王座奪還を目指す。ついに幕を開けた東京六大学秋季リーグ戦。第1カードは2011年秋以来、6年ぶりとなる開幕明早戦となった。先発のマウンドを託された齊藤大将投手(政経4=桐蔭学園)は9回6安打1四球の好投。要所を締める投球で自身リーグ戦初とな…

王座奪還を目指す。ついに幕を開けた東京六大学秋季リーグ戦。第1カードは2011年秋以来、6年ぶりとなる開幕明早戦となった。先発のマウンドを託された齊藤大将投手(政経4=桐蔭学園)は9回6安打1四球の好投。要所を締める投球で自身リーグ戦初となる完封勝利を挙げた。打線は初回、2番・河野祐斗内野手(文4=鳴門)の左中間を破る二塁打を皮切りに、3者連続二塁打の固め打ちで2点を先制。齊藤のテンポの良い投球と二桁安打で終始流れを渡さなかった。3回にも1点を加え、3-0。序盤で奪った3点を守り切り、初戦を白星で飾った。

キレ味抜群の直球とスライダーがさえ渡る。先発を任されたのは左腕エース・齊藤。最速143㌔の直球とキレ味抜群のスライダー、そしてそこに新たに習得したチェンジアップを織り交ぜ、序盤から凡打の山を築く。3回には自らの好フィールディングで併殺を奪うなど早大打線に好機を与えなかった。9回を投げ抜き散発6安打四死球1。9回には当試合初の走者三塁の危機を招くも動じず。最後は外角いっぱいのスライダーで打ち取り試合終了。打者30人を相手に無失点と、エースの風格を見せつける完封勝利を挙げた。自身初の9回完投も「一つ一つのアウトを積み重ねた結果」。目の前の打者との真剣勝負の積み上げが、満足のいく投球につながった。

 世界での経験がもたらしたものは大きい。自身2度目となる大学日本代表に選出され、7月に日米大学選手権、8月にはユニバーシアードに出場。日米では敗戦投手も味わうも、ユニバーシアードでは抑えとして世界の強打者相手にも力負けしない投球を見せた。明大のエースとして精神面、技術面にも成長した男が最後のリーグ戦で真価を見せる。

 

 鋭い打球が相手三塁手のグラブを弾いた。初回、河野が左中間を破る二塁打を放つと続く渡辺もフェンス直撃の二塁打で続く。1死二、三塁の好機、打席にはオープン戦から好調ぶりをアピールしていた4番・逢澤。「何がなんでもランナーを返すという気持ちで打席に立った」と初球の141㌔のストレートを捉えると、打球は三塁手・織原(早大)のグラブを弾いた。打球はそのまま転がり、走者2人を還す2点適時二塁打に。圧巻の3者連続二塁打で早大の左腕エース・小島から幸先良く先制点を奪った。昨季の課題であった“ここぞの場面での一打”。序盤で巡ってきた絶好の得点の機会を、勝負強さが光る4番の一振りで物にした。

 鉄壁の内野陣が投手を援護する。5回、6番・岸本(早大)の打球が齊藤の伸ばしたグラブを跳ねると、そのまま安打となるかと思われたが、明大の名手・竹村春樹内野手(政経4=浦和学院)が魅せた。体勢を崩したまま素早く素手で捕球すると、流れるように一塁に送球。スタンドが沸く中、齊藤の顔にも笑みがこぼれた。チームがこの日奪った併殺は四つ。「守備がしっかりしている明治らしいプレーができた」(齊藤)。相手の攻撃の芽をことごとく摘むと同時に、確実に攻撃へのリズムを作っていった。

 一方で、二つのけん制死を許すなど走塁面では課題が残った。「1点勝負になったら走塁が命取りになる」(竹村)。各大学に好投手がそろうため、今後のリーグ戦では接戦での試合も多く予想される。一刻も早く改善し、手堅く勝利を収めたい。

 

 確実に勝ち点を奪いにいく。経験豊富な4年生左腕・大竹(早大)なども控える早大投手陣。2回戦も少ない好機での得点が勝敗のカギとなることは間違いない。「今日の勝ちは明日勝たなきゃ意味がない」(中野速人主将・法4=桐光学園)。確実に優勝への歩みを進めるためにも、まずは勝ち点一つ。明早戦を制し、王座奪還への口火を切りたい。

 

[坂田和徳]

 

今季も先頭に立ってチームを引っ張る中野

「今日は齊藤がエースらしいピッチングを見せてくれたし、バックもしっかり守ってくれたのが勝因だと思います。まだまだミスもたくさんあるし『小さいとこのミスも潰していこう』ってさっきミーティングで話してたんですけど。ここまでうまくいく試合ってなかなかないので、後半の厳しい試合にどう勝つかって時に今日みたいなミスをなくしていかないといけないと思います。まあ課題もたくさん出たんですけど、勝って反省できたのはよかったです。今日の勝ちは明日勝たなきゃ意味がないので、どんな形でも1点多く終われるように、明治らしさを出して粘り強く戦っていければと思います」

