侍ジャパンはプレミア12連覇とはならなかった(C)Getty Images プレミア12連覇に挑んだ侍ジャパンは11月24日、東京ドームで台湾との決勝戦に臨み0-4で敗れ、準優勝に終わった。 今大会、WBCとは違う“空気&rdq…
侍ジャパンはプレミア12連覇とはならなかった(C)Getty Images
プレミア12連覇に挑んだ侍ジャパンは11月24日、東京ドームで台湾との決勝戦に臨み0-4で敗れ、準優勝に終わった。
今大会、WBCとは違う“空気”で行われることはわかっていた。長いシーズンを戦い抜いた後に行われる11月開催。それに合わせて日本シリーズと同時期に宮崎合宿を行わなければならず、大会前からの熱量もやや欠けていたように感じる。
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それでも、宮崎合宿初日から若い選手たちが代表に選ばれたことを意気に感じて練習に励む姿、言葉や表情からもそれを感じることができたことに、少しホッとした気持ちになった。
五十幡亮汰は「今後の自分の野球人生のためにも、すごく大切な時間ですし、そういう時間にしたい」と目を輝かせ、小園海斗は「若い選手が上がってこなければいけないと思っていますし、こうやって選んでいただいてしっかり結果残していけるように、アピールできるようにという思いがあります」と、決意をみなぎらせていた。
大会が始まり、4番を任せられた森下翔太は「任されたからには最後まで4番でいきたいという思いがある」と、侍ジャパンの4番としての誇りを胸に戦った。
大会前に4番候補に挙げられていた村上宗隆、岡本和真といった一発長打が期待できる選手たちがケガの影響で出場できなくなった。井端弘和監督は1番から9番まで打線のつながりで勝利をつかみたいという思いがあった。4番の最有力候補だった牧秀悟を6番に据えるなど、打線をうまく機能させながら全勝で決勝までたどり着いた。
しかし、打線は水もの。決勝戦では5回に戸郷翔征が2発を浴びて4点を先制されると、劣勢の中で流れを日本に引き寄せるような一発が欲しかったが、台湾投手陣の前に4安打に封じ込まれて完封負けを喫した。
辞退者が多く出る中、チーム編成で最後まで苦労した。それでも今できるベストな布陣で臨み、投手陣もWBCを経験した戸郷、大勢、高橋宏斗を中心に、初めて侍ジャパンを経験する井上温大を大事な大会初戦に先発させるなど、左腕には大きな財産となったはずだ。
今大会、無失点投球を続けたリリーフの藤平尚真は「自分個人としては、本当に自分自身を成長させてもらえた大会ですし、もっと上を目指したいなと思った大会でした」と振り返ると、同じく圧巻の投球を見せた清水達也は「こういう代表のユニフォームを着て、1位になりたい、シャンパンファイトしたいという新しい目標ができた」とし、「濃い1カ月。いろんなトップレベルの人たちと1カ月丸々ずっと一緒にやってこれて、いろいろ刺激にもなりましたし、勉強にもなりました」と、大きな収穫を得た大会となった。
選手個々の立ち位置や経験値で今大会の総括は違うものになった。決勝戦で敗戦投手となった戸郷は「僕以外みんな頑張ってくれた」と、責任をひとりで背負うようなコメントを残した。
2023年のWBCで世界一を経験した戸郷にとっては、今大会の悔しさを糧に2026年のWBCでは、日本のエースとしてもう一段階上のレベルと責任感でマウンドに上がるはずだ。
連覇とはならなかったが、選手個々の中で生まれた「課題」をつぶし、次の国際大会に生かせる大会となった。若い選手たちにとっては少なからず日の丸を背負うという「責任」も生まれたはずだ。
敗れれば批判を受ける立場でありながら、シーズンの疲労も取れない中で最後まで戦い抜いた選手たち、重責を担いながら指揮を執った井端監督には心から拍手を送りたい。
[文:別府勉]
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