■J2優勝・清水エスパルスの最終ラインを支えた住吉ジェラニレショーン 2024年シーズンのJ2リーグはレギュラーシーズンを終え、12月開催のJ1昇格プレーオフを残すのみとなっている。そこで、恒例のベストイレブンを選定した。 いつものように基…
■J2優勝・清水エスパルスの最終ラインを支えた住吉ジェラニレショーン
2024年シーズンのJ2リーグはレギュラーシーズンを終え、12月開催のJ1昇格プレーオフを残すのみとなっている。そこで、恒例のベストイレブンを選定した。
いつものように基準を設けた。全38試合(3420分)の60パーセント以上のプレータイムとなる2052分以上を記録した選手が、選考の対象となっている。このため、夏の移籍後に活躍した宇野禅斗(清水エスパルス)、土居聖真、ディサロ・燦・シルヴァーノ(いずれもモンテディオ山形)らは、残念ながら対象外となっている。清水の戦術に柔軟性をもたらした原輝綺(清水)も、プレータイムがわずかに足りなかった。
ひとつのポジションに複数の候補者がいる場合は、チームの成績を考慮した。中位から下位のチームで孤軍奮闘した選手、成長を感じさせた選手もいたが、そのすべてをすくいあげることはできていない。それでも、今年シーズンのJ2を映し出すにふさわしい選手が並んでいるはずだ。
■GK スベンド・ブローダーセン(ファジアーノ岡山)38試合、3420分出場
5位でJ1昇格プレーオフに出場するチームで、唯一の全試合フルタイム出場を記録。シーズン29失点は、2位の横浜FCに次いで少ない。クリーンシートは20を数え、こちらはリーグ最多。49失点で10位に終わった昨シーズンから大幅に失点を減らしたのは、このドイツ人GKの加入によるところが大きい。10節のブラウブリッツ秋田戦、16節のヴァンフォーレ甲府戦、PKストップを見せた32節の水戸ホーリーホック戦など、勝点獲得につながる好セーブをシーズンを通して披露した。
DF 福森晃斗(横浜FC)38試合、3403分出場
誰がベストイレブンを選んでも、福森が漏れることはないだろう。彼こそは、横浜FCのJ2昇格の最大の功労者と言っていい。全38試合に先発出場し、35試合にフル出場。左足から繰り出されるクロスやパスは正確無比で、オープンプレーとセットプレーからリーグ最多の14アシストを記録した。19節の徳島ヴォルティス戦では左足で直接FKを突き刺し、チームを勝利に導いている。
DF 住吉ジェラニレショーン(清水)31試合、2715分出場
昨オフにチームを離れた鈴木義宜の穴を埋め、高橋祐治とのコンビで最終ライン中央を形成した。屈強な肉体を生かしたフィジカルバトルの強さはもちろん、スピードを生かしたカバーリングで守備を安定させた。9節の甲府戦でアディショナルタイム直前に決勝ヘッドを突き刺し、36節の栃木SC戦ではJ1昇格を決める決勝弾をプッシュするなど、価値あるゴールで勝利を呼び込んでもいる。期限付き移籍での加入だが、来シーズンも必要な戦力なのは間違いない。
DF ンドカ・ボニフェス(横浜FC)36試合、3240分出場
リーグ最少の27失点で2位を確保した横浜FCで、GK市川暉記とともに守備を引き締めた。35節の仙台戦で3失点、36節の岡山戦で4失点と、チームは最終盤に安定感を欠いたものの、シーズンを通せばンドカを中心とする守備力がチームの強みとなったと言える。3バックの中央にどっしりと構え、相手の攻撃を確実に跳ね返していった。
■3位・長崎のブラジル人MFコンビは驚異の破壊力
MF ユーリ・ララ(横浜FC)37試合、3108分出場
このブラジル人ハードワーカーは、3-4-2-1のシステムでダブルボランチの一角を担い、チームの肺にして心臓となった。ビルドアップから攻撃の仕上げまで幅広く関わり、DFラインの背後まで侵入していくことも。敵陣でのパス数はリーグのトップ10に迫る。また、ボール際の攻防にタフで、デュエル勝利総数、タックル総数はリーグトップを記録した。
MF マテウス・ジェズス(V・ファーレン長崎)36試合、2956分出場
昨シーズンはダブルボランチで起用されることもあったが、4-1-2-3のインサイドハーフが基本となった今シーズンは攻撃力が爆発。リーグ2位タイの18ゴールを叩き出し、長崎のJ1昇格プレーオフ進出に貢献した。利き足の左足から繰り出すシュートはパワフルでありながら繊細で、デリケートなタッチによる技巧的な一撃も。単独でボールを運ぶことができ、決め切る力を持つこのブラジル人MFには、J1の複数クラブが熱視線を送っている。
MF 乾貴士(清水エスパルス)30試合、2099分出場
4-2-3-1ならトップ下で、3-2-4-1-なら2シャドーで起用され、清水の攻撃に創造性と意外性をもたらした。5得点7アシストはやや物足りないようにも映るが、その存在感は数字をはるかに上回る。彼がいることで周囲の選手は時間とスペースを確保でき、攻撃にテンポとリズムが生まれるのだ。36歳にしてなお衰えを感じさせず、さりげないトラップやパスで観衆を魅了した。1トップを務めた北川航也とともに、J2優勝の立役者にあげられる。