今季からアメフトXリーグの公式アンバサダーとして活動中の姫子さん photo by Murakami Shogoアメフトの国内最高峰・Xリーグのアンバサダーとして、今シーズンの熱き戦いを試合会場やSNSを通して盛り上げているのが姫子さんだ。…
今季からアメフトXリーグの公式アンバサダーとして活動中の姫子さん
photo by Murakami Shogo
アメフトの国内最高峰・Xリーグのアンバサダーとして、今シーズンの熱き戦いを試合会場やSNSを通して盛り上げているのが姫子さんだ。
アメフト一家に育ち、理学療法士の資格を持つなどスポーツとともに親和性の高い人生を歩みながら、モデルやスポーツ女子として活動の幅を広げている。そんななか、アンバサダーとしては、アメフトに対する知識を活かし、より多くの人たちにアメフトの魅力を伝えている
Xリーグは、11月23日からいよいよ王座を決めるプレーオフ「ライスボウルトーナメント」がスタートするが、まずは姫子さんの生い立ちからアンバサダーになるまでの歩みについて聞いた。
Xリーグアンバサダー・姫子さんインタビュー 前編
【アメフトに囲まれた環境で活発な「姫」に】
――姫子さんのご家族は、父・松岡輝茂さんがXリーグでヘッドコーチ(明治安田パイレーツ)を務め、3人のご兄弟も皆、現役含めて選手経験のあるアメフト一家です。また、伯父の松岡秀樹さんは、日大、社会人・レナウンで日本一にもなられている伝説的なクオーターバックでした。
「私、この仕事を始めるまでは伯父がそんなに偉大だったということを知らなかったんです(苦笑)。伯父の家に行ったら、いろんなトロフィーがあるなとは思っていましたが、自分からはあまり(すごい選手だったということを)言ってくるタイプでもなかったですから。
今年からXリーグのアンバサダーになって、シーズン開幕前の懇親会で『伯父さんはこうだったんだよ』と皆さんから言われて。『そんなにすごかったんだ』という感じなんです」
――お父さんと兄弟は、アメフト経験者ということですが、お母さんは何かスポーツはされていたのですか?
「母は体操やバスケットボールをやっていました。母は家族のなかで一番、運動神経がいいって自称していて、うちではよく物とかを投げて渡すんですけど、母が一番、コントロールがよくて、ここ(手元)にパンって来るんですよ(笑)」
――それはすごい。
「よく家族で公園に行って、アメフトやフリスビーでキャッチボールをしていました。そんな、アクティブな家庭でしたね」
――アメフトが身近にある家庭もそうそうないと思いますが、姫子さんとしても物心ついた時からアメフトが自然と周りにあった。
「生まれた時からあったと思います。アメフトのボールが家に転がっていました。家族全員が(漫画、アニメの)『アイシールド21』が好きでしたし、Wiiでアメフトのゲームをしたり。私が小さな時は、父がまだ現役でヘッドコーチをやっていたと思うんですけど、土日は父が試合でいなくて遊んでもらえなくて、伯父に遊んでもらっていたんです。
伯父とは弟と一緒にキャッチボールをしてもらったり、父の試合のグラウンドに連れて行ってもらったりもしていました。日本ではなんでアメフトが知られていないのか不思議だなと思うくらい、私にとっては身近なものでした」
――姫子さんの「姫子」という名前のインパクトがあり、アンバサダーとしても覚えてもらいやすいですね。
「よく『芸名かと思った』と言われるんですけど、芸名でそんな名前つける勇気ないですから(笑)。この名前は父と母がふたりで考えたんですけど、最初は『ちょっとかわいそうかもよ』と反対されたらしくて、でも、父と母は反対されると突き通したくなっちゃう厄介な性格なので、この名前になりました。
でも私、性格的に『姫』じゃないですよね(笑)。スポーツ好きで、キャピキャピ系ではない。高校時代でも木に登ったりしてたので『なんか違うよな』と思いつつ、でも(名前は)気に入っています」
――姫子さんは、どういったスポーツ歴があるのですか?
