■“負傷者増”を別角度から NBAのロスターは15名(+2way契約選手が3名)に制限されており、それぞれが貴重な戦力であるこ…

■“負傷者増”を別角度から


 NBAのロスターは15名(+2way契約選手が3名)に制限されており、それぞれが貴重な戦力であることは言うまでもない。また、サラリーキャップも設定されているため、チームの中核を担うスター選手の存在は、シーズンの結果を大きく左右する。

 今シーズンは選手の欠場が昨年比で大きく増加していることが現地メディアで伝えられている。スター選手の欠場は24パーセント増、また、全選手の欠場試合数合計もシーズン開幕後3週間の段階で161試合以上も増加しており、エキサイトな展開とは裏腹に、ロスターには大きなしわ寄せがいっている。

『HoopsHype』は、どの球団が最も戦力面で打撃を受けているのか、サラリーから状況を分析。その合計額を算出している。

■揺らぐ大黒柱…不名誉な1位に輝いたのは


1位:フィラデルフィア・セブンティシクサーズ

負傷者のサラリー合計額:約1億400万ドル(約158億6000万円)

 不名誉にも堂々の1位に輝いてしまったのは、絶不調のシクサーズである。優勝候補にも挙げられていたシーズン開幕前の評判からは一転、現在の成績は3勝13敗と振るわず、イースタン・カンファレンスの14位と大きく出遅れている。

 負傷者の年俸総額は大台の1億ドルを超えており、その半分は大黒柱のジョエル・エンビードに支払われている。エンビードの現在のサラリーは約5100万ドル(約77億9000万円)となっており、今シーズンは16試合消化の段階で4試合の出場に止まっている。また、その全てが敗戦と結果にもつながらず、それどころか孤軍奮闘するタイリース・マクシーに遅刻癖を非難されるなど、“プロセス”のニックネームは剥奪の危機にある。

 加えて、新ビッグ3に名を連ねるポール・ジョージも序盤からコートサイドで過ごす時間が続いている。球団でエンビードに次ぐ約4900万ドル(約74億6000万円)を受け取るPGだが、今シーズンは過半数の8試合に出場。しかし、11月21日(現地時間20日)のメンフィス・グリズリーズ戦で左ヒザの骨挫傷を負い、最低2試合を欠場する見込みとなっている。

 直近の3試合はロスターで唯一の優勝経験者であるベテランのカイル・ラウリーも戦列を離れており、離脱者のサラリー総額は球団全体の約56パーセントに。ダリル・モーリー運営代表とニック・ナースヘッドコーチは、きっと頭を抱えていることだろう、

■復帰待たれる優勝請負人…チームは奮闘中


2位:ロサンゼルス・クリッパーズ

負傷者のサラリー合計額:約8300万ドル(約126億4000万円)

 負傷者ランキングで2位に入ったクリッパーズだが、シーズン序盤は11勝8敗でウェスタン・カンファレンス6位と善戦している。それにはジェームズ・ハーデンやイビツァ・ズバッツの安定感溢れるプレーと、NBAに帰還したケビン・ポーターJr.らによるベンチからの貢献が大きいと言えるだろう。

 クリッパーズでは約4900万ドル(約74億6000万円)の契約下にある優勝請負人、カワイ・レナードが昨年3月を最後にコートから離れている。レナードは今年10月に右膝の炎症による無期限離脱が発表され、2016-17シーズンを最後にレギュラーシーズンで70試合以上の出場機会がなく、ケガとの付き合いに悩まされてきた。こうした過去から球団も復帰には慎重になっており、辛抱強く復帰に向けてリハビリを続けている。

 また、開幕から好調だったノーマン・パウエルもチーム3位となる約1900万ドル(約28億9000万円)を受け取っているが、直近4試合を欠場。さらに、約1200万ドル(約17億6000万円)の契約を結ぶPJ・タッカーは、双方合意のうえでチームを離れている。

■新米HCに導かれ離脱者多数も好成績


3位:ブルックリン・ネッツ

負傷者のサラリー合計額:約億万ドル(約億万円)

 ネッツはミドルクラスのサラリーを受け取る選手の離脱が見受けられる。

 約1900万ドル(約28億9000万円)を受け取るボヤン・ボグダノビッチは今夏に足と手首の手術を受け、復帰に向けてリハビリ中。また、開幕からスターターを務めていたドリアン・フィニー・スミスも左足首の捻挫で直近2試合を欠場中だ。

 また、インサイドの要であるニック・クラクストンもコンディションが安定しない。同選手のサラリーは、ベン・シモンズに次いでチーム2位となる約2800万ドル(約42億円)となっているが、慢性的な背中の怪我を抱えており、今後も定期的な出場は見込めない。

 それでもデニス・シュルーダーやキャム・トーマスの奮闘により、プレーオフ圏内にしがみ付いているネッツ。サクラメント・キングスのマイク・ブラウンHCのもとで学び、キャリア初の監督業に挑んでいるジョルディ・フェルナンデスHCの手腕は、賞賛に値するだろう。

文=Meiji