野球評論家・野口寿浩氏が日本シリーズの“行方”を分析した DeNAはソフトバンクとの日本シリーズを3勝2敗とし、1998年以来26年ぶりの日本一へ王手をかけている。一方、崖っぷちのソフトバンクもエース級の有原航平投手が第6戦に先発し、第7戦…
野球評論家・野口寿浩氏が日本シリーズの“行方”を分析した
DeNAはソフトバンクとの日本シリーズを3勝2敗とし、1998年以来26年ぶりの日本一へ王手をかけている。一方、崖っぷちのソフトバンクもエース級の有原航平投手が第6戦に先発し、第7戦はリバン・モイネロ投手が予想されるが、第6戦が行われる2日の横浜スタジアムは台風21号の影響で“雨予報”。現役時代にヤクルト、日本ハム、阪神、横浜(現DeNA)で捕手として活躍した野球評論家・野口寿浩氏は「仮に雨天順延となれば、DeNAが勝てる確率は相当アップする」と指摘する。
「もし第6戦が予定通り行われるならば、DeNAの第6戦先発は、第2戦に先発して打たれた(2回1/3、5失点)大貫(晋一投手)。いずれにせよ、短いイニングごとの継投となる可能性が高い。そうなると、第1戦で7回無失点の快投を演じた有原と対抗するのは、非常に厳しいと思います」。大貫から2年目の吉野(光樹投手)、もしくは(今季2勝4敗の)濱口(遥大投手)らがつなぐ可能性も示唆した。
しかし、雨で第6戦が3日、第7戦が4日に順延されれば、第6戦には第3戦で7回1失点に抑えたエース・東克樹投手が中4日で先発。そして、ポストシーズンに入ってから絶好調のアンソニー・ケイ投手も、中4日で第7戦に先発できる可能性が出てくる。
「あとは、クライマックスシリーズで左太もも裏を痛め、前回登板の第3戦までに中16日を空けた東が、中4日でしっかり回復できるかどうかがが問題ですが、万全ならば、だいぶ潮目が変わります」と野口氏は分析する。
雨によってDeNAが受ける恩恵は、それだけではない。4番のタイラー・オースティン内野手は第1戦で左足甲に自打球を当て、第2戦を欠場。いまだに痛みは相当ありそうだが、第3戦以降は「指名打者」として復帰し、第4戦で先制ソロを放つなど、チームにとって不可欠な存在感を示した。第3戦から第5戦までが、指名打者が採用され、守備の負担を避けられる敵地だったことは、オースティンにとって幸運だったと言えそうだ。
自打球当てて第2戦を欠場したオースティンにとっても朗報
オースティンが第6、第7戦にスタメン出場するとすれば、一塁守備に就かなければならないが、「第6戦が雨天中止となれば、丸2日間休養を取れるわけで、(回復した状態で)守れるようになる可能性は高いと思います」と野口氏は見ている。
一方、ソフトバンクにとって心配なのは、主軸の近藤健介外野手の状態だ。レギュラーシーズン終盤に右足首を捻挫した影響で、シリーズ第1、第2戦でスタメンから外れた。本拠地での3試合は、「5番・指名打者」でフル出場したが、第6、7戦では再び、守備に就けるかどうかが問題になる。
「近藤の場合は、第1、第2戦でスタメンを外れたということは、外野守備に就くことが相当難しい状態なのだと思います。比較的守備の負担が軽い一塁に回そうにも、そこには4番の山川(穂高内野手)がいる。もし近藤がスタメンで出られないとなると、これもDeNAにとって有利な要素になります」と野口氏。
過去74回の日本シリーズの中には、雨で流れが変わった例がいくつもある。“天”がレギュラーシーズン3位のDeNAを“下剋上”へ導くのか──。(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)