FIAワールドモータースポーツカウンシル(WMSC)は11月15日、WRC委員会がメンバーからの支持を得て提案した、ラリー1でのプラグイン・ハイブリッド技術の使用を2025年は休止するというWRCの技術規則の変更を、電子投票によって承認した…

FIAワールドモータースポーツカウンシル(WMSC)は11月15日、WRC委員会がメンバーからの支持を得て提案した、ラリー1でのプラグイン・ハイブリッド技術の使用を2025年は休止するというWRCの技術規則の変更を、電子投票によって承認した。これにより、2025年はラリー1マシンが既存のプラグイン・ハイブリッド・ユニットを使用しなくなることが確定した。12月11日に開催される次回の(WMSC)に提案される2027年規定の作業方針に沿ったものとなっている。

2025年は、100%持続可能な燃料を使用することで、ラリー1マシンは軽量化され、運転しやすくなり、メンテナンスの複雑さも緩和されてランニングコストが安くなるが、1月の開幕戦ラリーモンテカルロからもスペクテイターに対しての見応えはそのままという構想だ。ラリー1を存続させながら選手権のトップレベルで戦うチームやドライバーが参戦しやすい環境を残すと同時に、ラリーファンに白熱のバトルを提供することができる。

同時に、ハイブリッド技術の使用を一時停止することで、チームやメーカーは全体的な支出を減らすことができる。さらにラリー2レベルからWRCのトップクラスにステップアップを目指すドライバーにとって、カテゴリーの移行が簡素化されるというメリットもある。

実際、今季のラリーポーランドでは、マルティンス・セスクスが初めて、ノンハイブリッドでシステム相当のバラストを積んだフォード・プーマ・ラリー1で参戦し、トップ3タイムを3本マークし、3SSにわたって総合2番手につける活躍を見せた。

2025年から、ラリー1車両の最低重量は1260kgから1180kgに下げられ、エアリストリクターのサイズは36mmから35mmに縮小。これにより、2024年と2025年の車両間のパワーウエイトレシオは同等を維持する。

FIA総裁のモハメド・ビン・スライエムは「ラリーの豊かな伝統と独特の魅力は、自分自身にとってもかけがえのないものであり、我々はその未来を守るために全力を尽くしている。この探求は、選手権の関係者が進化するエネルギー事情に適応するためだけでなく、コスト抑制のためにも重要なことだ。持続可能な燃料と車両技術の簡素化に重点を置くことで、WRCがファンを魅了し、競技者にとっては現実的に参戦ができる選手権であり続けるようになるを守っていく」とコメントしている。

FIAチーフテクニカル&セーフティオフィサーを務めるクサビエ・メステランーピノンは「主要な選手権関係者との広範な対話を通じて、WRCにとって、既存のサプライヤー契約に基づいて提供されるプラグイン・ハイブリッド・ユニットを使用し続けることは、もはや得策ではないことが明らかになった」とコメント。
「我々は、2027年の技術規則に向けた作業展望に沿った模索を行うことで、WRCがより良く、より強くなることを確信しながら前進することができる。今回の変更でも、競技の見応えを弱めることなく、時代の課題を責任を持って受け入れながら適応する選手権の能力を明らかにできた。また、100%持続可能な燃料を使用することが、選手権にとって環境負荷低減へのコミットメントの礎となっていることも喜ばしいことだ」