サッカー日本代表は、中国代表とW杯アジア地区3次予選で対戦し、3-1で勝利した。また本大会出場へと近づいた格好だが、今回の試合では、どんなプラス材料と今後、修正すべき問題点が浮かび上がったのか。年内最後の代表戦を終え、4か月もの間が空く次…

 サッカー日本代表は、中国代表とW杯アジア地区3次予選で対戦し、3-1で勝利した。また本大会出場へと近づいた格好だが、今回の試合では、どんなプラス材料と今後、修正すべき問題点が浮かび上がったのか。年内最後の代表戦を終え、4か月もの間が空く次戦と、その後のW杯も見据え、ベテランサッカージャーナリストの大住良之と後藤健生が徹底的に語り合った!

■遠藤航「後継候補」の藤田譲瑠チマ

――次の試合は来年3月で、しばらく間が空きますが、その間にチームや選手個々に期待することはなんですか。

大住「期待したいのは、冨安健洋がケガから帰ってくることだよね」

後藤「伊藤洋輝も」

大住「そうだね」

後藤「それで日本代表がどう変化するかは分からないけど、まずはケガを治してほしい。だって伊藤は、常勝バイエルン・ミュンヘンの選手なんだよ」

大住「今、町田浩樹がすごく良くなっているからこそ、冨安に帰ってきてほしいなあ。町田、板倉滉、冨安の3バックなのか、あるいは4バックなのか分からないけど、どんな変化があるのか、見せてほしい。それに気になるのは、今回のシリーズで、2試合とも同じ4人がベンチから外れていること。長友佑都、関根大輝、高井幸大、藤田譲瑠チマの4人なんだよね。長友はチーム内ですごく影響力があるから、本人了承の上でこういう形でもチームに入ってもらっているのかもしれないけど、他の若い3人には、試合に出てもやれるんだぞ、というところをまで成長してほしい」

後藤「森保一監督の性格からすると、使われるのは完全に予選突破を決めた後だろうね。まだ見習い組だからね」

大住「それでもいいんだけど、とにかくワールドカップまでに試合に出られるようになってほしい。守田英正を出すよりも藤田のほうがいいんじゃないかな、とか、対等に出場機会を争えるようになってほしいよね」

後藤「年齢的に考えても、ワールドカップの頃にはそうなってくれないと困るよね。藤田は将来、いつかは引退することになる遠藤航の跡を継いで日本代表の中盤を任されなきゃいけないわけだし。おそらく3月シリーズで予選突破が決まって、その次の活動期間になる6月シリーズから試合に出せるようになるだろうね」

■代表入りノルマは「Jリーグで15点以上」

――同じ世代だと、細谷真大も招集経験があります。

後藤「呼ばれなくなっちゃったね」

大住「Jリーグでも、良いプレーはしているんだけど点を取らないんだよね」

後藤「もうちょっと点を取らないとね」

大住「代表に入ろうとするなら、Jリーグで15点以上取らないとね」

後藤「J1で19点取って日本人選手ではトップのジャーメイン良のほうが良いよ、って話になるよ」

大住「今年に行われた3次予選の6試合だけでも、鈴木彩艶が非常に良くなった。現状では、小久保玲央ブライアンのほうがいいんじゃないか、と言う人はあまりいないと思う。今回の中国戦でも、いくつも相手のCKとか守備機会があったけど、不安定なところを見せなかった」

後藤「CKの守備で、相手の選手たちに囲まれて密集をつくられても、きちんと両手でキャッチするもんね」

大住「彩艶が良くなったのは今年、大きなプラスだよね」

後藤「森保一監督が批判を浴びつつも使い続けた賜物だし、パルマに移籍できた幸運も相まってのことだね」

大住「パルマでも起用されているもんね。イタリアでも批判の声が上がったことはあったみたいだけど」

後藤「今では現地でも、けっこう評価されるようになったでしょ」

■チームの伸びは「伸びる選手」がいてこそ

――他に、出てこないといけない選手はいますか。

後藤「塩貝健人(オランダ1部NECナイメヘン所属)。いや、福田獅王(ドイツ1部ボルシアMG)でもいいんだけど、パリ五輪世代よりもうひとつ若い世代で、化ける選手がいるといいなと思いますよね」

大住「そうだね。チームが伸びるのは、伸びる選手がいてこそ、だからね。ワールドカップまで、あと1年半なわけでしょ。本大会までに、現存の戦力以外に、ガンガン伸びる選手が出てきてほしい」

後藤「後ろのほうの守備の選手は組織が大事だから、なかなか爆発的な成長というのは難しいかもしれないけど、前線には突然、化けて驚かせるような選手が1人くらいは出てきてほしいよね」

大住「僕としてはもっと前田大然を見たいな、という気がするんだけどね。あのスピードと、異常なまでにすさまじい攻守の切り替えとか、メンタリティとかさ。やはり前田は見たいな。浅野拓磨がそうだったように、切り札のように使えるようになったらいいんじゃないかな」

――今回のシリーズでも左ウィングバックとシャドーをこなしましたし、1トップも考えられます。

大住「どこでもできると思うよ」

後藤「シャドーとウィングバックの関係は、森保監督がこのところいろいろなことを試し始めている。内側と外側、どちらに置くのがいいのかなとか、試行錯誤しているよ」

大住「皆、ポジションを入れ替わってもプレーできるようになっているよね。鎌田大地のようなタイプの選手でも、サイドに開くことで皆を活かしているしさ。3バックにはそういう面白さもあるけど、これからワールドカップに向けてどうするのかな」

後藤「強い相手とするときにどうするのか。今のところは想像しながら見るしかないね」

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