今週末は、第25回チャンピオンズC(GI、中京ダ1800m)が行われる。

前年度の覇者であるレモンドロップキッド産駒レモンポップ、今年のフェブラリーSを制したキングカメハメハ産駒のペプチドナイル、みやこS勝ちから臨むキズナ産駒サンライズジパングなど、多彩な血統構成の馬が集結。

ここでは、馬券検討のヒントとなる「血統」で本競走を攻略する。

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■ヌレイエフの血統内包馬と好相性

種牡馬の系統で見ると父キングマンボ系がなかなかの成績。近10年で【4.1.1.14】、勝率20.0%&複勝率30.0%。昨年のレモンポップをはじめ、近4年連続で連対馬を輩出している。

父サンデーサイレンス系はこの10年で3勝。ただ出走頭数も多いので、指標としてはほどほどの感。サンデー系で最も有力なのは、同系のダート部門長・ゴールドアリュールのライン。ゴールドドリーム、クリソベリルの2頭が勝利を挙げている。

キングマンボとゴールドアリュールに共通するのがヌレイエフの血。直線に急坂が待ち構える中京ダートなので、ヌレイエフの欧州マイラーなタフさがポイントになるということか。

ちなみにゴールドアリュール産駒で勝利を挙げたゴールドドリームとクリソベリルは、いずれもヌレイエフのニアリークロスを内包していた点が共通する。ゴールドドリームは4代母がヌレイエフの半妹(3/4妹)のナンバー、クリソベリルは母父エルコンドルパサーがヌレイエフ≒サドラーズウェルズを抱えており、いずれもゴールドアリュールのヌレイエフを狙いにした仕掛けが成立していた。

この部分の増強が見られる馬は評価を上げるイメージで考えたい。

■ペプチドナイルにレモンポップ逆転の可能性

今回注目したいのは、ヌレイエフ内包馬。ここでは該当馬のなかからペプチドナイルをピックアップする。

父はキングカメハメハ。母クイーンオリーブはJRAの芝中距離で4勝を挙げ、3勝クラスでも勝ち負けを演じたなかなかの実力馬だった。

父キンカメ系×母父マンハッタンカフェの組み合わせは、今年のGIにおけるトレンド血統で、このペプチドナイルの他、天皇賞・春を制したテーオーロイヤルや、先日のマイルCSで勝利したソウルラッシュもこのパターン。いずれも6歳での初GIタイトルということで、比較的晩成傾向に出やすい組み合わせと言える。

ペプチドナイルの配合を見ると、祖母オリーブブランチがミスプロ系マキャヴェリアンにヌレイエフ系シアトリカルの組み合わせ。ヌレイエフを抱えるキングマンボにさらにヌレイエフを合わせる恰好で、この部分での馬力増強は十分に足りている。

フェブラリーSを勝ったことで、それ以降はマイルの大レースを選んで使われてきたわけだが、母が中距離馬だったことを考えると、距離はむしろ1800mの方が良いだろう。距離が延びることによるプラスはレモンポップ以上に大きいと見る。

ヌレイエフのパワーを活かしたい馬なので、乾いたダートがベター。これまでにダート良馬場の1800m以下だと【5.1.0.1】というバツグンの好成績を残しており、馬力の要る馬場が向くのは明らかだ。反対に大敗した重賞(エルムS、東海S)はいずれも雨が降って軽い馬場だった。脚抜きの良い馬場だと持ち味のパワーが活かせない。

なので、今のところ週末の天気が晴れ予報なのは追い風に。打倒レモンポップのチャンスは十分だ。

あとは枠と週末の馬場コンディションを見つつ、最終結論に至りたい。

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著者プロフィール

ドクトル井上 【重賞深掘りプロジェクト】血統サイエンティスト。在野の血統研究家。旧知のオーナーを中心として、セリや配合のコンサルティング業務を請負中。好きな種牡馬はダノンレジェンドとハービンジャー。苦手な種牡馬はMore Than Ready。凱旋門賞馬Ace Impactの血統表は芸術品なので、ルーヴル美術館に収蔵されるべきとわりと本気で考える三十路の牡馬。