トップ10選手全員がエントリーしていた「ムトゥア マドリッド・オープン」(ATP1000/5月1~8日/賞金総額477万1360ユーロ/クレーコート)は2日、世界3位のロジャー・フェデラーが、背中の故障を理由に試合を待たずして棄権を表明…
トップ10選手全員がエントリーしていた「ムトゥア マドリッド・オープン」(ATP1000/5月1~8日/賞金総額477万1360ユーロ/クレーコート)は2日、世界3位のロジャー・フェデラーが、背中の故障を理由に試合を待たずして棄権を表明した。 棄権を決めたあと、記者会見を行ったフェデラーは、まず大会ディレクターであるマニュエル・サンタナと大会に対して「ここに来ておいて、プレーせずに去ることをお詫びしたい」と謝罪の言葉を述べ、それから、ここ数日の状況を次のように説明した。 「ここにやって来たときには、問題はなかった。それから土曜に練習をしたが、練習で少し背中を痛めてしまい、早めに切り上げる羽目になった。2時間練習するはずだったが、1時間15分でやめることになった。 昨日も今日も、練習の予定が入っていたが、練習できるという気がしなかった。水曜の試合に向け、準備万端になれないとわかったので、危険をおかしたくないと思った。安全策をとり、今休んでおいて、ローマにむけて準備を整えたほうがよいと判断した。ここに来る前にスイスでよい練習を積んできたのに、こんなことになってしまい本当に残念だ。今季は、ここまで厳しい年だったが、これからよくなっていくよう祈る」 その後、記者たちの問いに答えたフェデラーは、数年前にデビスカップ決勝で被ったのと同じ故障かと尋ねられると、「いや、あれはキャリアでもっともひどいケガだったが、今回のは、前にもあった普通の背中の故障だ。どう対処すればいいかわかっているという意味で、ましなものだと言えるだろう。だから明日まで待たず、今日、棄権しようと決めた。すでに昨日、初戦のある水曜までには回復できないだろうと感じたが、治療してもう1日だけ待って様子を見たかった」と答えた。 キャリアを通しケガは少ないほうだったが、今年はその点で運がなく、それによって精神的な悪影響はないか、と聞かれると「少しはあるが、しかし不可避なことだったから仕方がない。決勝や準決勝までいってから棄権を強いられた場合よりはましだ」と返答。「歯がゆいし、少し悲しくもあるが、膝より背中の故障のほうがましだとも思う。シーズンはまだ長い。これから多くのハイライトがやってくるよ」と続けた。 いずれにせよ得意でない全仏オープンだけに、ウィンブルドンに向けて万全になろうとは思わないか、と聞かれると「僕のゴールは全仏オープンの開始時に100%になっていることだが、それが無理なら、少なくともウィンブルドンまでには準備万端となりたい」と返したが、彼はまた、クレーの全仏オープンで勝つチャンスを否定しようとはしなかった。 「ロラン・ギャロスで勝つチャンスはあると信じる。僕はクレーの上で育った選手であり、クレーでのプレーを心地よく感じてもいる。過去の問題は、クレーというより、ラファ(ナダル)だった。もしラファがいなかったら、僕はクレーで驚くべきキャリアを送れたのではないかと思うし、彼がいても、僕のクレーでのキャリアはとてもいいものだった」とフェデラーは言う。 フェデラーは、メディアの期待が低い分、全仏オープン時の自分の期待はそれほど大きくないかもしれないが、ベストを尽くして闘う、とした上で、「もしかしたら、フレンチで何かが起きるかもしれない。もし起きなかったとしても、素晴らしい夏は長いよ」という言葉で、会見を締めくくった。
(テニスマガジン/ライター◎木村かや子、構成◎編集部)