今季のマカオGPはウゴチュクが制した(C)Getty Images 中国のマカオ特別行政区で毎年11月に開催されるマカオグランプリ(11月17日決勝、マカオGP)が久々に日本で注目を集めた。まだポルトガル領だった1954年から中心部の公道を…
今季のマカオGPはウゴチュクが制した(C)Getty Images
中国のマカオ特別行政区で毎年11月に開催されるマカオグランプリ(11月17日決勝、マカオGP)が久々に日本で注目を集めた。まだポルトガル領だった1954年から中心部の公道を使って開催され、今年で70周年。国際自動車連盟の公認レースではF1以外で「グランプリ」を名乗ることができる唯一の大会となっている伝統のレースだ
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F1への登竜門レースというイメージが定着したのは国際格式のF3のレースが実施されるようになった1983年から。全日本F3、イギリスF3など世界各地にナショナルF3があり、そこから上位チームが招待されたことから「F3世界一決定戦」として扱われるようになった。
初代ウイナーとなったアイルトン・セナ(ブラジル)、1990年大会勝者のミハエル・シューマッハー(ドイツ)ら後にF1王者となる選手らを輩出。2001年の佐藤琢磨、08年の国本京佑と2人の日本選手が優勝を果たした。多くの有能な人材が誕生したこともあり、16年からは「F3ワールドカップ」の名称で国際自動車連盟(FIA)公認の国際レースとなった。
ところがFIAは19年に新しいF3カテゴリーを立ち上げ、F1レースに併催される「FIA―F3」が誕生したことでマカオGPも変化を迫られた。メインレースも同年から新規格のF3レースとなり、レギュラーで出場する欧州のチームが中心に。旧F3を戦ってきた通算4勝のトムスなど日本から遠征していた常連チームの出場が難しくなった。
20年からは新型コロナウイルスの感染拡大の影響で3年連続でローカルシリーズの中国F4などを軸とする大会としてしのいだ。昨年の大会でF3ワールドカップが復活したものの、実質的には年間シリーズ戦の延長戦ような位置付けだったこともあり、今年からは旧F3を継承するように世界各地で誕生したフォーミュラ・リージョナルのワールドカップに模様替えされた。
日本でもフォーミュラ・リージョナルのシリーズが行われており、日本からトムスとTGMグランプリの2チームが出場。トムスにとっては18年以来、6年ぶりのマカオ見参となった。TGMからエントリーした佐藤凛太郎は佐藤琢磨の長男。2005年生まれの18歳で今季から本格的に四輪デビューを果たし、日本のFIA―F4に参戦した。
ただ、マカオGPとしても正念場だ。2005年のルーカス・ディグラッシを最後にメインレースのF3を制した選手から1人もF1ドライバーが誕生していない。昨年の大会を制したルーク・ブラウニング(英国)も今季はFIA―F3シリーズでランキング3位ともう一歩だった。フォーミュラ・リージョナルもF3とF4の中間にあたるカテゴリー。F1への道のりはまだまだ遠い。ライジングスターの登場が待たれる。
[文/構成:ココカラネクスト編集部]
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