創価大・立石正広が3安打…右越え2ラン、右越えフェン直二塁打、左前打の躍動 来年のドラフト1位候補が全国舞台で強烈なインパクトを残した。創価大・立石正広内野手(3年)は20日、明治神宮野球大会の1回戦・佛教大戦に「3番・三塁」…

創価大・立石正広が3安打…右越え2ラン、右越えフェン直二塁打、左前打の躍動

 来年のドラフト1位候補が全国舞台で強烈なインパクトを残した。創価大・立石正広内野手(3年)は20日、明治神宮野球大会の1回戦・佛教大戦に「3番・三塁」で出場し、先制2ランを含む5打数3安打2打点と活躍。チームも8-4で勝ち、富士大との準々決勝にコマを進めた。

 初回1死二塁の先制機で第1打席を迎えた立石は、カウント1-0から141キロのストレートが真ん中に来たのを見逃さず、名刺代わりに“逆方向”の右翼席へ放り込んでみせた。「外野の頭は越えると思いましたが、意外に伸びてくれました。逆方向への打撃は自分の長所であり、調子のバロメーターでもあります」とうなずく。3回1死の第2打席でも、再び右翼方向へフェンス直撃の二塁打を放った。

 さらに6回の第4打席では、ストレート2球でカウント0-2と追い込まれた後、122キロのカーブを引っ張り左前打にする多彩さ。佛教大・國友健一監督は「立石くんは有名な選手ですから、いろいろ準備をして臨みましたが、それを上回られました」と脱帽した。

 26年ぶりに日本一に輝いたDeNAの河野亮アマスカウトは降り注ぐ雨に打たれながら、ネット裏で立石の全打席を動画に収めていた。「立石くんの一番の魅力は飛ばす力ですが、足も速いですし、三塁守備もいい。ドラフト1位になる可能性もあると思います」と絶賛する。

 さらに「全力疾走を怠らないですし、スライディングも激しい。こちらとしては怪我するのではないかと心配になるほどのハッスルプレーをします。そういうところは、ウチの(タイラー・)オースティン(外野手)と共通すると思います。逆方向の打球が伸びるところも、そうですよね」と笑う。今季打率.316で首位打者に輝き、ポストシーズンでは巨人とのクライマックスシリーズ(CS)、ソフトバンクとの日本シリーズで“逆方向”の右翼席へ計3発放り込んだオースティンになぞらえたのだ。

高川学園高では甲子園バックスクリーン弾…「ちょっと評価され過ぎ」

 一方、試合後に多くの報道陣に囲まれた立石本人は少々戸惑い気味。「もちろんプロ野球選手にはなりたいですが、リーグ戦の結果が伴っていないので、ちょっと評価され過ぎではないかと思います。来年4年生になって、見合った数字を残していければと思います」と謙虚に語った。

 山口・高川学園高3年夏に甲子園に出場し、1回戦の石川・小松大谷高戦でバックスクリーンへ2ランを放った。しかし、「高校通算本塁打は10本くらいで、甲子園での1発はたまたまパコンと行っただけです。プロ志望届を出すようなレベルではありませんでした」と大いに照れる。

 昨年の東京新大学野球連盟春季リーグで打率.500、5本塁打14打点をマーク。3冠王に輝いて一躍、注目の存在になった。同年秋も打率.394で首位打者。今春も打率.297、11打点で2冠に輝いている。今夏には「侍ジャパン」大学日本代表に選出され、チェコで行われた「プラハベースボールウィーク」では全4試合で4番を張り、優勝に貢献した。

 直近の今秋リーグ戦では打率.244、0本塁打2打点と低迷したが、今大会の出場権を懸けた「関東五連盟代表決定戦」で復調のきっかけをつかんだ。「“力を抜いて打った方が飛ぶ”という新しい感覚をつかめました。今は、ボールが自分の打ちたいポイントに来た時だけ力を入れるイメージで打っています」と説明する。来秋ドラフト会議までの1年で、どこまで成長し、どう変貌を遂げるか。(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)