サッカー日本代表が快勝した。インドネシア代表とW杯アジア3次予選を戦い、アウェイで4-0で勝利したのだ。その内容と結果は、どのような意味を持ち、そして、代表チームの血肉になったのか。今後、待ち受ける中国戦の展望も含めて、ベテランのサッカー…
サッカー日本代表が快勝した。インドネシア代表とW杯アジア3次予選を戦い、アウェイで4-0で勝利したのだ。その内容と結果は、どのような意味を持ち、そして、代表チームの血肉になったのか。今後、待ち受ける中国戦の展望も含めて、ベテランのサッカージャーナリスト、大住良之と後藤健生が語り合った。
■本物のスター選手になる「正念場」
――中国戦で、インドネシア戦からある程度、先発メンバー変わっても、不安はないでしょうか。
大住「中国の守備はとにかくもろい感じがするからね」
後藤「一番頼りになるティアス・ブラウニングがいないでしょ。前線では、キャプテンのウー・レイもいない。バーレーン戦で決勝点を取ったジャン・ユイニンも、得点後に相手に足を踏まれて担架で運ばれていたよ」
――選手層が厚い日本で、見てみたい選手は誰ですか。
大住「久保建英は本物になれるかどうか、すごく大事な時期にいると思うんだよね。バルセロナ戦で見せたあれだけのプレーを2試合、3試合と続けられたら本物のトップスターになれるよね」
後藤「10月シリーズで、久保にまた焦りが出ていると話したけど、バルサ戦であれだけの試合をしたんだから、精神的にもかなり落ち着いてプレーできるはず」
大住「今回のインドネシア戦で、どうして久保を使わないのと思って見ていたけど、2試合を考えてのことだったかもしれないね。中国戦では久保に期待したいよね」
後藤「久保と堂安律は随分と長く一緒にプレーしてきたけど、久保と伊東純也を一緒に使ったらどうなるんだろうね」
大住「久保は頭が良いから何でもできると思うけど」
後藤「インドネシア戦では堂安が長く出て、伊東は終盤に出てきただけだから、久保と伊東という組み合わせを長く見られるかもしれないよ」
■三笘薫をサブに「中村敬斗」を先発
――中村敬斗はどうですか。
後藤「素晴らしいじゃないですか。見るたびにすごいプレーをしている」
大住「同じ左ウィングでも、三笘薫とは違うすごさがあるよね。あのシュート力は、なかなかないものだよね。きれいなシュートを決めるもんな」
後藤「日本という枠を超えても、なかなかいないよね。ヨーロッパでも有数のシュートの名人」
大住「見ていて、本当にうまいよね。きれいだよ。中3日という理由があるから、変えるには良いチャンスじゃないかな。三笘をサブにまわして、中村を先発で使う。右には伊東で、インサイドには久保。まあ、CFは小川航基だろうね。森保一監督は、やはり相手のゴールに背中を向けて、ボールを受けてくれる人が欲しだろうから」
後藤「そうだね、その人材がなかなかいなくてね。そういうプレーができそうな人(上田)が現れたので、一安心なんだけど」
大住「後ろは変わらないと思う。いきなり遠藤航と守田英正のどちらかを引っ込める、というわけにはいかないもんね」
■田中碧は「大好物の相手」まで温存
後藤「でも、田中碧もリーズで調子が良いんでしょ」
大住「田中は大好物のオーストラリア代表との試合にとっておこうよ。あとは、最終ラインをどうするかだね。今回の試合でまた少し慣れた橋岡大樹を使うのが、順当だとは思うけど。あるいは関根大輝を使うか。前の方は2、3枚変わることはあると思うけど、最終予選だから総入れ替えをするわけにはいかないはず。とはいえ、中国に勝ったら勝点16になるから、本大会出場はほぼ決まりだと思うけど」
後藤「僕はもう、開幕前から決まりだと思っていたけど、投票所が閉められて開票作業が始まる前なのに、もう当選確実が出るようなものだよ」
大住「勝点3を積み上げたら、現状で他チームとの間にある勝点7差が縮まることはないんだからね」
――本大会出場に王手をかける一戦になるかもしれませんね。
大住「ここで緩んで引き分けるとか、勝点を落とすようなことは絶対に避けないといけない。攻撃陣の先発を3人入れ替えてもまったく冒険などではないけど、最終ラインを大幅に入れ替えることは、ちょっとあり得ないかな。そんなこと、森保監督はしないだろうけど」
後藤「してくれ、とお願いしても、してくれないよ。遠藤と守田のボランチコンビだって変えないよ。後半になって田中を使うことはあるかもしれないけど」
大住「遠藤と守田は、ワールドカップ本大会でも、おそらくけっこう良いレベルにつけるコンビだと思うよ」