日本相撲協会は28日、大相撲九州場所(11月10日初日・福岡国際センター)の新番付を発表した。昭和以降最速の初土俵から所要9場所で大関昇進を果たした歴史的スピード出世で九州場所に臨む大の里(24)=二所ノ関=は、福岡市内の部屋宿舎で会見し…
日本相撲協会は28日、大相撲九州場所(11月10日初日・福岡国際センター)の新番付を発表した。昭和以降最速の初土俵から所要9場所で大関昇進を果たした歴史的スピード出世で九州場所に臨む大の里(24)=二所ノ関=は、福岡市内の部屋宿舎で会見し「いい形で1年間を締めくくりたい」と決意を新たにした。新大関Vなら2006年夏場所の白鵬(現・宮城野親方)以来、新入幕の年に年間最多勝を獲得すれば、1960年に66勝を挙げた大鵬以来、64年ぶり2人目の快挙。大横綱超えの記録がかかる。
大の里は引き締まった表情で、自身のしこ名が記された大関の番付を指さした。先場所は13勝2敗で2度目の優勝を果たし、場所後に昇進の伝達式を行ってから約1か月がたった。1年前の九州場所は十両。大いちょうがまだ結えない、ちょんまげ頭の24歳大器は「こうやって番付に名前が載るということで、本当に大関になったんだなという実感が湧いてきた」と感慨深く語った。
年6場所制となった58年以降では最速となる新入幕から所要5場所での昇進。過去に例のないスピードで出世街道を歩むが「(十両だった)1年前の自分と比べると想像していないところにいる。まだ自分自身(気持ちが)追いついていない」と、看板力士としての重圧も感じている。
九州場所、来年初場所と優勝、またはこれに準ずる好成績を残せば初場所後に昭和以降では羽黒山、照国の初土俵から所要16場所を抜き、11場所での最速で横綱昇進の可能性もある。新大関場所で優勝となれば06年夏場所の白鵬以来。また年間最多勝争いでは現在56勝でトップを走り、2位の大関・琴桜(26)=佐渡ケ嶽=には4差をつけている。新入幕の年に年間最多勝を獲得すれば、60年の大鵬以来、2人目の快挙。11勝以上を挙げれば66勝だった“昭和の大横綱超え”となる。さらに関脇、新大関場所での連覇は双葉山のみ。「大関としてしっかり経験を積んで、いろいろなことを勉強した上で、さらに見えてくるものがあると思う」。新大関Vを果たし、大横綱たちの系譜を継ぐ。
1日から行われた秋巡業に初日から同行していたが、「アデノウイルス感染症」で17日から途中離脱。現在は体調も回復しているという。「1年の最後の場所。いい形で締めくくれれば」と、大躍進の24年ラストも賜杯を抱いて終える。(大西 健太)
◆大の里 泰輝(おおのさと・だいき)本名・中村泰輝。2000年6月7日、石川・津幡町生まれ。24歳。小1から相撲を始め、新潟・能生(のう)中、同・海洋高を経て日体大。1年で学生横綱。3、4年時には2年連続のアマチュア横綱に輝いた。23年の夏場所、幕下10枚目格付け出しで初土俵。今年の初場所で新入幕、新小結の夏場所で初優勝。秋場所で2度目の優勝。同場所後に大関昇進。得意は突き、押し、右四つ、寄り。192センチ、182キロ。家族は両親と妹。
◆番付メモ
▽新大関 大の里は初土俵から所要9場所の昇進で、昭和以降最速。新入幕から所要5場所は1958年の年6場所制以降で最速。石川県出身は99年秋場所の出島以来。元横綱・稀勢の里の現師匠が2021年8月に荒磯部屋(同年12月二所ノ関部屋に改称)を創設後初。日体大からは初。