「子どもの頃には水泳、あと小学校では2年間だけ野球をやっていました。でも野球は本当に1回も勝ったことがなくて、30対0、2回コールド負けすることもあったチームでした。私は9番バッターでしたが、打席も回ってこず、打球も飛んでこずで、ただアリを眺めていました(笑)。
父方の祖母が9人制バレーボールでいい選手だったみたいで、それなら私もできるかなということで、中学高校はバレーボールをやっていました。そうしたら中学のチームが結構、体育会系の厳しいところだったんですけど、高校はチャリ通がしたくて近くの学校にして、そこがめちゃくちゃ緩いチームで弱かったんです。でも、バレーボール自体は好きだし、楽しかったです」
【モデル業とヘアドネーション】
さまざまなことに挑戦し続けている姫子さん
photo by Murakami Shogo
――姫子さんはモデルの仕事を始めたのも、一気に名前が知れ渡るようになったきっかっけも特殊なんですよね。
「はい。自分が選手としてケガが多かったこともありましたし、スポーツ系の仕事に就きたいなと思い、理学療法士の資格が取れる神奈川県立保健福祉大学へ行きました。卒業後には整体院に就職して働いていました。
モデルのお仕事を始めたきっかけは、大学2年生の時にダイソーに行った時にカメラマンだと名乗る方に『写真を撮らせてほしい』と声をかけられたことです。最初は怪しい人だなあと思っていたんですけど、話を聞いたらちゃんとしたカメラマンの方で。何回か撮ってもらったあとにその方から『素質があるからモデルやったほうがいいよ』と言われて、アマチュアカメラマンが集まる撮影会を紹介していただいて、学生のうちに何回か参加していました」
――そして、バッサリ切った髪を寄付する「ヘアドネーション」の様子がSNSにアップされたことで注目を集めました。
「私、献血をしたいと思っていたのですが、血が少なくてできなかったんです。でもなにかしらの形でそういうことがしたいなという思いがぼんやりとありました。大学では運動もしないし、この機会にとヘアドネーションをするためだけに髪を伸ばしていたんです。伸ばしておしゃれしようかな、巻いてみようかななどと思っていたのですが、伸ばしてみたら性格的に(長い髪のケアなどが)面倒くさくなってきて(笑)。
早く切りたいとなってしまってたんですけど、大学の実習が終わったタイミングでヘアドネーションをやっている美容室をインスタでたまたま見つけて。そうしたらその美容室の方から髪を切る様子を動画で撮っていいですかと言われて、その動画がアップされると、バズったんです。その後にSNSのフォロワーが急増して、インスタのDMなどを通してミュージックビデオ出演の依頼やCMの依頼を頂くようになりました」
――長い髪とお別れしたときは、寂しくなかったですか?
「なかったです。やっと切れるわあ、って(笑)。私、運動ができればよかったので、高校までは1000円カットしか行ってなかったんです。ケチっていただけというのもありますけど......」
――若い女性が1000円カットというのはなかなか聞かないです。
「どうなんですかね。私は結構、無頓着で運動ができればいいみたいな。中学の時はバリカンでスポーツ刈りみたいにしていましたし、めっちゃ短い時には男の子の角刈りみたいでした(笑)」
●Profile
姫子(ひめこ)/2001年生まれ、神奈川県出身。父、3兄弟がアメフト選手という環境で育ち、幼少期は水泳、野球など、中高校時代はバレーボールに打ち込む。スポーツトレーナーを目指し、理学療法士の資格を取得するための専門大学に通う一方、モデル活動を開始。テレビCM、アーティストのPVへの出演をはじめ、スポーツ女子としての活動の幅も広げている。2024年8月からアメフトの国内最高峰Xリーグのアンバサダーに就任。全国各地の試合会場に足を運び、ファンとの交流も含めてリーグを盛り上げている。