ジャッジ(左)にMVP争いで競り負けたウィットJr.。その内容が波紋を呼んでいる。(C)Getty Images 2024年のMLBでの「最も価値のある選手」は、両リーグともに満票で決した。アメリカン・リーグはアーロン・ジャッジ(ヤンキース…

ジャッジ(左)にMVP争いで競り負けたウィットJr.。その内容が波紋を呼んでいる。(C)Getty Images

 2024年のMLBでの「最も価値のある選手」は、両リーグともに満票で決した。アメリカン・リーグはアーロン・ジャッジ(ヤンキース)が、ナショナル・リーグは大谷翔平(ドジャース)がそれぞれ全米野球記者協会に登録された投票権を持つ30人の記者全員から1位票を得た。

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 十分に納得できる満票選出だった。ジャッジは中堅手を務めながら打率.322、58本塁打、144打点、OPS1.159。一方の大谷は打率.310、54本塁打、130打点、OPS1.036に加えて59盗塁。前人未到の「シーズン50本塁打・50盗塁」の偉業もやってのけた。

 しかし、厳選された記者投票の結果ゆえか。ふたりの満票MVPには一部メディアでケチが付けられている。とりわけ強い反発を受けているのは、ア・リーグ二冠王ともなったジャッジだ。2位となったボビー・ウィットJr.(ロイヤルズ)に対して全30人の記者が2位票を投じた結果を受け、「もはやロボット投票も同じだ。なぜウィットJr.に1位票が入らないのか」と糾弾されている。

 もっとも、24歳の俊英遊撃手も輝かしい功績を残した。打率はジャッジを上回る.332をマークして首位打者を獲得。さらに32本塁打、109打点、31盗塁、OPS.977のハイアベレージを叩き出し、守備でも『UZR』(リーグで同じ守備位置の平均的な選手が守る場合に比べ、どれだけ失点を防いだかを示す指標)が「3.5」と安定したパフォーマンスを披露した。

 走攻守で傑出した数字を残したウィットJr.だけに、地元メディアでは1位票ゼロという結果を疑問視する声が止まらない。ロイヤルズの専門サイト『Royals Review』はジャッジのMVP選出を「予想通り。ジャッジは攻撃面で史上最高と言ってもいいシーズンを送った」と指摘。その上で「ウィットJr.に1位票を投じて、正当な評価をする人間が全くいないとはどういうことか。残念だ」と嘆いた。

 総合的にハイアベレージを残した俊英遊撃手を「真の5ツールプレーヤー」と評する同メディアは、「ジャッジの価値は主に打撃にある。だが、ウィットJr.は素晴らしい打者であり、素晴らしい走者であり、素晴らしい守備者でもあった」と強調。そして、次のように今回のMVP投票に辛辣な意見を投げかけている。

「本来、MVPは単に『最優秀選手』を決める賞ではない。『Most Valuable(最も価値ある)』という言葉の意味を考えると、今回の投票内容は議論を呼ぶことになる。果たして、MVPは総合的な価値なのか? チームにおける価値なのか? それとも最もインパクトのある選手という意味なのか? 本当に優れた選手が受賞するのは構わない。その結果が妥当でないとは言わない。ただ、指標が良いからと、ほぼ自動的に1位を決めるのは最悪だ」

 さらに「計算上で良い選手に賞を選手に与えるだけなら、シーズン最終日にコンピューターに勝者を決めさせ、余計なサスペンスを避けるべきだ」とも説いた『Royals Review』。最後の最後までウィットJr.の1位票ゼロに恨み節が続いた。

 傑物ジャッジのMVPを巡って起きた賛否両論。そのハレーションは広まる一方だ。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

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