『ハイキュー‼』×SVリーグ コラボ連載(14)Astemoリヴァーレ茨城 長内美和子(連載13:日本製鉄堺ブレイザーズ上村琉乃介は劣勢でこそ燃える 日向翔陽のように「戦える選手になりたい」>>)(c)古舘春一/集英社(連載13>>)「目標…
『ハイキュー‼』×SVリーグ コラボ連載(14)
Astemoリヴァーレ茨城 長内美和子
(連載13:日本製鉄堺ブレイザーズ上村琉乃介は劣勢でこそ燃える 日向翔陽のように「戦える選手になりたい」>>)
(c)古舘春一/集英社
(連載13>>)
「目標は"チームの象徴"というか、そういう存在になるということです。『このチームで勝ちたい』って思いは強いし、今年で私は9年目でキャリアも(チーム内で)一番長くなったので。でも在籍年数だけじゃなくて、結果を出して『誰が見ても中心。いなくちゃいけない存在』ということをプレーで示していきたいです」
長内美和子は、長くバレーボールの世界にいる自負をさわやかな笑顔の中に込めた。現在のチームポスターでもセンター。日本代表としてワールドカップ、ネーションズリーグに出場した経歴は伊達ではない。それでも、彼女が目指す理想像があるのだろう――。
長内は、正真正銘の"バレー少女"だった。母親はママさんバレーをやっていて、7歳上の兄の試合も応援に行った。幼い頃からバレー漬けの生活で、小学3年で名門の「東金町ビーバーズ」に入部したが、入る前から「バレーがしたい」とうずいていたという。
「最初は『自分もやってみたい』という単純な好奇心でした。幼い頃からコートの端っこでボールを触ったり、子ども同士で下手くそでもつないだり。それが楽しかったので、『早くやりたい!』って。バレーが大変な競技なことは兄にも聞いていたんですけど、最初はボールを使った遊びがメインだったし、『できないことも楽しい』って夢中になりました」
彼女は、バレーに恋をした。
「できることが増えていく楽しさがありましたね。ビーバーズは練習メニューを全員でやるので、誰でもクイックやブロードを打つし、いろいろやるなかで『これも、あれもできる』となっていく。たとえば、サーブをアンダーで打っていたのがフローターで打てるようになり、そこからジャンプフローター、ジャンプサーブになる、といった過程がすごく楽しくて」
好きこそものの上手なれ。それが彼女の天分だった。
「楽しくやっている時は『うまくいっている』と感じるので、そこを大切にしながらやっています」
長内は言うが、不運に見舞われたこともあった。
「これまでほとんど経験していないんですが、高3の時は病気やケガなどで、常に何かと戦っている感じでした。インターハイ前には喉の痛みで緊急入院を勧められたし、大会の初戦は意地で勝ったんですが、今度は(足底筋膜炎で)足を着くことすらできなくなっちゃって。開催地の大阪で鍼灸師の方にお世話になりながら決勝まで進み、準優勝でした。
春高バレーの前も、左足首の捻挫で跳べなくなってしまって。でも、チームが勝ち上がるなか、テーピングでぐるぐる巻きにして準決勝に出してもらったんです(試合には敗れてベスト4)」
どれだけバレーが好きなのか。それを試されているようだった。彼女はその試練を乗り越えた。
「ケガや病気がなかったら、もっといい経験ができていたはずですけど......」
彼女は柔らかい口調でそう言ってから、凛として続けた。
「コートの外から春高(でプレーする仲間たち)を見ていましたが、勝ち上がるたびに相手も強くなる。でも、自分は出られないから、仲間に声をかけるしかない。それで毎回、心を込めて言葉を伝えていたら、ある時に"チームメイトに届いた"瞬間があって。そこで、『思いはつながるんだ』と感じました」
その経験は、彼女の強さに還元されている。今はチームの中心選手として、アウトサイドヒッターとしてトスを託される立場だ。
「スパイクだけが仕事ではないんですが、サーブレシーブがダメなときよりも、スパイクでダメなときのほうが責任が重いと感じます。サーブレシーブは社会人からやるようになって、1、2年目はサーブで狙われることが多かった。それで練習を重ねたんですが、『上がってきたトスを決めればいいじゃん』ってマインドも大切だなと。
スパイクで責任を果たす、というんですかね。セッターにいいパスが返らなくて、苦しいトスになっても私が打ちきれたら点になる。その役目が果たせないとつらいですけど、果たせたら負けないですから」
長内は明るい声で言った。
【長内が語る『ハイキュー‼』の魅力】
――『ハイキュー‼』、作品の魅力とは?
「漫画は最後まで読みましたし、アニメも映画も観ました! 魅力が詰まっていて、『バレーっていいスポーツだな』って思います。バレー教室で教えることもあるんですが、『ハイキュー!!がきっかけでバレーを始めました』という子供たちも多いです」
――共感、学んだことは?
「梟谷学園の木兎(光太郎)さんは"ザ・エース"って感じでいいですね。"しょぼくれモード"も『かわいいな』って思いますし、そこから『自分がやらなきゃ』ってなるところもいいですね」
――印象に残った名言は?
「稲荷崎戦での、烏野の田中(龍之介)の『ところで平凡な俺よ 下を向いている暇はあるのか』というシーンが大好きで。アニメはそこの部分だけ、落ち込んだときに何度も見返しています。私は、自分のことを『うまい』とか『天才』とか思ったことはないので、落ち込んでいる暇はないって励まされるんですよ」
――好きなキャラクター、ベスト3は?
「1位は木兎さん。2位は稲荷崎の北(信介)さんで、『ちゃんとやんねん』も名言ですね。コツコツ系のキャラクターが好きなんですが、ユニフォームをもらって泣いているシーンとかも最高。3位は田中です。一番身近にいそうなキャラですよね」
――ベストゲームは?
「映画も好きなので、烏野vs音駒も捨てがたいんですけど、烏野vs稲荷崎ですね。宮兄弟も、北さんのエピソードもいいし、田中の名言が出たのもこの試合なので」
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【プロフィール】
長内美和子(おさない・みわこ)
所属:Astemoリヴァーレ茨城
1997年7月19日生まれ、東京都出身。175cm・アウトサイドヒッター。小学3年でバレーボールを始め、中学時代には東京代表として全国大会を制覇した。文京学院大学女子高校ではインターハイ準優勝、春高バレーベスト4。2016年にAstemoリヴァーレ茨城に入団。同年にU-23日本代表メンバーに選出され、2019年にはシニア代表に選ばれた。