全日本スーパーフォーミュラ選手権2024年シーズンは今週末、いよいよ最終決戦。鈴鹿サーキットで9日に第8戦、10日に第9戦が行われ、チャンピオンが決定する。現在ランキングトップは、前回の富士ラウンド2レースを連勝し2位に14.5ポイントの差…

全日本スーパーフォーミュラ選手権2024年シーズンは今週末、いよいよ最終決戦。鈴鹿サーキットで9日に第8戦、10日に第9戦が行われ、チャンピオンが決定する。

現在ランキングトップは、前回の富士ラウンド2レースを連勝し2位に14.5ポイントの差を築いている坪井翔(チームトムス)。2位は第2戦と第5戦を制した牧野任祐(ダンディライアン)。トップから16.5ポイント差の3位は2021年、2022年のチャンピオンで昨シーズン3勝、今シーズンも2勝している実力者の野尻智紀(チーム無限)だ。

2レースで獲得できる最大ポイントは予選、決勝あわせて46ということでチャンスはランキング6位まで残されているものの、今シーズンここまでの戦いを見る限り、強さが際立っている上位3人により争われる公算が高い。

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■ポイントは鈴鹿との相性

そこでポイントになるのが、決戦の舞台が鈴鹿サーキットであることだ。

今シーズン、3チームの実力はかなり伯仲しながらも、サーキットによって勢力図は少々異なっている。坪井の3勝はすべて富士スピードウェイで、開幕戦の鈴鹿は予選10位、決勝11位と、ノーポイントに終わっている。

対して野尻は2021年から3年連続鈴鹿で勝利しており、今シーズンも開幕戦を制した。牧野も個人としては実績が少ないものの、ダンディライアンは無限と同じくホンダのチームで、昨年はチームメイトの太田格之進が最終戦で勝利するなど、鈴鹿を得意としている。

前回の富士ラウンド終了後も、坪井が「富士で勝っておかないと、タイトル争いから脱落すると思っていた」、牧野が「富士はトムスにやられたが、次の鈴鹿は自分たちの番だと思っている」、野尻が「鈴鹿は開幕戦で優勝したサーキットだし、チャンピオンは諦めていない」と、鈴鹿との相性を示唆したコメントを聞いている。

坪井の2人に対する10数ポイントの差は、数字ほど大差ではないということだ。そう考えると坪井、牧野、野尻の中で誰が優勢なのか、予想はかなり難しい。

■独走劇と大逆転劇、どちらの可能性もある

今回、ひとつ気になるのが気候だ。

同じ鈴鹿で行われた昨シーズンの最終2戦は10月末で、日中の気温は20度前後だった。今回は約2週間遅い開催。一気に寒さが進行する時期ゆえに、もっと気温が低くなる可能性がある。

そうなるとダウンフォースは変化し、セッティングに微妙な調整が必要になってくる。得意コース、不得意コースがチームによってあるとはいえ、そこはスーパーフォーミュラでは僅差でしかない。金曜日に行われるフリー走行でコンデイションに対するベストセットを見つけられるかどうか、そこから勝負はスタートする。

そして予選では最大3ポイントが獲得できることもあって、2レースともに激戦は必至。レースでは抜き難いといわれる鈴鹿だが、オーバーテイクシステムが使用できることで激しいバトルが終始繰り広げられるだろう。

さらに31周と短い周回数の中で4本のタイヤ交換を伴うピットインが義務つけられており、戦略も多様になる。独走劇、大逆転劇、どちらの可能性もあるといえる。

前回の富士大会にサポートレースの関係で取材に訪れ、久しぶりにスーパーフォーミュラを生で見たというあるベテラン記者が「今のスーパーフォーミュラがこんなに面白いとは思わなかった」と興奮気味に話していた。

今回はそのクライマックスバトル。取材もさることながら、筆者も純粋に楽しみたいと思っている。

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著者プロフィール

前田利幸(まえだとしゆき)●モータースポーツ・ライター

2002年初旬より国内外モータースポーツの取材を開始し、今年で20年目を迎える。日刊ゲンダイ他、多数のメディアに寄稿。単行本はフォーミュラ・ニッポン2005年王者のストーリーを描いた「ARRIVAL POINT(日刊現代出版)」他。現在はモータースポーツ以外に自転車レース、自転車プロダクトの取材・執筆も行う。