9月から行われていた『U18日清食品トップリーグ バスケットボール競技大会2024』。11月16日には女子最終日を迎え、参加…

 9月から行われていた『U18日清食品トップリーグ バスケットボール競技大会2024』。11月16日には女子最終日を迎え、参加全8チームが国立代々木競技場第二体育館にて最終戦を戦った。

 今年、女子ではU18日清食品トップリーグに初参戦となったのが3チームで、そのうちの一つが慶誠高校(熊本県)。今夏の「令和6年度全国高等学校総合体育大会バスケットボール競技大会(インターハイ)」ではベスト8に入ったチームだ。

 その慶誠高校は、U18日清食品トップリーグの初戦でいきなり大阪薫英女学院高校(大阪府)を破ると、その後もインターハイ覇者の京都精華学園高校(京都府)、インターハイ・ベスト4の東海大学付属福岡高校(福岡県)を撃破。最終戦では京都両洋高校(京都府)に93−57と大差を付け、最終成績を4勝3敗の4位とした。

「最初にリードをしたのに最後に返されてしまったという試合が前にあったので、(京都両洋戦は)ミスをどう改善していくかがチームにとって大事だとみんなで考えていました。今日も(序盤にリードを奪うような)ゲームの入り方でしたが、第3クォーターでまた点差を付けて、最終的に勝利に結びつけることができたので、チームにとって自信になったと思います」と、ポイントガードの岸希(3年)は最終戦を振り返った。

 チームはインターハイを踏まえ、U18日清食品トップリーグでは得点源であるロー ジョバ(3年)を起点にしつつも、「得点がジョバだけになると相手にも対策されてしまうので、周りの選手がどれだけ点を取りに行けるか、外のシュートをどれだけ打てるか」を課題にして挑んだと岸。実際、7試合を戦って「大黒柱としてのジョバの得点力は大事なのですが、それ以上に周りが点を取りに行くという意識が強くなりました」と、手応えをつかんだ。加えて、「ディフェンスでも全員で守り切るといったことは、相手に上手な選手がいても、それにアジャストしたディフェンスができたので、すごく成長したのかなと思います」と胸を張った。

 京都両洋戦でも見せたように、187センチのジョバだけに頼らないオフェンスを司ったのがまさに司令塔の岸で、「いいところで3ポイントシュートを決めてくれる2年生やドライブで切り込んでからジョバにパスなどといったことができてよかったと思っています」と、4人が2ケタ得点を挙げた試合の感想を語る。また、岸自身もこの試合では「今まではどうやっていいパスを出すかを考えてたのですが、それだとパスばかりに意識が行ってしまうし、上の(レベルの)相手には読まれてしまうので、自分が点を取りに行くことを意識していました」と、3ポイントシュート4本を含む18得点と気を吐いた。

 ポイントガードとしてそしてキャプテンとしてチームを引っ張った岸は、テンポ良いパス回しなど常に落ち着いたプレーが目を引く選手。これには「1年生から試合に出させてもらい、経験をしてきたことが大きいかなと思います」と、本人は言う。さらには、「アシスト、パスを出すことが好きなので、いろいろなガードのパスの出し方を見て学んでいます」とも教えてくれた。

 岸の両親はともにバスケット経験者で、日本のトップリーグでプレーした父は高校、母は中学時代に日本一にも輝いたことがある。岸自身も東京都出身で八王子第一中学校(東京都)時代には全国大会を経験。そして高校の進学に際しては、慶誠高校の伊藤敏幸校長が母の中野第三中学校時代の恩師だったことから親元を離れ、熊本へと渡った。ミニバス時代は点取り屋、中学ではシューターだったため、本格的にポイントガードとなったのは高校から。試合後には両親との反省会もしながらバスケットIQも高めてきたそうだ。

 12月に控える『SoftBank ウインターカップ2024 令和6年度 第77回全国高等学校バスケットボール選手権大会』は、岸にとっては地元の東京開催。高校最後の全国大会では「いろいろな人が応援に来てくれると思うので楽しみです」と声を弾ませる。

「今のチームがスタートしたときに掲げていた目標が全国ベスト4。まだそこが達成できてないので、まずは全国ベスト4を目指すこと。ただ、今大会(U18日清食品トップリーグ)で全国ベスト4以上のチームとも戦えるということが分かったので、もっと上を目指して頑張っていきたいです」

 今夏のインターハイ、そして秋のU18日清食品トップリーグで躍進を遂げた慶誠。そのチームで名実ともにリーダーとしてけん引する岸は、高校でのラストステージでさらなる飛躍を誓った。

文=田島早苗