントランキング10位以内にいる選手ではないだろうか。

 このフェデックスカップは、今年で11年目を迎える。その間、ポイントの配分など細部にわたって何度も微調整を重ねてきた。

 今季は、以前よりも獲得ポイントが上位に手厚くなった。その分、レギュラーシーズンで活躍した選手がポイントを多く持ってプレーオフに進出している。これは以前、プレーオフだけ活躍した選手が、それで年間王者に輝くことが何度かあったからだ。

 そこで、レギュラーシーズンでの活躍をより多く反映するよう、ポイントの配分が見直された。同時に、プレーオフでの逆転劇も起こる「エキサイティングイな戦いにしたい」という狙いもあって、その両面を反映するのにちょうどいい具合のポイントに作り直されている。

 前述したとおり、レギュラーシーズンが終わった時点でポイントレース1位だった松山だが、プレーオフを迎えてからの出来は今ひとつ。メジャー最終戦の全米プロ選手権を5位で終えたあと、明らかに調子を落としている。

 プレーオフ初戦のノーザントラストでは予選落ち。2戦目のデルテクノロジーズ選手権では23位タイに終わっている。それでも、デルテクノロジーズ選手権の最終日に「66」の好スコアをマークしたことは、今後に向けて好材料だ。

「ショットはまあ、上向きです。特にアイアンはだいぶよくなってきました。あとは、ドライバーとウエッジのつながりがよくなれば……。パットは自信がないので、何かひとつ決めたことをやりたい」

 松山自身、徐々に前向きな姿勢を見せ始めている。年間王者獲得へ、期待は膨らむ。

 ところで、日本円でおよそ11億円というボーナスなんて、庶民にはとても想像がつかない金額だ。人それぞれ使い道はあるのだろうが、昨季の年間王者に輝いて、このビッグボーナスを手にしたロリー・マキロイ(28歳/北アイルランド)は、こんなふうに語っている。



昨季、年間チャンピオンとなったロリー・マキロイ

「4月に結婚式を挙げたので、その費用に(ビッグボーナスが)大いに役立った。そして(結婚して)フロリダの自宅を改装したんだ。だから今度は、その資金として、今季も勝ってボーナスをもらえるとうれしい」

 11億円もかかる結婚式や自宅の改装とはいったいどんなものなのかと驚いてしまうが、そうしたこともあって、マキロイはビッグボーナス獲得へのモチベーションが高いという。

 もしかすると、マキロイ同様に結婚して新しい家族が増えた松山も、密かにモチベーションを高めているかもしれない。残り2戦の戦いぶりが注目される。