エリザベス女王杯の勝ち馬で前走の府中牝馬Sを勝ったブレイディヴェーグ(牝4、美浦・宮田敬介厩舎)、昨年の勝ち馬ナミュール(牝5、栗東・高野友和厩舎)、悲願のGI制覇を狙うソウルラッシュ(牡6、栗東・池江泰寿厩舎)らが出走する第41回マイ…
エリザベス女王杯の勝ち馬で前走の府中牝馬Sを勝ったブレイディヴェーグ(牝4、美浦・宮田敬介厩舎)、昨年の勝ち馬ナミュール(牝5、栗東・高野友和厩舎)、悲願のGI制覇を狙うソウルラッシュ(牡6、栗東・池江泰寿厩舎)らが出走する第41回マイルチャンピオンシップ(3歳上・GI・京都芝1600m)。
外国馬チャリン(牡4、英・R.ヴェリアン厩舎)も参戦する注目の一戦を新進気鋭の“回顧派”予想家「Orfe」氏はどう見るか。前哨戦の分析を中心に展望する。
(文=Orfe)
◆前哨戦分析
マイルCSの主要な前哨戦3レースについて、私の提唱しているレースバイアス(展開・馬場などレース結果に影響を与えたであろうバイアスの総称で最も影響が大きい4角での位置取りを基に独自の基準で判定。以下RBと表記)に基づいて検証したい。
・毎日王冠(GII):RB『前有利』/逆バイアス好走馬=該当なし
ホウオウビスケッツが好スタートからすんなりハナを奪ったものの、外からエルトンバローズが掛かるように並びかけたことで両騎手が手綱をかなり抑えるようなレースの入りに。
特にホウオウビスケッツは岩田Jが目一杯手綱を絞っており、折り合いをつけることに苦労したがそれでもこの2頭がともに上がり3F 33秒後半をマークし2・3着と、前が全く止まらないほど強烈な前残りバイアスだった。
オフトレイルが次走距離短縮でスワンSに出走し2着に好走しているように、この組の逆バイアス馬が次走巻き返す確率はかなり高そうで今回は出走馬がいないがヨーホーレイク・トップナイフ・ローシャムパークの次走は注目。
・府中牝馬S(GII):RB=『後有利』/逆バイアス好走馬=フィアスプライド
前半1000m通過58.7秒と淡々と流れながらもレース上がり3Fが加速ラップとなり、内から馬群を捌いて抜け出したマスクトディーヴァを外から上がり3F 32.8秒の豪脚を繰り出したブレイディヴェーグが差し切ったレース。
逃げたコンクシェルの上がり3Fが推定11.7-11.4-11.8程度でラスト1Fも完全に止まっておらずキレ負けた形で、先日エリザベス女王杯でも触れた通りここで先行し4着に好走したフィアスプライドは注目。ただし、前走もキレ負けた形で今年のメンバーだと上がり勝負になる可能性がかなり高い点がどうか。
・富士S(GII):RB=『前有利』(暫定)/逆バイアス好走馬=ジュンブロッサム・セリフォス
本レースは直線外から追い出したジュンブロッサムと馬群の中ほどを抜けてきたソウルラッシュの叩き合いとなり、これをジュンブロッサムが制し5歳にして初重賞制覇を手にした。
ここでは力が足りないという見立てだったバルサムノートやコムストックロードが0.5差の5、6着という結果から暫定で『前有利』というバイアス判定に加え、この2頭が内で運んでいたことから外10番手から差し切ったジュンブロッサムは評価が高い。
◆狙い馬、過大評価禁物の馬
これらを踏まえてマイルCSでまず狙いたい馬はジュンブロッサム。
前述の通り富士Sは『前有利』に加え『内有利』に傾いていた可能性が高く、このレースで外10番手から差し切った内容は評価せざるを得ない。また、2走前の関屋記念も『前有利』なRBを18頭立て16番手から追い込み、ここも逆バイアスで3着に好走。
馬柱に目を向ければ右回りより左回りに良績が集まっているが、場所別に見れば成績が落ちるのは中山・中京・阪神とゴール手前に急坂のあるコースなので、右回りということでオッズが甘くなるなら。3勝クラスを勝ち上がるまでに時間を要したがOP入り後は重賞2戦どちらも逆バイアスながら結果を残しており、今回RBに恵まれるなら一気にGI馬まで駆け上がってもおかしくはない。
もう一頭、ナミュールを挙げておく。
前走の安田記念のRBは『フラット』。『フラット』の場合次走最優先で狙いたいのが着差0.2差以内かつ上がり5位以内のパフォーマンスを出した馬。ナミュールの前走は着差0.1かつ上がり最速でこれに該当する。
同じくこの条件に該当したソウルラッシュが次走富士Sで2着に好走している点も強調材料に。今回安田記念以来、中24週の休み明けとなるが中7週以下1-1-1-5/8に対して中8週以上で4-2-0-1/7と鉄砲が利き、さらに昨年の覇者でもあり舞台適性も申し分ないだろう。
一方で過大評価禁物な馬としてはブレイディヴェーグを挙げておく。
RBからは2点に注目したい。前走の府中牝馬Sはおよそ1年ぶりの復帰戦でありながら他馬を寄せ付けず完勝を飾ったが、その府中牝馬Sは『後有利』なRBでバイアスに恵まれての好走であるというのがまず1点。
さらに、この府中牝馬S組からはエリザベス女王杯に7頭が出走し、この中には2着シンティレーションや5着ルージュリナージュも含まれていたが7頭すべて着外に沈んでいる。
エリザベス女王杯ではシンティレーションが大きな不利を受けたとはいえ、7頭のうち最先着が6着のライラックであり、そのライラックは府中牝馬Sでは逆バイアスで13着に大敗していた。次点がコスタボニータの9着だが、コスタボニータも府中牝馬Sでは逆バイアスで11着に敗れており、逆バイアス組の方が巻き返している事実があるというのが2点目。
さらに前走1年ぶりのレースで上がり3F 32.8をマークした反動や、前走の府中牝馬Sと昨年のエリザベス女王杯といった牝馬限定重賞路線のレースレベルなど強調材料より不安材料の方が多く、1・2人気では手を出しづらい。