今から30年以上の前、90年代前半の競馬シーンを沸かせた1頭がダイタクヘリオスだった。スプリントから中距離まで、幅広いステージで活躍。口を割りながら走る姿から、一部のファンには「笑いながら走る馬」と愛された。そんな名馬が史上2頭目の連覇…

 今から30年以上の前、90年代前半の競馬シーンを沸かせた1頭がダイタクヘリオスだった。スプリントから中距離まで、幅広いステージで活躍。口を割りながら走る姿から、一部のファンには「笑いながら走る馬」と愛された。そんな名馬が史上2頭目の連覇を果たした92年のマイルCSを振り返る。

 ダイタクヘリオスは父ビゼンニシキ、母ネヴアーイチバン、母の父ネヴァービートの血統。2歳時から短距離路線で活躍し、3歳春のクリスタルCで重賞初制覇。4歳を迎えると中距離にも活躍の場を求め、マイラーズC、高松宮杯とGIIを2勝。そして秋のマイルCSでGIウイナーの仲間入りを果たした。

 5歳を迎えても、マイル路線の主役の座は譲らなかった。逃げ馬のイメージが強いかもしれないが、時には好位からの立ち回りを披露。レースセンスがあったのだ。春にマイラーズCを勝つと、秋の始動戦となった毎日王冠を快勝。続く天皇賞(秋)はハイペースに巻き込まれて8着に沈んだが、連覇を狙ってマイルCSに参戦した。

 牝馬のシンコウラブリイに続く、僅差の2番人気に推された一戦。大外枠から飛び出したダイタクヘリオスは、ジワッと好位の外へ。4角手前では早くも先頭に立った。そこからは独走で、追い上げてきたシンコウラブリイに1馬身半差をつけて完勝。84〜85年のニホンピロウイナー以来となる連覇を成し遂げた。

 ダイタクヘリオスは実に濃いキャラクターだった。近年の一流馬では考えられないようなローテーションが組まれ、3歳時は9戦、4歳時は11戦、5歳時は9戦。これだけ走っても大きな故障がなかったようにタフで、92年には1200mのスプリンターズSから2500mの有馬記念へ連闘を敢行。ラストランとなったグランプリではメジロパーマーとの大逃げでファンを沸かせた。しかし、それ以上に語り継がれるべきはGI・2勝を含む重賞7勝の実績。約2年に渡ってマイル路線を引っ張った名馬として、是非とも覚えておいていただきたい。

【マイルCSを連覇した馬】
・ニホンピロウイナー(84年、85年)
・ダイタクヘリオス(91年、92年)
・タイキシャトル(97年、98年)
・デュランダル(03年、04年)
・ダイワメジャー(06年、07年)
・グランアレグリア(20年、21年)