「ボクシング・フライ級8回戦」(31日、後楽園ホール) 6月のデビュー戦で1回KO勝ちし、1試合でWBA世界フライ級15位にランクインした吉良大弥(21)=志成=が、セミでベネズエラフライ級4位のオルランド・ピノ=ベネズエラ=と、プロ2戦…

 「ボクシング・フライ級8回戦」(31日、後楽園ホール)

 6月のデビュー戦で1回KO勝ちし、1試合でWBA世界フライ級15位にランクインした吉良大弥(21)=志成=が、セミでベネズエラフライ級4位のオルランド・ピノ=ベネズエラ=と、プロ2戦目を行った。

 セコンドの「ボディーが狙える」という指示に従い、「ボディーに最終的に近づけるような布石を打ってという展開がうまくできた」と追い込み、左ボディーをズバリ。1回1分19秒、テンカウントを聞かせた。

 デビュー戦の1回1分58秒から39秒短縮する圧勝劇を見せた吉良は「丁寧にやっている中で流れで倒せたらと思っていて、それができて良かった。結果的に以前より成長しているのが見えて良かった」と笑顔。「今回倒したやり方は練習でやってきたこともあるので、驚きはそこまでない」と言ってのけた。

 ジムの先輩の井岡一翔には常日頃から「自分のやりたいことを気持ちに素直にやっていく」と言われているという。吉良は「僕は一つのところしか基本、見えないんで、世界チャンピオンしか見えない。できるだけ早くするために一つ一つ勝っていきたい」と来年に向けて語った。

 また、今回、「シャイニングダイヤモンド」とコールされたことには「皆に親しんでもらえる名前とかキャラならうれしい」と歓迎していた。

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 メインの日本スーパーフライ級最強挑戦者決定戦は、1位の重里侃太朗(28)=志成=と2位の山口仁也(24)=三迫=が壮絶な打撃戦の末に引き分け、優勢点で山口が来春のチャンピオン・カーニバルでの挑戦権を獲得した。

 前半から山口の得意な接近戦となり、重里も一歩も引かずに打ち合う。最後の最後まで近距離で殴り合った両雄だが、判定は77-75で重里、77-75で山口、76-76と三者三様のドロー。引き分けとしたジャッジが山口に優勢点を付け、山口が挑戦権を得た。重里は何度かパンチをヒットさせて山口の動きを止める場面も見せたが、涙をのんだ。

 山口は「結果がドローという形で全然納得いかない。もっとできることがあったと反省ばかり。一番得意な打ち合いに持っていったら勝てると思ったが、(重里は)打ち合いも強かった。正面から行きすぎた。勝ちきりたかった」と反省しきり。11月12日に行われる、王者・高山涼深に青山功が挑戦するタイトルマッチの勝者に来春、挑戦するが「こんなんじゃチャンピオンになれない」と、さらなる精進を誓った。

 私淑する井岡一翔が最前列で飛ばし続けた猛ゲキに応えられなかった重里は「勝てば天国、負けたら地獄、そういう覚悟で臨んだ試合でした。あと一歩届けへんかった。ここで神さん試練与えてくるのかなと思った」と振り返り、「負けてないので、まだやる可能性もあるし、やり返さなね。男として当たり前。だてに一翔さんのことをアニキと呼んでない。これで腐ったら話にならない」と、山口との決着戦を見据えていた。

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 第3試合では日本のキックボクシング中量級を代表する名選手だった緑川創(37)=EBISU K’s BOX=がボクシングデビュー。71・0キロ契約6回戦で、ワン・ダソン(26)=中国=と対戦した。

 8勝3敗1分とボクシング経験でははるかに上回るワンを相手に、緑川はタフな打ち合いを展開。決定的なシーンを作ることはできなかったが、試合後半からは疲れが見えるワンを緑川がロープに詰めて連打を放つシーンも増え、58-56、59-55、60-54の判定3-0でデビュー戦を飾った。

 昨年2月のキック引退試合以来のリングとなった緑川は「久しぶりのリングで疲れました。めっちゃ難しい」と、キックにはない6回戦を戦い抜いて苦笑い。

 「練習してきたことがなかなか出せなかった。いざ試合となると、練習とは感覚が違う」と振り返り、「勝ったとして50点。もうちょっと行かないといけないところで行けなかった」と厳しく自己採点。キックとの違いを「距離ですかね。入るのもよけるのも違う。近い距離と遠い距離の入り方が全く違う」と説明した。

 今後はスーパーウエルター級で戦っていくといい、「ちゃんとボクシングができるようになって、1試合1試合全部勝っていきたい。今年もう1試合ぐらいやりたい気持ち。年齢的にも時間がないんで、できる限りいろいろ考えて練習して。最低限ベルトは取りたい」と語っていた。