テニスの審判に携わり40年。ATPツアーの主審を務め始めてから32年が経過して、カルロス・ベルナルデスさんが主審の審判台を降りる決断を下した。ATPツアー最後の試合は17日まで行われていた男子テニスの最終戦Nitto ATPファイナルズ(…

テニスの審判に携わり40年。ATPツアーの主審を務め始めてから32年が経過して、カルロス・ベルナルデスさんが主審の審判台を降りる決断を下した。ATPツアー最後の試合は17日まで行われていた男子テニスの最終戦Nitto ATPファイナルズ(イタリア/トリノ、室内ハード)の決勝戦 J・シナー(イタリア)vsT・フリッツ(アメリカ)の一戦だった。
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ブラジル出身のベルナルデスさんはP・サンプラス(アメリカ)A・アガシ(アメリカ)R・フェデラー(スイス)R・ナダル(スペイン)、そしてN・ジョコビッチ(セルビア)、数々の名勝負を主審として裁いてきた。
「テニスとの最初の出会いはブラジルでの子ども時代でした。地元のクラブに登録するまでは、フェンスを飛び越えてプレーしに行っていました。それ以来、私はテニスの一部となり、このようなたくさんの経験ができたことをとても幸運に思っています」
1984年からコーチ業をスタートさせたベルナルデスさんは、やがてサンパウロで開催された女子国別対抗戦で線審を担当することになり、これが審判としてのキャリアスタートとなった。南米の各地でコーチと審判を両立させると、1992年からはATPの主審として審判1本で世界を転戦。キャリア初期はアメリカ担当として試合を裁いた。
「南米でのトーナメントから始まり、その後アメリカに配属されました。1996年にサンノゼで開催された大会を覚えています。その大会にはサンプラス、アガシ、チャンが出場していました。サンプラスは当時1位でした。ブラジルの路上でテニスをしていたのに、サンプラスやアガシの審判をするようになるなんて......信じられないことです」
ATPのランキングで1位を記録した29選手のうち、ベルナルデスさんは24人の主審を担当したことがある。M・ビランデル(スウェーデン)からシナーまで多くのスター選手と特別な関係を抱いてきた。
「サンプラス、アガシ、チャン、エドバーグ、ビランデル、ベッカーの試合を担当した。今週、トリノでボリス(ベッカー)に会えたのは嬉しかったですね。彼は私に話しかけてきてくれました。ベッカーはコート上でとてもカリスマ性がありました。それに、サンプラスとアガシの試合は忘れられません」
さらにベルナルデスさんはフェデラー、ナダル、ジョコビッチ、そしてA・マレー(イギリス)J・M・デル=ポトロ(アルゼンチン)S・ワウリンカ(スイス)の試合を担当したときの興奮を回想した。
「私の最も長い試合のいくつかはマレーとのものだったと思う。後で彼に会って『どうやって試合してたの?』と聞くと、彼は『もう歩けないよ』と毎回言うんです」
また、審判として最も思い出に残っている試合は2011年のウィンブルドン(イギリス/ロンドン、芝、グランドスラム)決勝のジョコビッチvsナダルだと明かした。この試合はジョコビッチがナダルを下して優勝するとともに、世界ランク1位を決めるものでもあった。
「ウィンブルドンは会場全体がマジックみたいなもの。私がテニスを始めたのはウィンブルドンがきっかけでした。センターコートで主審をすることは、この上ない経験です。2011年の決勝は本当に特別でした」
60歳となったベルナルデスさんは30年以上にわたり世界を選手とともに転戦。そのなかで4つの都市をあげて思い出を語った。
「メルボルンは大好きだよ。夜中の2時に歩いてホテルに戻れるんですからね!(笑)。それにモンテカルロはとても美しい。特に雨が降っていないときはね。あと、私が初めてグランドスラムの審判をしたニューヨークは、いつも忘れられないです。そしてバルセロナも。テニスを観客として見るなら、バルセロナが1番だと思います。ランク的にはトップとはいえない2人がコートに出るかもしれないけど、そういうときでもスタンドは満員になるんです」
最後にベルナルデスさんは2025年以降ツアーで義務化される電子ラインコールに言及した。
「今は電子コールがあるから、選手とあまり話をする必要がないんです。コールを覆す必要も、説明する必要もない。今はスタジアムの音楽に耳を傾けるだけ。より機械的になってきているしだからこそ慎重になる必要があると思います。私は正しいコールをするというプレッシャーを楽しんでいました。でも、今はたとえボールがアウトだと思っても、後ろに座ってテクノロジーに判断を任せています」
「私にはたくさんの物語があります。8,000試合以上を審判としてこなしてきましたが、そのうちのたった1パーセントにも、たくさんの思い出が残っています。でも、特に印象に残っているのは、出会った人々です。人生の半分を故郷を離れて過ごしてきたのだから、人々や場所を受け入れなければならない。今年は、ファンやスタッフが私に声をかけてくれました。素晴らしい環境です」
ベルナルデスさんは今年9月の木下グループ ジャパンオープンテニス チャンピオンシップス2024(日本/東京、ハード、ATP500)にも主審として参加。会場アナウンスでは主審としてのキャリアを祝福するメッセージも送られていた。
今後は、20日に開幕する男子国別対抗戦デビスカップファイナルズ・ファイナル8(スペイン/マラガ、室内ハード)に主審として参加し、そのキャリアを終える。
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