「ジャパンウイメンズオープン」(WTAインターナショナル/東京・有明テニスの森公園テニスコート/本戦9月11~17日/賞金総額25万ドル/ハードコート)は9月13日、シングルス1回戦7試合および2回戦3試合、ダブルス1回戦5試合が行われた。…

「ジャパンウイメンズオープン」(WTAインターナショナル/東京・有明テニスの森公園テニスコート/本戦9月11~17日/賞金総額25万ドル/ハードコート)は9月13日、シングルス1回戦7試合および2回戦3試合、ダブルス1回戦5試合が行われた。

 注目の日本選手対決となった大坂なおみ(日清食品)と奈良くるみ(安藤証券)の一戦は、奈良が第6シードの大坂を6-3 6-0で破り、2回戦進出。また、予選から勝ち上がった加藤未唯(佐川印刷)が第4シードのクリスティーナ・プリスコバ(チェコ)を7-5 6-3で破り、ツアーで自身初のベスト8入りを決めている。◇   ◇   ◇

 全米オープンでともに3回戦進出を果たした大坂と奈良という好調の日本選手同士が1回戦で対戦。世界ランキング46位の大坂を同108位の奈良が6-3 6-0のストレートで破り、2回戦進出を決めた。

 圧倒的なサービス力とパワフルなストローク、そして大舞台での勝負強さ。次世代のスター候補として世界的にも注目を集める大坂だが、有明テニスの森公園の1番コートではその輝きを見せることはできなかった。

「東京に戻ってきて初めての大会ということで、プレッシャーを感じて、緊張してしまった。はじめは楽しみにしていたのだけど......。自分の未熟な面が出てしまった」

 大坂は第1セット、2ブレークを許して、いきなり0-4。3ゲームを奪って3-4まで挽回したが、「そのときでさえ、今日は何をやっているか分からないほど緊張した状態が続いていた。気持ち的にコートの中に自分がいないという感じ。ちゃんとプレーできなかった」。

 大坂自身が反省の言葉を重ねたように、最後までいいところを見せることなく、19歳はメンタル面の課題を露呈した。

「注目される存在で、年下だけれど彼女の方が、プレッシャーがあったと思う」と大坂を慮ったのは、勝った奈良だ。

「自分は気楽にチャレンジできた」と試合直後にコート上でのインタビューに答えたが、大坂に修正する隙を与えずにゲームプランを完遂した、そのプレーは奈良の好調さ、メンタル面での充実ぶりを示してもいた。

 試合を通して大坂のファーストサービスは安定しなかったが、セカンドサービスに対してリターンを厳しいコースへ決め、ロングラリーに持ち込んでは直線的な強打とムーンボールのコンビネーションで大坂のミスを誘った。

「今はどうすればいいか、明確に考えられている。クレーシーズンから徐々に自分のやるべきことが見えてきた。結果が出なくても、それを信じてやってこられたのが今につながっているのかなと思う」と、奈良は穏やかな表情で手応えを語る。

 前日の伊達公子(エステティックTBC)の引退セレモニーに立ち会い、「感傷的になったし、今日の試合で集中できるか不安だった」と語るほど心を動かされたが、「伊達さんの姿勢や生活面でも見習うところがたくさんあった。まだまだ追いつかないが、より成長して、自分も後輩にそういう姿を見せられれば」と、25歳は日本女子を引っ張る立場としての自覚も新たにした。◇   ◇   ◇

 予選から勝ち上がり、2回戦進出を果たした加藤は、世界ランキング44位のプリスコバを7-5 6-3のストレートで破って、ベスト8入りを決めた。

 184cmの長身で左利きのプリスコバに対し、加藤は「相手はポイントを早く終わらせたいタイプ、まずはサーブを返すことに集中して、そこからしつこさを出していけた」と勝因を分析する。

 ツアーレベルでのベスト8は自己最高成績だが、「ベスト8でよろこんでいるというより、自分がこの大会で目標としている気持ちの部分で迷いが出ないようにプレーすることができていること、フォアを武器にした自分のプレーができていることに成長を感じているところが大きい」と語り、準々決勝のクルニッチ戦に向けても「よさを出せた方が勝つと思うので、自分のよさを出せるように準備していきたい」と意欲的に勝利を目指す。

 また、加藤は穂積絵莉(橋本総業ホールディングス)と組んだダブルスでもザリナ・ディアス(カザフスタン)/シュー・イーファン(中国)を破り、準々決勝進出を決めている。(テニスマガジン/ ライター◎田辺由紀子)

※写真は「ジャパンウイメンズオープン」(東京・有明テニスの森)の1回戦で対戦した奈良くるみ(右)と大坂なおみ(左)

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