今年の「ムトゥア マドリッド・オープン」(ATP1000/5月1~8日/賞金総額477万1360ユーロ/クレーコート)は、昨年を通し不調を経験していたラファエル・ナダル(スペイン)の、復活の話題で持ちきりだ。ナダルは大会の初戦に先立って…

 今年の「ムトゥア マドリッド・オープン」(ATP1000/5月1~8日/賞金総額477万1360ユーロ/クレーコート)は、昨年を通し不調を経験していたラファエル・ナダル(スペイン)の、復活の話題で持ちきりだ。ナダルは大会の初戦に先立って記者会見を行い、現在の手応えと自分の考えについて率直に語った。  「僕が望むのは、いい戦いを演じることだ。僕は自分がやりたいやり方でプレーし、コート上で幸福感と自由を感じたい」とナダルは言う。そして、苦しかった2015年のあと、ふたたびそうできるようになるための手応えは、十分につかんでいるようだ。  「今の時点での僕は、特にインディアンウェルズ、モンテカルロ、バルセロナの3週間における、自分のテニスのレベルをうれしく思っている。僕は自分の最高レベルに至るためにベストを尽くし、それに近づきつつあると思うし、少なくとも、そうできるよう努めている」

 ナダルはこう言って、自信もにじませたが、その上で、一日一日を考えて生きていくという自分のポリシーを、ここでも繰り返した。  「僕は、自分の毎日の努力を信じている。結局のところ、優勝候補が誰だろうと、僕が考えるのは火曜日の初戦のことだ。僕はその日その日に、よいプレーをするためベストを尽くす。そんなふうにやってうまくいけば、のちに、最終ラウンドまで至れるかもしれない。うまくいかなければ、そうはならないだろう」  ナダルの復活と同じくらい話題になっていたのが、モンテカルロで早期敗退したノバク・ジョコビッチ(セルビア)に関する問いだったが、ナダルは、完全復活への道のりで、ここでジョコビッチに勝つことはどれほど重要か、と聞かれると、こう答えた。

 「君たちはジョコビッチについて何度も尋ねてくるが、君たちの考えは間違っていると思う。(たとえモンテカルロで早期敗退したとしても)ジョコビッチは世界最強の選手であり、そのことを毎週証明して見せている。繰り返すよ、2011年の僕の問題は、ジョコビッチだった。そして2015年の僕の問題は、ジョコビッチではなかった(自分の故障や不調)。これが現実なんだ」  「今日、僕はただ自分の道を進み、ジョコビッチは彼の道を進んでいる」と言うナダルは、昨年感じていた不安感は、もはや消えたとも言い添えた。

(テニスマガジン/ライター◎木村かや子、構成◎編集部)