第62回アルゼンチン共和国杯(3日/GII、東京芝2500m)には、4度の骨折を乗り越えて初タイトルを目指す7歳馬クロミナンス、安定した走りを続けるサヴォーナ、末脚一閃のセレシオンなどが出走予定。

本記事では、出走各馬の追い切りを診断し「S」「A」「B」の3段階で評価した有力馬や穴馬をピックアップ。ここでは「ハヤヤッコ」を取り上げる。

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■ハヤヤッコ

【中間調整】同じくこのレースに出走してくるマイネルウィルトスと並び、現役屈指の“パワー特化型”タイプだ。重賞初制覇は洋芝かつ雨馬場だった2022年函館記念(ちなみにその時の2着がマイネルウィルトス)。以降、重賞勝利はないもののコンスタントに走り続け、良馬場でもタフとされる中京でのレースで特に強さを発揮している。この夏は北海道で2回走り、発馬で躓いた函館記念は12着に終わったものの、前走のタイランドC(例年は丹頂Sとして実施される札幌芝2600mのオープン)ではトップハンデかつ外々を回らされる不利がありながら3着と健闘。8歳にして衰えはなく、このぐらいの距離でもやれることを証明した。

前走の結果を踏まえ、休養を挟んでの復帰戦をアルゼンチン共和国杯に設定。ノーザンファーム天栄での短期放牧を経て、10月10日のウッド併せ馬から美浦での時計を再開している。以降、週なか&週末の追い日はすべてウッドで併せ馬。よほど健康面とメンタル面が順調でないとこなせない調整過程だ。1週前は障害馬にアオられる格好ではあったが、手応えにお釣りを残して食い下がり、併入とした。

【最終追い切り】レース当週は今回初コンビとなる吉田豊騎手が騎乗し、ウッドで併せ馬。僚馬を3馬身ほど先に行かせ、直線で併走に持ち込む。どうしても稽古では切れ負けするが、それで気持ちが萎えるようなことはなく、しっかり食らいついて半馬身遅れに留めている。一時期の攻めでは併せ馬ですぐに白旗を挙げていたことを考えれば、かなりいい内容と言えた。

【見解】稽古で遅れるのはいつものこと。しかし切れで敵わないからといってパタッと萎えることはなく、しっかり食らいつく気持ちの強さが感じられたのは好感。すべての追い日で併せ馬をこなせているのは、繰り返しになるが心身ともにすこぶるいい状況だと考えられる。これまでは2000mがベストの感あったが、年齢なりによりゆったりした流れがいいだろうし、実際にこのぐらいの距離が問題ないのは前走で証明できた。左回りかつ雨予報の今回は、現状この馬にとってベスト条件では。久しぶりの馬券圏内入りがあっても。

総合評価「A」

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著者プロフィール

西村武輝(にしむらぶこう) 【重賞深掘りプロジェクト】調教ライター。競走馬の追い切り評価を専門として、ネットメディア中心に執筆を続けているフリーライター。UMAJINでは「競馬サロン」開設以前から毎週の重賞出走全頭のレポートを執筆、担当。またプロレス関連業界にも関わっており、週刊プロレスや書籍等への寄稿歴もある。