ブンデスリーガ日本人選手レポート 前編ブンデスリーガで活躍する日本人選手の模様を、現地ドイツで取材を重ねるライターの林遼平氏が詳報。11月のW杯アジア最終予選を戦う日本代表に選ばれた板倉滉や堂安律のプレーぶりをレポートする。【動画】林遼平の…
ブンデスリーガ日本人選手レポート 前編
ブンデスリーガで活躍する日本人選手の模様を、現地ドイツで取材を重ねるライターの林遼平氏が詳報。11月のW杯アジア最終予選を戦う日本代表に選ばれた板倉滉や堂安律のプレーぶりをレポートする。
【動画】林遼平のブンデスリーガ現地レポート 日本人6選手の現在地↓↓↓
【ノリに乗っている】
板倉滉(ボルシアMG/DF)
11月の日本代表に選ばれた板倉滉選手は、まさに"ノリに乗っている"という言葉が合っていると感じます。第7節のハイデンハイム戦では本当にストライカーのようなシュートで、本人も「いいゴールでした」と自画自賛するゴールを決めています。その試合は終盤に追いつかれそうな試合展開でしたけど、最後の最後まで体を張った守備で勝利に貢献し、現地メディアからも最高の評価点をもらっていました。
第10節のライプツィヒ戦はスコアレスドローでしたが、上位チームに対して守備に回る時間が長かったなかで、最終ラインを統率しながらギリギリのところで抑える場面が多く、『キッカー』誌の採点でも今季最高タイの「2.5」(※1が最高点)の評価も得ています。
チームとしては前回の代表ウィーク明けから2勝2分けで結果は出ているんですが、試合を見ると守備的には危ない場面も多いんです。中盤のプレスバックが遅いこともあり、最終ラインの選手が1対1を要求されるシーンがよく見られます。それでも、カップ戦のフランクフルト戦では、リーグ得点ランキングトップにいるオマル・マルムシュ選手をうまく抑えていましたし、彼自身のパフォーマンスはいい状況が続いている印象です。
日本代表に関しては、ケガ人も多いなかで「チームをまとめなければいけない」という話もしていました。年齢的には最終ラインだと長友佑都選手や谷口彰悟選手の次の年長者。そのなかでチームをまとめなければいけない思いも強くなっていますし、クラブでのパフォーマンスを代表でも見せることができれば、より引き締める役回りができるのかなと思います。
ブンデスリーガで好調の堂安律(左)と板倉滉(右)。サッカー日本代表での活躍にも期待
photo by Getty Images
【リーグの月間MVP候補に】
堂安律(フライブルク/MF)
堂安律選手は10月の全4試合に出場して2ゴール、1アシストという結果を残し、ブンデスリーガ公式から月間MVP候補に選出されるほどのパフォーマンスを見せています。公式サイトでも「彼ほどフライブルクの前向きな成長を象徴する選手はいない」と。「この日本人プレーヤーはその類稀な才能の片鱗を常に見せてきたが、その効率性にやや欠けるところがあった。だが、そこが今シーズン変わった。躍動感あふれるウインガーは結果で示している」と評価されています。
チームでも今季最多ゴールを挙げています。特に第8節のライプツィヒ戦では今季4点目のゴールを決め、それ以外のプレーでも切れ味鋭いドリブルやクロス、シュートを見せていました。それにボールを取られないなという感覚がすごくあります。フライブルクはこの試合に負けたんですけど、『キッカー』誌も堂安選手に相手のマン・オブ・ザ・マッチと同じ最高点の評価を与えていました。
ただ、本人が言っているのは、納得できるトップパフォーマンスだったのは、まだライプツィヒ戦と第6節のブレーメン戦の2試合くらいだと。結果だけを見れば絶好調と思われがちですけど、本人的にはまだ満足していないんです。
実際になかなかボールが回ってこない試合もあります。周りとコミュニケーションを取りながら、どうにかうまくボールを受けて自分からきっかけを作ろうとしているんですけど、うまくいっていない時も多い。そういうところで本人としてはまだ納得のいく試合が少ないのかなと思います。
とはいえ、ここからトップパフォーマンスの試合が増えればもっと結果が出る、そこが伸びしろなんじゃないかという話もしていたので、今後がすごく楽しみです。
後編「進境著しい佐野海舟、チェイス・アンリらの現地評価」へつづく>>