FIAワールドモータースポーツカウンシルは10月17日、今季3度目の会合をパリで行った。 WRC関連では、これまでのリモートタイヤフィッティングゾーン(TFZ)に代わり、リモートサービスゾーン(RSZ)を導入。リエゾンの距離を短縮したり、通…
FIAワールドモータースポーツカウンシルは10月17日、今季3度目の会合をパリで行った。
WRC関連では、これまでのリモートタイヤフィッティングゾーン(TFZ)に代わり、リモートサービスゾーン(RSZ)を導入。リエゾンの距離を短縮したり、通常では移動が難しい距離にあるステージもルートに含めるなど、主催者がより柔軟にアイテナリーを作成できるようになる。またクルーやチームにとっても、日中、サービスパークに戻ることなくマシンの修復や調整ができるようになり、競技続行の機会が増えることにもつながる。RSZでは、1クルーにつきスタッフ3人が指定の工具やスペアパーツを運び、ゾーン内でクルーと一緒に作業を行うことが許可される。
地域ラリー選手権では、ナショナルカー、リージョナルカーの受け入れについて、より明確にFIA公認車両の性能レベルが基準になるよう手順が合理化される。
また、ERCジュニア選手権について、2025年〜2026年のタイヤサプライヤーに、ハンコックを指名した。
一方、2023年のERCラリーディローマでテストを行い、今季から一部のWRCでも導入されたバーチャルシケインについて、ラリー委員会は広範囲に渡って作業を行った結果、シケインの概念と、バーチャルシケインとスローゾーンの実施基準を定義するフレームワークが導入された。
この会合では、ヒストリックカーがモータースポーツに参入できるための規定のアップデートが承認された。1991年〜2000年に制作されたレーシングカーに「ヒストリック・テクニカルパスポート」を与え、FIAタイトルの選手権や国際格式のモータースポーツイベントに参戦できるようになる。この規定改定により、世界的にアイコニックなレーシングカーやラリーカーの数々がモータースポーツの輪に蘇り、ファンたちは技術の進歩が目覚ましかったあの10年間の光景やサウンドを楽しむことができるようになる。
ラリー関連では、ヒストリック・ラリーの変更に伴い、記憶に残る最も象徴的なカテゴリーを含むモデルが対象となる。90年代中盤のグループA時代に活躍した故コリン・マクレーの代名詞ともいえるグループAスバル・インプレッサ、三菱ランサーやフォード・エスコート・コスワース、トヨタやランチアだ。1997年には、最先端のトランスミッション技術、ブレーキを採用した4WDターボのワールドラリーカー規定が導入。トヨタ・カローラWRC、スバル・インプレッサWRC、フォード・フォーカスWRC、プジョー206WRCは、現在でも人気のある魅力的なラリーカー。2000年に移るまで、日産マイクラのようなコンパクトカーからラリーを象徴するレジェンドカーまで、様々なラリーカーが戦いの場に登場する機会が与えられる。
FIAは、2025年初頭にさらに詳細を発表するとともにワークショップを開催。新たに対象となるヒストリックカーのオーナーがヒストリック・テクニカル・パスポートを申請し、再び競技に参戦できるよう支援していく。
一方、FIAと各国のASNや世界的なスポーツ団体と協力して草案を作成した、新しいFIAセーフガード方針と規則が承認された。スポーツの世界で最も重要である、すべての参加者にとっての安全と幸福の権利を守るために、虐待やハラスメントのない環境で競技し、働き、繁栄する基本的な権利を各個人が有することを認識するもの。こうした明確なガイドラインを作成することで、虐待、ハラスメント、搾取のいかなる事例に対しても、個人が発言し、支援を求め、行動する力を与えられる環境を整える。