10月2日、アルバルク東京は「SHIBUYA×ALVARK Season Project」の発足を発表した。来シーズンから江東区の新アリーナへ移転するが、現在ホームタウンとしている渋谷区と今後も連携を深めていくためのプロジェクトである。今回…
10月2日、アルバルク東京は「SHIBUYA×ALVARK Season Project」の発足を発表した。
来シーズンから江東区の新アリーナへ移転するが、現在ホームタウンとしている渋谷区と今後も連携を深めていくためのプロジェクトである。
今回はアルバルク東京で地域活動を担当する尾郷智香さんにお話を伺い、本プロジェクトの概要や、これまで渋谷区に向けて取り組んできたことなどを特集する。
(表紙写真:©ALVARK TOKYO、文:白石怜平)
今後の絆を示す「SHIBUYA×ALVARK Season Project」
アルバルク東京は2017-18、2018-19シーズンにはBリーグ2連覇を達成し、「FIBA ASIA CHANPIONS CUP 2019」では日本のクラブとして初のアジアチャンピオンになるなどの名門チームである。
また、それだけではなく地域貢献活動にも力を入れており、ホームで試合を行っている渋谷区・江東区・立川市に加えて練習拠点のある府中市など都内各地で、学校授業の展開や地域のイベントに参加してきた。
2021-22シーズンには「東京で、共に生きる人たちと幸せに暮らしていける環境を作っていきたい。」という想いを込めた社会責任プロジェクト「ALVARK Will」を発足し、今も地域に根ざした活動を行っている。
そして、今年10月2日に発表された「SHIBUYA×ALVARK Season Project」。2016年よりホームタウンとしている渋谷区と連携し、今シーズンさまざまな取り組みを展開するプロジェクトである。
来シーズンより江東区青海の「TOYOTA ARENA TOKYO」へとホームアリーナを移転するが、ここで渋谷区との関係が終わるわけではない。
尾郷さんはプロジェクトが立ち上がった背景について、
「渋谷区とはS -SAP協定(シブヤ・ソーシャル・アクション・パートナー※)を結んでおりまして、その協力関係を基にしながら、これまでの感謝と今後の継続した連携への想いを込めて、プロジェクトを立ち上げることになりました」と語った。
(※)区内に拠点を置く企業や大学等と区が協働して地域の社会的課題を解決していくために締結する公民連携制度
プロジェクトのキービジュアルから地域との関係性を示している。尾郷さんはその制作意図について以下のように解説した。
「キービジュアルを一般社団法人シブヤフォントさま協力の下で作成しました。アルバルク東京ではこれまでシブヤフォントさまとのコラボグッズをこれまで3回販売してきまして、その3つを組み合わせた形になっています」
組み合わされたそれぞれのデザインは、全てオリジナル。
渋谷でくらし・はたらく障がいのある人の描いた文字や絵を、渋谷でまなぶ学生がフォントやグラフィックパターンにしたものである。
そして、現在行われている具体的な取り組みについても続けて伺った。
「まちのコイン『ハチポ』の導入を行っていて、10月5日・6日に国立代々木競技場 第一体育館で行われた開幕節には試合会場のブースに来ていただいた方にハチポをプレゼントしました」
「ハチポ」は渋谷区が運営する地域のコミュニティコインで、開催中のキャンペーンに参加すると定められたポイント数のハチポを得られる。
換金するものではないが、区内のお店やイベントでの”体験”にて活用することができ、地域の活性化のツールとなっている。
今シーズンは渋谷区でのホームゲームやイベントでハチポの付与が行われる。この他第二弾以降も順次展開される予定である。
渋谷区で取り組んだ「SDGs」へのアプローチ
アルバルク東京は、上述の通りこれまで渋谷区など都内で地域貢献活動を行ってきた。ここでは渋谷区での活動にフォーカスし、今まで区内でどのようなことを行ってきたのかを紹介していく。
代表的な活動の一つが今年1月に渋谷区立千駄谷小学校で開催した、「千駄谷小学校放課後クラブ」への訪問である。
1・2年生を対象とした計26名の子どもたちと一緒に「SDGsカードゲーム」で遊ぶコーナーを設けた。
この「SDGsカードゲーム」は、文化学園大学の学生が渋谷区の子どもたちがSDGsを楽しく学べるようにと企画からデザインまですべて担当したもの。S-SAP協定の仲間である同大学との連携企画として開催された。
「このゲームは、課題と解決策があって『アルバルク東京ではこうアプローチしている』というのをカードゲームを通じて学べるというのを学生さんたちに考案いただきました。
文化学園大学さんがデザインに長けている大学さんなので、見た目だけでも楽しめるようなものを制作いただいたので、それを放課後プロジェクトの一環で訪問しました」
尾郷さんもこの日参加しており、その時のことを明かしてくれた。
「最初は難しいかもしれないと思っていたのですが、子どもたちの理解するスピードがすごくて(笑)。もう1回やろう!って何度も言ってくれました。あとは参加するだけではなく、一番カードを獲得できた子には、どれがSDGsの目標の中で気になったのかを発表してもらいました」
この活動は本プロジェクトとして他校にも展開していきたいとした尾郷さん。さらに「まだあるんです!」と自ら進行中の取り組みについて共有した。
「渋谷区内で分別といったゴミに対する学びについて、地域の子どもたちに授業の形で提供することをプロジェクト内で行いたいです。
子どもたちが学んだことを書き出して、それをマスコットキャラクターのルークのゴミ箱に反映させるような取り組みを今進めているので、ぜひ実現させたい企画です」
”ひとの力”が持つ可能性
尾郷さんは地域活動の担当として渋谷区のみならず都内の各地域に足を運び、行政や学校などの訪問を重ねている。
そんな中で渋谷区の特徴や魅力、そして未来への可能性をこのように感じている。
「渋谷区は、たくさんの人が集まるまちというのが特徴であり、魅力だと思います。私自身これまでの人生で『やりたいことがあっても一人ではできない。誰かいたら実現できるのに』と感じることが多いなと感じています。
”ひとがいる”というのは何か新しいことが生まれるチャンスがあって、それを実現できる源だと考えています。
渋谷区にはたくさんの考えを持った人が集まっている。このことが財産であって、誰かが何かをやりたいという時には、最初は小さくても後にすごく大きな力となって、世の中に影響を与えられるものが創られていくのだと思っています」
今後も「SHIBUYA×ALVARK Season Project」も新たな企画を生み出していく。
プロジェクトの今後の展望については、区が描くまちの姿やアルバルク東京が行っていることとリンクして以下のように話した。
「渋谷区さんが『ちがいを ちからに 変える街。』と掲げている通り、違いを受け入れて新しく挑戦していくことが特徴だと感じています。
今後も新しい取り組みを渋谷区を中心に行っていき、アルバルク東京をハブとして他の都内の地域にも展開してきたいと考えています」
「ALVARK Will」の精神のもと、アルバルク東京は地域と共にこれからも進化し、歩みを続けていく。
(おわり)