 

リーグ戦初完投、初完封を飾った齊藤

「(今日の投球を振り返って)一度も相手に流れを渡すことがなかったので、自分の中では満足のいく投球だったかなと思います。(完封勝利です)一回一回の積み重ねが9回続いたっていう形なので、9回投げるっていうことよりも一つ一つのアウトを積み重ねた結果だと思います。後ろにも良いピッチャーがいますし、後ろを見て投げたっていうことでもないので、投げ抜いたっていう達成感はないです。(今日の先発登板を知らされたのは)はっきりとは一度も言われていないです。でも、そういう流れや雰囲気があったので、勝手に投げる気でいました。(野手陣の好守備も目立った)守備から流れをつくっていくチームだと思っていたので、ああいうところで自分も助けられていますし、良い形で打撃にも入れていると思います。守備がしっかりしている明治らしいプレーができたかなと思います。(初回先頭打者にストレートの四球)先頭からカウントが悪くなってしまって、四球出してもいいやって思ったわけではないんですけど、置きにいって打たれるよりは気にせずに投げようと思いました。一回自分の投球の悪い流れを切ろうと思いましたし、序盤だったので進塁されても抑えればいいと思って投げました。(120kmぐらいの球は)多分チェンジアップです。140km台前半が真っ直ぐで、35から40ぐらいがカットボールだと思います。(これからのリーグ戦に向けての意気込み)今日はまだ1勝しただけなので、連続で勝って勝ち点を挙げて、優勝に向けて進んでいけたらと思います」

 

1犠打、2安打と打撃で活躍した河野

「初回良い形で点が取れて守備も齊藤を援護してしっかり守れていたので粘り強い野球ができたかなと思います。(齊藤は)結構いい感じでストライク先行だったので守るにも守りやすかったですね。テンポも良かったです。(個人では)1、2打席目打てたんですけど最後チャンスで凡退してしまったのでそこは反省です。ああいうチャンスの場面で打てるように次やっていきたいです。(小島対策は)特に対策とかはなかったですけど、個人としてもチームとしてももう知ってる相手なので自分たちのスイングをして高めのストレートには手を出さないように心掛けてました。(善波監督からは)思い切ってやれと。とにかく下半身使っていけと言われました。(4併殺)齊藤が頑張っていたのでなんとか堅く守っていきたいと思ってたので良かったです。(早大と相性が良い)六大学の中では一番負けてはいけないと思ってるので強い気持ちを持ってやっていきたいです。(次に向けて)今日と変わらず次に向かって全員で頑張ります」

 

2安打を放ち、4併殺を生み出すなど攻守で貢献した竹村

「ノックだとか試合の入りが良くて、そういったことで初回に2点が取れたんじゃないかなと思います。(齊藤が完封)齊藤も周りに声をかけたりしていて、橋本も慣れていない中でよく頑張ってくれました。先発はそこまで慣れてなかったと思うんですけど、彼なりに良い状態のままずっと投げてくれたので結果が出たんと思います。(打線も理想の攻撃が)自分が先頭であんな良くないアウトになってしまったんですけど、2番以降がつないでくれて初回の流れはいい形でしたね。(自身も2本)2本出たことはでかいんですけど、まだ修正するところはいっぱいあるので、帰って明日に向けてやるしかないです。どっちも内野ゴロみたいな感じの感触だったので、もっと強く振ってちゃんとセンターに強い打球を打ちたいです。狙い球をしっかり振りにいくという感じです。(守備)齊藤が頑張っていたので、何が何でも守ろうという気持ちでやりました。(チームはけん制死が2つ)サインが出てた場面で慌ててしまったところがあったし、1点勝負になったら走塁が大事になってくると思うのでそういう意識は高く持ってやるしかないです。課題は走塁だと思います。(チームの雰囲気は)みんなだいぶ声が出てきていると感じます。何とか明日で決められるように、勝ちにこだわってどういう状況でもみんなで必死やっていきます」

 

4番に座り3打点を挙げた逢澤

「(最初の打席はチャンスで回ってきたが)先制点は開幕ゲームですごく大事になるし、欲しい場面だったので何がなんでもランナーを返すという気持ちで打席に立ちました。(早大投手陣)左投手が多くいるので、それに負けないように対策してきたので、印象としては左がいいなというイメージがありました。(早川は打ちにくかったか)コントロールが良くてその中に球威があったのでいいピッチャーだと思いますけど、それを打ち崩さないと勝利はないと思うので、帰ってからしっかり修正していきたいと思います。(明日に向けて)2勝してからの勝ち点なので、今日の勝利に満足せず明日も絶対勝つという気持ちで打線を引っ張っていきたいと思います」

 

