吉田輝星は新天地でチェンジアップを磨いた 2018年夏の甲子園で「金農旋風」を巻き起こし、同年のドラフト1位で日本ハムに入団した、オリックス・吉田輝星投手。トレードでオリックスに移籍して迎えたプロ6年目の今季は、開幕からほぼシーズンを通して…

吉田輝星は新天地でチェンジアップを磨いた

 2018年夏の甲子園で「金農旋風」を巻き起こし、同年のドラフト1位で日本ハムに入団した、オリックス・吉田輝星投手。トレードでオリックスに移籍して迎えたプロ6年目の今季は、開幕からほぼシーズンを通してブルペンを支え、勝ちパターンとしても登板するなど飛躍の1年となった。

 吉田は移籍前の2022年にも日本ハムでリリーフを中心に51試合に登板しているが、当時は全投球の7割近くをストレートが占めていた。しかし、今季はストレートの割合が5割を下回り、スライダーやシュートといった変化球の割合が増加。さらに7月以降は、主に左打者に対するチェンジアップが加わり、多彩な球種を操るようになった。

 ストレートで押す投球スタイルだった2022年の吉田は、打球の半数以上がフライになっていたが、今季はゴロ打球の割合が大きく増加。なかでも右打者に投じるシュートは全打球14個のうち10個がゴロと威力を発揮した。ゴロはフライに比べて長打になりにくいため、僅差の試合で登板するリリーフ投手にとっては打球を上げさせないことが重要なポイントとなる。

 ここまでは2022年と今季を比べて見てきたが、今季の中でも大きな変化が見られた。先述の通り7月以降に投げ始めたチェンジアップは、奪空振り率22.9%(リーグ平均16.7%)と優秀な数字を記録した。注目したいのは、チェンジアップを持ち球に加えてから、もともと投げていたフォークやスライダーでも空振りを多く奪えるようになった点だ。有効な球種が1つ増えたことで、打者にとってはそれまで以上に的を絞りにくくなったと考えられる。

 6月までの25登板で奪った三振は10個だったのに対し、7月以降は同じ25登板で20個と倍増。シーズン序盤は変化球の割合を増やしたことにより打たせて取る傾向にあったが、チェンジアップを使い始めてからは三振でもアウトを取れるようになり、安定感が大きく向上した。

 シーズン中に球種を増やすという挑戦を経て、目覚ましい成長を見せた吉田。岸田護監督の下でチームが新たなスタートを切る来季、背番号23はマウンドでどのような輝きを見せてくれるだろうか。

※文章、表中の数字はすべて2024年レギュラーシーズン終了時点(「パ・リーグ インサイト」データスタジアム編集部)

(記事提供:パ・リーグ インサイト)