村上と金丸は来季ヤクルトで同じユニフォームを着ることになるだろうか(C)産経新聞社 プロ野球のドラフト会議が10月24日に行われる。2年連続でBクラスに沈んだヤクルトは、来季の巻き返しのためドラフトで確実に戦力補強を行っておきたい。【画像】…

 

村上と金丸は来季ヤクルトで同じユニフォームを着ることになるだろうか(C)産経新聞社

 

 プロ野球のドラフト会議が10月24日に行われる。2年連続でBクラスに沈んだヤクルトは、来季の巻き返しのためドラフトで確実に戦力補強を行っておきたい。

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 1位は確実に「即戦力投手」の指名に踏み切るだろう。今季のチーム防御率はリーグワーストの「3.64」、先発に限っては「4.02」だっただけに、特に即先発ローテとして期待できる投手の獲得を目指したい。

 複数球団による指名重複は確実とみられる金丸夢斗(関西大)を競合覚悟で指名するか、あるいは単独指名できる可能性もある中村優斗(愛知工大)のどちらかに絞るとみられるが、ぜひ指名して交渉権を獲得してもらいたい。

 ヤクルトの左腕投手は現状、来季先発ローテとして考えられるのは高橋奎二、山野太一の2人のみで、来季45歳のシーズンを迎える大ベテランの石川雅規は常にローテで回るのは難しい状況だ。

 2021年のドラフト1位・山下輝は2年目の春季キャンプで左肘のコンディション不良で離脱後、2軍戦で復帰を果たしたものの、昨季、今季と2年連続で1軍登板がなかった。

 それだけに、即戦力左腕の金丸は喉から手が出るほど欲しい逸材といえる。最速154キロを誇る直球に加え、制球力、変化球の精度も群を抜いている。

 今年の3月、金丸は欧州代表との強化試合で侍ジャパンのトップチームに初招集されると、先発して2回を4奪三振と完璧な投球を披露した。

 同じく中村も2番手で登板して最速157キロをマークするなど、1回を三者凡退に抑えると、直球はすべて155キロを超えた。現在は最速159キロで、将来的にはプロの舞台で160キロも出せるポテンシャルを持っている。

 三振を奪う能力と、変化球はスライダー、フォークの制球力も高い中村だけに、獲得できれば大きな戦力になるだろう。

 次に、1巡目で競合して抽選に外れた場合や、2位もしくは3位以内で狙いたい投手を見てみよう。中でもダイナミックな投球フォームから最速157キロを投げ込む篠木健太郎(法大)は候補のひとり。多彩な変化球も投げ、緩急も駆使した投球もできるクレバーな即戦力右腕だ。

 そして、あくまで左腕を狙うならば、最速153キロの威力ある直球を投げ込む徳山一翔(環太平洋大)も注目だ。徳山が全国区になったのは2年秋の明治神宮大会。国際武道大学を相手に7回無安打9奪三振の快投を見せた。プロでも神宮を舞台に輝きを放ちたい。

 他にも186センチの大型右腕・寺西成騎(日体大)、高校生では、198センチの長身から最速150キロの直球を投げ込む左腕の藤田琉生(東海大相模)も候補だ。

 社会人の即戦力投手では、先発として安定感のある三菱重工Westの右腕・竹田祐や、最速152キロの直球に加え、チェンジアップ、カットボールも駆使する西濃運輸の左腕・吉田聖弥も魅力的だ。

 投手だけでなく、もちろん野手の獲得も目指したい。主砲の村上宗隆が来オフ、メジャー移籍することが既定路線となっていることに加え、チームを支えてきた青木宣親、 山崎晃大朗が引退し、キャプテン山田哲人のコンディション面なども考えれば、野手は世代交代の波が押し寄せてきている。

 そんな中、外野手の吉納翼(早大)や麦谷祐介(富士大)の2人を推したい。吉納は逆方向へも強い打球を打てる長距離砲。麦谷も同じく広角に強い当たりを打てるスラッガーで、50m5秒8の俊足、肩の強さも武器だ。

 ヤクルトの外野陣は今季、レギュラーの塩見泰隆が左膝前十字靭帯と半月板損傷の大ケガで離脱。来季すぐに本来の活躍が見込めるかはまだ不透明だ。あとはドミンゴ・サンタナが確定だとしても、残りの1枠を誰がつかみにいくか。

 並木秀尊、丸山和郁、岩田幸宏ら俊足巧打の外野手が多い中、一発長打が魅力の澤井廉も“ポスト村上”として期待されるが、こうした若手の中に強打者タイプの新人が割って入ることで、競争意識がさらに芽生える可能性がある。

 内野手では、富士大学の渡邉悠斗の名を挙げておきたい。3年秋は首位打者、今春のリーグ戦では本塁打王と打点王に輝いた右の強打者は、タフな身体も魅力だ。一塁と捕手だけでなく、三塁も守れるという渡邉は、高校時代は捕手で、プロに入って三塁に転向した村上と通ずる部分がある。

 高校生で注目したいのは早稲田実業の宇野真仁朗だ。高校通算64本塁打を誇る右の長距離砲で、内野のどこでも守れる点も魅力的。走塁の技術も高い選手だ。

 内野は赤羽由紘、武岡龍世ら既存の若手と競わせ、村上が抜けると想定した三塁手の育成、二塁手の山田を脅かす後継者をつくり上げたいところだ。

 投打ともに補強が必須のヤクルト。投手力アップは確実にしておきたいが、“ポスト村上”育成も急務なだけに、慎重に戦略を立てて臨みたい。

[文:別府勉]

 

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