【長岡一也=コラム「競馬白書」】◆近年好調の外国人騎手は今年も好走チャンス大 マイルチャンピオンシップは、これまで連覇を達成した馬が6頭いて、今年はナミュールが7頭目をめざしている。昨年もセリフォスが連覇を狙っていたが、久々のレースで力み…

【長岡一也=コラム「競馬白書」】

◆近年好調の外国人騎手は今年も好走チャンス大

 マイルチャンピオンシップは、これまで連覇を達成した馬が6頭いて、今年はナミュールが7頭目をめざしている。昨年もセリフォスが連覇を狙っていたが、久々のレースで力みがあり、8着に終わっていた。このセリフォスが勝った2年前は3歳で斤量が56キロと他より軽かった。この10年で3勝して4連対を記録している3歳馬のこの斤量は、かなり有利に働いている。それと、3年前に連覇を達成したグランアレグリアは5歳牝馬で、そのときの斤量は55キロと、やはりアドバンテージがあった。このことから考えると、今年のナミュールは5歳牝馬で斤量が56キロだから、条件的には有利と見ていいだろう。

 このナミュールは、昨年はメンバー中唯一の牝馬で、キャリア13戦目初のビッグタイトルを獲得していた。3歳時はオークス3着、秋華賞2着と上位に食い込んで能力のあることは知られていたが、その後の4歳春が勝ち切れていない為、前哨戦の富士Sを好タイムで勝ちながら5番人気に甘んじていた。それと、騎乗予定だったL.ムーア騎手が午前中のレースで落馬負傷し、藤岡康太騎手の代打騎乗となっていた。急きょの乗り替わりだったが腹をくくって末脚にかけ、後方から直線に入りグイグイ加速し、メンバー最速の上がり3ハロン33秒0で勝利をつかんでいた。日本人騎手の矜持を見たと新聞の見出しになっていたが、慌てず騒がず代打ホームランを放った昨年のこのレースは、マイルCS史上に残る名シーンだった。

 今年は、安田記念2着から5ヶ月半ぶりの実戦だが、ヤヤ重ながらナミュールの決め手は一番光って見えたし、久々を苦にするタイプではないので、56キロの斤量味方に連覇の可能性は高いとみたい。今回騎乗するC.デムーロ騎手は、スタニングローズでエリザベス女王杯を勝ったばかり。同じ京都の外回りコースだから、十二分に力を出し切ってくれるだろう。

 秋のビッグレースには、海外から次から次と騎手が来日する。マイルCSはその中でも一番多く外国人騎手が勝っている。この10年で6勝2着5回、3着2回と好成績を残してきた。今回は欧州最強マイラー、チャリンがムーア騎手の手綱で挑んでくる。この英国の名マイラーは4歳の今年は7戦5勝2着2回とパーフェクトの内容。引退レースのここでは、走り切って有終の美を飾りたい。速いタイムの決着にならないときにチャンスがあるだろう。

 ルメール騎手のブレイディヴェーグも牝馬で56キロを味方に抜群の決め手でのぞんでくる。キャリア6戦中3戦で上がり3ハロン32秒台、マイルは初めてだが、前走の楽勝から勢いに乗っている。

 3人の外国人騎手の中に割って入ってくるのは、団野大成騎手のソウルラッシュか、戸崎圭太騎手のジュンブロッサムと見ている。好レースは間違いない。

「マイル王 鋭く差して 頂点に」