日本は小川の2ゴールと板倉の得点で3-1と勝利したが、失点シーンには課題が見えた(C)Getty Images 11月のインドネシア戦、中国戦は、実にアウェー感たっぷりの2連戦だった。 前者は強い雨と暑熱、後者は3~4mも幅を縮められた極狭…
日本は小川の2ゴールと板倉の得点で3-1と勝利したが、失点シーンには課題が見えた(C)Getty Images
11月のインドネシア戦、中国戦は、実にアウェー感たっぷりの2連戦だった。
前者は強い雨と暑熱、後者は3~4mも幅を縮められた極狭ピッチ。共にボールの転がりは不安定で、ピッチの状態は今ひとつだった。さらに相手方の大観衆によるプレッシャー。それでも、4-0、3-1で終えた。最終スコアは、この2試合の難しさを反映していない。
【動画】後半立ち上がりにまさかの失点…日本の課題が見えた中国戦の失点シーンを振り返る
インドネシア戦はチャンスを多く作ったものの、度重なるロングボールで背後を取られ続け、1~2失点しても不思議ではなかった。その反省があったのか、中国戦はより慎重さが見られ、ポジションを崩さず、相手も崩せず。3点も奪えたのは不思議なほど、日本のチャンスは少なかった。
2試合共に日本が苦しんだのは、3枚のダイレクトアタックだ。3-4-2-1のインドネシアと、4-3-1-2の中国は、3バックと4バックの違いはあるが、前線のペナルティーエリア幅に3枚が立つ点は共通している。
この3枚が、日本の3バックに同数で襲いかかってきた。安定した場面なら、ボランチやウイングハーフのカバーリングが利くが、カウンターやロングボールなどで、遠藤航が外されたり、ウイングハーフの戻りが間に合わないとき、多くのピンチを招いた。
遠藤のほうは仕方がない。1試合を通じて外されるケースが多少あったとしても、それ以上にボールを回収し、ピンチを未然に防いでいる。収支で言えば、彼は圧倒的にプラスだ。ダブルボランチの関係としては、プレッシング時に時折2枚が出過ぎることがあるが、試合中に相手を見ながら修正もしており、概ね問題はない。
一方で、改善と使い分けの必要を感じるのは、両ウイングハーフだ。
中国戦の後半3分の失点を振り返ると、まさに上述の遠藤のボール奪取が外された場面の一つだが、そこから日本の左サイドへ展開されたとき、日本は10番のウェイ・シーハオに対し、スライドした町田浩樹と、プレスバックした中村敬斗が被った。結果、中村が1対1で対応したが、町田は埋没し、中央は板倉滉と瀬古歩夢が2バック状態。インターセプト・フィルターも無い。そこへウェイ・シーハオから、ラストパスを許した。
インドネシアの3枚ダイレクトアタックは、個の突破力で勝負してきたが、中国は機動性を生かして後ろから4枚目、5枚目が加勢して来る。ラストパス場面で、1対2の数的不利になった瀬古は、スルーで裏をかかれ、フリーのリン・リャンミンに決められた。
このリン・リャンミンに伊東純也が下がってカバー出来なかったことも含め、中国戦は3バックとウイングハーフの連係に大きな課題が見えた。後半10分に中国GKからのロングキック一本でシュートまで持ち込まれた場面も、中国は4枚目となるMFが空中戦で競り合ったFWを追い越してきたが、伊東のカバーが遅れ、ここでも板倉と伊東が被る形になり、容易にチャンスを作られてしまった。
3バックに対し、中国は4枚目を素早く走らせて来るので、もはや3バックの個の対応云々では片付かない。全部はね返してしまえば構わないが、遠藤にしても、町田や瀬古らの空中戦にしても、100%で勝てるわけではないので、日本としては最終ラインをカバーしなければならない。だが、今回の両ウィングハーフはそこに居ても、連係が出来ていなかった。
三笘はスタメンで出ると、後ろの町田と頻繁にコミュニケーションを取りつつ、連係して守るのがうまい。堂安律も同様だ。彼らが主力のウイングハーフとしてスタメン起用されているのは、守備面も理由の一つなのだろう。
日本の3バックに3枚をぶつけて攻略の糸口をつかむ。インドネシアも中国も、明確なねらいを持って仕掛けてきた。そう、あれは日本を襲う、赤い三連星のジェットストリームアタック。あの攻撃を踏み台にしなければ、今後の連邦軍、いや日本の勝利は危うい。対戦相手の質が高ければ、日本の失点はかさむだろう。
どう対策するか。アプローチの一つは、改善を目指すことだ。今まで通りに試合の支配をベースとしつつ、時には攻撃的ウイングハーフにもカバーしてもらえるよう、連係を高める。もう一つは起用の使い分けだ。後半32分に橋岡大樹が入り、一気に安定感が増したように、守備重視の選手を試合に応じて使い分ける。
どちらかと言うより、この両方のアプローチで進むことになるのだろう。改善、ダメなら使い分け、共に破綻すれば4バック回帰も。徐々に難しさを増した最終予選だが、課題は見えつつも、結果はしっかりの日本代表。2025年はどうなるか。
[文:清水英斗]
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