■無敗のホームでエース北川が先制弾「超攻撃的」が、またも足踏みである。 J2リーグ第35節が10月19、20日に開催され、2位の清水エスパルスは20日、7位のモンテディオ山形とホームで対戦した。3位のV・ファーレン長崎に勝点10差をつけてい…

■無敗のホームでエース北川が先制弾

「超攻撃的」が、またも足踏みである。

 J2リーグ第35節が10月19、20日に開催され、2位の清水エスパルスは20日、7位のモンテディオ山形とホームで対戦した。3位のV・ファーレン長崎に勝点10差をつけている清水は、この試合に勝てば自力でJ1昇格の2位以内を確定できる。もっとも、5連勝中の山形は簡単な相手でない。

 前半は慎重な試合運びだった。守備時は4-2-3-1から4-4-2へ可変してブロックを敷くが、相手CBまでは規制をかけない。3ラインの間に危険なスペースを作らないことを最優先に、試合を運んでいく。

 だからといって、攻撃の迫力を欠くことはない。ホームのIAIスタジアム日本平には、今シーズン最多の18284人の観衆が詰めかけている。ここまで無敗を誇ってきたホームで勝利をつかみ、J1返り咲きを決めたいという気持ちを、清水の選手たちは胸に強く刻んでいる。

 21分、右CKからCB高橋祐治がヘディングシュートを浴びせる。29分にはトップ下の乾貴士が左サイドからカットインし、右足を振り抜く。

 31分には決定機をつかんだ。MFカルリーニョス・ジュニオの持ち出しから相手ゴールへ迫り、ペナルティエリア内左の乾が技巧的な浮き球のパスをゴール前へ送る。ボランチの宮本航汰が至近距離からヘディングシュートを放ったが、GK後藤雅明のスーパーセーブに阻まれた。素早いトランジションによる高強度のせめぎ合いは、0対0のまま前半終了のホイッスルを迎えた。

 後半も一進一退の攻防が続く。乾とカルリーニョス・ジュニオがボールを引き出し、攻撃にリズムと勢いをもたらす。69分にはCB住吉ジェラニレショーンから縦パスを受けた乾が、ゴール正面のMFルーカス・ブラガへラストパスを通す。背番号11はフリーになっていたが、ファーストタッチが決まらずにシュートへ持ち込むことができない。

 直後の71分、秋葉忠宏監督はルーカス・ブラガを下げ、MF矢島慎也を投入する。65分にMF宇野禅斗とMF中村亮太朗を交代させており、矢島はこの日2枚目の交代カードである。

 シーズン終盤になってジョーカーの役割を果たしている矢島は、この日も指揮官の期待に応える。75分、乾とのパス交換からゴール前へクロスを入れる。フリーでパスを受けたカルリーニョス・ジュニオが右足を振り抜くと、GKが弾いたボールを、抜け目なくつめたFW北川航也がプッシュした。

■シーズン終盤に繰り返される「体質」

 清水が先制する直前に、山形がアタッカーの3枚替えを行なっていた。相手の勢いを削ぐ先制弾となったはずだが、80分に同点とされてしまう。

 秋葉監督は85分にDF高木践、MF西澤健太、FWドウグラス・タンキを投入する。再び突き放すための選手交代だったが、ここでまたゴールを喫するのだ。87分、自陣左サイドで直接FKを与えてしまい、ゴール前で相手FWをフリーにしてしまった。ヘディングシュートを浴び、1対2と試合を引っ繰り返された。

 清水は前節の水戸ホーリーホック戦で、2位以内を確定できる可能性があった。自分たちが勝利し、長崎が引分け以下に終わるという条件だったのだが、前半を0対2で折り返してしまう。同点まで持っていくのが精いっぱいで、J1昇格は山形戦へ持ち越しとなった。

 振り返れば昨年、23年のJ2リーグでも、勝てば自力でJ1昇格を決められる試合で引分けた。同年のJ1昇格プレーオフ決勝でも、後半アディショナルタイムの失点で失意のドン底へ突き落された。

 さらに言えば22年のJ1でも、最終盤の失点で勝点3が1になったり、勝点1が0になったりした。ここぞという試合で勝利を逃す経験は、何度も、何度も、何度も、繰り返している。そしてまた、勝てば自力でJ1昇格をつかめる山形戦を落としてしまった。無敗を誇っていたホームで、シーズン初黒星を喫した。

 3位の長崎との勝点差は、10から7に縮まった。残り3試合で勝点3を上積みすれば、自力で2位以内を確保できる。依然として立場は有利だが、シーズン終盤になると勝負強さを失う体質が、チームの行く末に暗い影を落とすのも事実だ。

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