今週末は、第49回エリザベス女王杯(GI、京都芝2200m)が行われる。
唯一の3歳馬として参戦するスワーヴリチャード産駒レガレイラ、デビュー以来馬券外のないロペデヴェガ産駒ホールネス、新潟記念勝利から臨むサトノダイヤモンド産駒シンリョクカをはじめ、多彩な血統構成の馬が集結。
ここでは、馬券検討のヒントとなる「血統」で本競走を攻略する。
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■末脚勝負でリヴァーマン内包馬が活躍
牝馬限定戦かつ外回り芝2200mという条件とあって、スローの末脚勝負というレースになりがちな京都のエリザベス女王杯。良馬場だと勝ち馬は上がり33秒台が求められることも少なくない。
そんなレースにあって注目したいのが「リヴァーマン」の血。現役時代に仏2000ギニーなどを制したリヴァーマンは、種牡馬になってからキレッキレ系牝馬を数多く送り出した。
代表産駒は凱旋門賞制覇のデトロワや、”鉄の女”の異名をとったGI9勝のトリプティク。直仔ではないが凱旋門賞連覇のトレヴもリヴァーマンっぽい切れが武器の馬だった。抜け出すときの一瞬の脚が速いのがリヴァーマンの特徴だ。過去10回の京都開催のエリザベス女王杯において、血統表にリヴァーマンを内包する馬は【4.2.3.21】で、勝率13.3%&複勝率30.0%。昨年も該当のブレイディヴェーグが勝ち切った。
単純にリヴァーマン内包馬を狙うだけでも狙いは立つのだが、セットで考えてみたいのは王道・ディープインパクトの血。ディープインパクトとリヴァーマンを併せ持つ馬の京都のエリザベス女王杯における成績は【2.0.3.5】で、複勝率50.0%。回収率も単勝176%&複勝率105%なので、ベタ買いOKの数字となっている。
中距離向きの切れを伝えるディープに対して、さらにリヴァーマンの切れを重ねることで、よりエリザベス女王杯向きの適性にカスタマイズできるということだろう。
今年の出走馬でリヴァーマンを内包するのはコスタボニータ、シンティレーション、ホールネス、レガレイラの4頭。このうちディープインパクトの血を直接併せ持つ馬は1頭もいないが、レガレイラの祖母ランズエッジはディープインパクトの半妹(3/4妹)にあたる点を押さえておきたい。
■逆張り的に狙ってみたいシンティレーション
今回注目したいのは、リヴァーマン内包馬。ここでは該当馬のシンティレーションをピックアップする。
父はロードカナロアで、母ファシネートダイヤはJRAのダートで1勝。伯父に青葉賞勝ちのアドマイヤコマンドがいる。4代母のベーシイドは朝日杯3歳S(現・朝日杯FS)をレコードで制した快速リンドシェーバーを産んだ繁殖牝馬。基本的にはニアークティックな北米スピードを伝える牝系で、祖母トコアも自身の競走成績は芝1200m以下で3勝を挙げたスプリンターだったのだが、繁殖牝馬に上がった途端にガラっとキャラチェンジ。
トコアに関してはもっぱらカーネギー・サドラーズウェルズのスタミナを伝える繁殖牝馬になった。先述のアドマイヤコマンドはその代表例だろう。ただでさえヌレイエフ≒サドラーズウェルズを標的にした組み合わせをデザインするとスタミナ化した産駒が出やすい種牡馬ロードカナロア。それを5×3で抱えるシンティレーションなので、カナロア×タキオンという字面の文字列より距離はこなせるはず。2200mも問題ないと見る。
前走の府中牝馬Sは勝ち馬ブレイディヴェーグこそ力が抜けていたが、シンティレーションもブレイディヴェーグと同じ上がり600m32秒8の脚を使って2着に追い込んだ。
ブレイディヴェーグが好走したレースで似たような走りができたうえ、血統表を見るとロードカナロア×サンデーサイレンス系×スペシャル血脈×リヴァーマンの組み合わせ。母父がディープインパクトの分、ブレイディヴェーグの方が王道の大箱向きで、シンティレーションはタキオンからロイヤルスキーが入る分、大箱に特化できていないという違いはあるが、キャラクターの方向性は似ているのでは。
前走の好走がフロック視されるようなら逆張り的に狙ってみたい。あとは枠と週末の馬場コンディションを見つつ、最終結論に至りたい。
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著者プロフィール
ドクトル井上 【重賞深掘りプロジェクト】血統サイエンティスト。在野の血統研究家。旧知のオーナーを中心として、セリや配合のコンサルティング業務を請負中。好きな種牡馬はダノンレジェンドとハービンジャー。苦手な種牡馬はMore Than Ready。凱旋門賞馬Ace Impactの血統表は芸術品なので、ルーヴル美術館に収蔵されるべきとわりと本気で考える三十路の牡馬。