初めて開幕スタメンを勝ち取った村上

「(本日の試合を振り返って)特に意識していたことはないのですが、自分は打席内で開いて引っ張ってしまうことが多いので逆方向に強い打球を打とうということを意識していました。(相手先発の小島について)特に意識していたことはありません。春の終盤に何試合か試合に出せてもらって、そこからもっと試合に出たいという気持ちが強くなったので、キャンプではレギュラーを取る勢いで練習に励んでいました。(開幕のスタメン)レギュラーを取れるとは分かっている前提だったのですが、それでもやはりうれしくて、自分なりに足の速さとか打球を遠くに飛ばすということをアピールすることを目標にして今日は打席に立っていました。(本日2安打)まさかヒットが打てるとは思っていなかったので非常にうれしかったのですが、先発の小島投手や早川投手からは綺麗なヒットを打つことができなかったのは課題です。(明日に向けて)明日も出る機会があれば今日の課題を踏まえて活躍したいです」

 

一塁手として公式戦に初めて出場した吉田

「(今日振り返って)行進がいいとさっき言われたので、開会式からいい流れが試合につながったのかなと思います。(ヒット出なかった)打とう打とうと思って変に力が入ってしまい、これが神宮かなと思いました。狙い球は決めて打席に入っていましたけど、神宮の舞台ということで余計に力が入るから簡単には打てん場所やなと思いました。(けん制アウト)前に前に行こうという気持ちはあるんですけど、それが悪い方に出てしまっているので反省しないといけない点です。(ファーストでスタメン出場)少しでもファーストでうまくなろうと思って、いっぱいノックを受けました。(河野と話していた)ちゃんと確認しとかんとあかんとこなので、ちゃんと声を掛け合っていました。(早大対策)狙い球を絞って、また監督からは『自分たちのスイングをしよう』ということを言われたので、相手に合わせるというよりも自分たちの力を出そうと挑みました。(チームの雰囲気)めっちゃ良かったと思います。(意気込み)個人的に打てていないので、今日帰ってまず打撃を修正して、チームとしては今日帰ってからの生活でこのいい流れを切らないようにやっていきます」

 

二塁打で出塁し先制のランナーとなった渡辺佳

「レフト方向の打球が切れないで伸びるようになったので良かったと思います。(3番での起用は)ピッチャーも見れますし、慌てないで打席に入れるのでいいと思います。見えるボールはしっかり見えていたので状態はいいと思います。開幕戦だったので自分の成績よりもチームの勝利に貢献しようという意識で試合に臨みました。(監督からは)特に何も言われなかったですけど、3番なので思い切ってやれというふうに言われました。(相手の小島は)初回から球が高めに浮いていたので、そこをたたいていこうという意識でした。(齊藤さんは)ユニバーシアードでも一緒にプレーをして、明治でも1年生から後ろで守らせていただいているので、少しでも助けてあげられればという気持ちでした。(竹村とは)去年から三遊間をやっていて特に変わりなくやっていたんですけど、口数は去年よりも増えたと思いますし、それよりも吉田がファーストで入って慣れていないポジションだと思うのでみんなで声かけることができました。(明日は)自分自身いいところで一本打てればいいと思いますし、何よりもチームが勝つことが最優先だと思います」

 

打撃などでの成長を買われスタメン起用された橋本

「(今日の試合の感想)今日は初めてのスタメンマスクをかぶって思ったより最初はすごく緊張していたのですが中盤に進むにつれて楽しくできました。(試合前に齋藤さんとは)1回1回をしっかり抑えて目の前の打者を確実に打ち取るということを意識していて完封とか完投とか考えずに闘っていきました。(試合前)中野さんには昨日の時点から元気出していけと言われていたので心強かったです。(試合前に齋藤さんから言葉は)特に無いです。ほっておいておくような感じです。いつも通りやっていこうという感じですね。(齋藤さんの調子は)調子はすごく良かったです。(投球練習からですか)そうですね。ここ最近ずっと調子が良かったんで今日もその調子で投げてもらいました。投球練習の時から気持ちが入っているのは受けていて分かりました。(守備が良かったのですが捕手から見て)そうですね。投手が頑張ったのもそうですが内野の選手達もファインプレーが出て救われた所が多いと思います。(ゲッツーについて)しっかり狙って取れた形ですね。(好きな打撃でヒットが打てたという点)中々打ててなくてやっと1本出たので良かったです。(けん制について)自分の技術的なミスでピッチャーに裏をかかれました。(切り替え)守備に行く時には周りからしっかりと声をかけてもらったのでしっかり切り替えて元気出していくという気持ちで挑みました。特に中野さんからはしっかりと声をかけてもらいました。(齋藤さんの特に良かった球種)スライダーが良かったです。特に左打者の外と右打者の外のスライダーも良かったです。(9回にタイムを取った時に何と声をかけたのか)1塁ランナーは勝敗には関係がないのでランナーではなく打者に集中して1個アウトを取ろうと言いました。(明日への意気込み)明日も勝って連勝し、勝ち点を取って良い流れで今後のリーグ戦を迎えたいと思います。(齋藤さんとの相性は)結果的には良いのですが良くなりたいと思います」