「パパー! パーパー!」スタンドから響いた息子の声「パパー!」。静かなスタジアムに、明るい声が響いた。プロ野球12球団合同トライアウトが14日、ZOZOマリンスタジアムで行われた。ヤクルトを戦力外となった西田明央捕手が打席に立つと、4歳の息…

「パパー! パーパー!」スタンドから響いた息子の声

「パパー!」。静かなスタジアムに、明るい声が響いた。プロ野球12球団合同トライアウトが14日、ZOZOマリンスタジアムで行われた。ヤクルトを戦力外となった西田明央捕手が打席に立つと、4歳の息子が声援を送った。「聞こえましたよ(笑)」。トライアウト後にはパパの顔を見せた。

 西田の打席ではバックネット裏から「パパー! パーパー!」と息子の声が響き、ネットでも「泣ける」とファンが反応していた。西田本人は「いやいやもう、嬉しいですよ。まだ(息子が)分かっているのかは分からないですけどね。ピッチャーが投げ始めようとしている時に『パパー!』と言おうとしていたので。ちょっと大丈夫かなと思いましたけど」と苦笑いした。

 2010年ドラフト3位で北照高からヤクルト入り。2016年には自己最多となる74試合に出場し、打率.243、7本塁打25打点をマークしていたが、14年目の今季は1軍で24試合に出場し、打率.136だった。

 スタンドには、4歳の息子が駆けつけた。「野球っていうものをパパがやっているっていうのは認識していると思います」。ヤクルト時代も何度もスタンドで応援してくれた息子に、2安打で恩返しした。

 守備では14人の投手をリードし、最終打席で安打を放った際には右足がつってしまった。「(投手がスタッフに)受けてもらうのもいいと思いますけど、選手だった僕が受けた方が何とかしてあげられるんじゃないかな」。最後まで他の選手を思いやっていた。

 今後については「需要があれば。野球が全てじゃないので、子どもがふつうに大きくなってくれればいいかなと思います」と笑顔を見せた。(上野明洸 / Akihiro Ueno)