11月4日(月祝)、初めて佐賀競馬場で「JBC」が行われる。“ダート競馬の祭典”と称される大一番には全国から実力馬、名手が集い、多くの来場客でにぎわいを見せるはずだ。そんな佐賀のパドックに目をやると、他場とは明確な違いがひとつ。JRAを…

 11月4日(月祝)、初めて佐賀競馬場で「JBC」が行われる。“ダート競馬の祭典”と称される大一番には全国から実力馬、名手が集い、多くの来場客でにぎわいを見せるはずだ。そんな佐賀のパドックに目をやると、他場とは明確な違いがひとつ。JRAを含めた日本の競馬場では左回りだが、佐賀だけが右回りとなっている。その理由を競馬場に聞いてみた。

 佐賀県競馬組合経営企画課の飯田健史係長によると、「70〜80年前のことで正確なことはわからないが…」と前置きしつつ、「佐賀藩(鍋島藩)の教えがあるのではないか」とのこと。一説によれば“武士道とは死ぬことと見つけたり”で知られる書物『葉隠』の精神を持つ鍋島藩の武士が、利き腕の右手で刀を抜きやすいよう常に左側に馬を置いていた伝統があり、その名残から右回りになったのではないかという。現在は佐賀だけが右回りのため、不慣れな他地区やJRAの馬が1枠1番に入ったときは、周回方向を間違えることがないよう、地元の職員がついて注意喚起している。

 また、佐賀競馬場のパドックといえば、職員が馬名や馬体重を手書きする“黒板”が名物だったが、JBCを前に電光掲示板が設置された。「当初はファンの皆さんからも名残惜しいとの声があったが、綺麗になって良かったとの声も多くいただく」と飯田さん。きたるビッグレースに向けて、場内の準備は着々と進んでいるようだ。JBC時にはリニューアルされたパドックとともに、"ここしか見られない"の光景にも注目してほしい。

 ユネスコ無形文化遺産の「唐津くんち」が2日から4日まで、アジア最大級の熱気球大会「佐賀インターナショナルバルーンフェスタ」が今月31日から4日まで開催され、佐賀県にスポットライトがあたるタイミングでの「JBC」。飯田さんも「その中で成功させたい」と力を込める。「佐賀競馬は人があたたかいのが何よりの魅力。騎手や調教師、厩舎関係者、そして職員やお客さまもあたたかい。そういう雰囲気を感じていただきたいし、初めてきた方をおもてなししたい。『佐賀競馬場でJBCをやってよかったね』と思ってもらえるような一日になればと思います」。

 当日は佐賀競馬場に1万人近い来場を見込む。「大変な混雑が見込まれるため、門別・佐賀ともに公共交通機関やファンバスを利用して、いらしてください」と、ファンに呼びかけた。