第85回菊花賞(20日/GI、京都芝3000m)には、ダービー馬ダノンデサイル、セントライト記念勝ち馬のアーバンシック、神戸新聞杯を逃げ切り制したメイショウタバルなどが出走予定。
本記事では、出走各馬の追い切りを診断し「S」「A」「B」の3段階で評価した有力馬や穴馬をピックアップ。ここでは「コスモキュランダ」を取り上げる。
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■コスモキュランダ
【中間調整】弥生賞では向こう正面から動いていく積極的な競馬から、長くいい脚を持続させ2着シンエンペラーに1馬身1/4差をつける完勝。続く皐月賞はジャスティンミラノにクビ差まで迫る2着で、着順は位置取りの差だけだったと言っていいだろう。日本ダービーは出遅れを喫してしまい、序盤16番手追走という厳しい展開。結局6着に終わったが、早めに押し上げるこの馬の競馬はできており、3着に0秒2差なら高い能力の一端は示せた。秋初戦・セントライト記念は1番人気に応えられずの2着も、イン有利の馬場を最大限に活かしたアーバンシックに分があっただけ。ここでも長くいい脚を使うこの馬の競馬できていたし、まずは順調な滑り出しだったのではないか。
1回使って菊花賞へ進むのは当初からの青写真通り。弥生賞→皐月賞時のパターンを踏襲し、今回も在厩で調整されている。当初はプールで秋初戦好走の反動を抜いてやり、9月26日の坂路15-15から時計を再開。ここでさっそく併せ馬ができたように、精神面はなんの不安もなさそう。1週前のウッド調教では序盤にゆったり入って折り合いに専念し、終いまで馬なりを保つ併せ馬。意図した通り、いい意味での脱力感から楽な手応えを保って併入とした。
【最終追い切り】レース当週もウッドで併せ馬。2歳1勝馬を3馬身ほど先に行かせ、比較的速いラップを刻む相手を楽に追い詰めていく。コーナーでは威嚇するような素振りで気迫満点といったところ。相手も良く走ったが、結局手応え圧倒で切れ勝ちし1馬身抜け出しての先着とした。前走時より体を柔軟に使えていたのは好感。
【見解】常に稽古で安定した動きを見せるタイプだが、最終追いでの伸びやかさ、柔軟さは前走時以上。気迫の面も十分で、1回使われた効果はてきめんといったところだ。これまでは1週前に強い負荷を掛ける調整パターンだったが、今回は終い重点の馬なり。これはM.デムーロ騎手の進言をいれたもので、これが最終追いの柔軟な動きに繋がったのかも。もちろん未知の3000mを走るにあたって余力温存、折り合う感覚のかん養という意味でもこの策が吉と出そう。
京都2歳Sは凡走もこれは再三の不利が祟ったもの。マクって長くいい脚を使う脚質はいかにも京都向きだし、右回りでの安定感は中山重賞での好走ぶりから証明済みだ。メイショウタバルが引っ張って上がりを要する展開となりそうなのも好材料。ラスト1冠を手にする可能性は十二分と言える。
総合評価「S」
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著者プロフィール
西村武輝(にしむらぶこう) 【重賞深掘りプロジェクト】調教ライター。競走馬の追い切り評価を専門として、ネットメディア中心に執筆を続けているフリーライター。UMAJINでは「競馬サロン」開設以前から毎週の重賞出走全頭のレポートを執筆、担当。またプロレス関連業界にも関わっており、週刊プロレスや書籍等への寄稿歴もある。