「チームスポーツである以上はあると思うので。怪我もそうですし、チームの総合力が問われると思うので。そういう意味ではチームとして、また違うことをやっていかないと行けない」  そう力強く話すのは、サッカー日本代表の田中碧だ。川崎フロンターレから…

「チームスポーツである以上はあると思うので。怪我もそうですし、チームの総合力が問われると思うので。そういう意味ではチームとして、また違うことをやっていかないと行けない」

 そう力強く話すのは、サッカー日本代表田中碧だ。川崎フロンターレからドイツ2部のデュッセルドルフに移籍していたが、今季からイングランド2部のリーズ・ユナイテッドFCに所属。サッカーの本場で、さらなる成長を見せようとしている。
 その田中が、2026FIFAワールドカップアジア最終予選で初めてスターティングメンバーに名を連ねようとしている。ここまで3試合で先発してきた遠藤航の欠場が濃厚なのだ。
 遠藤と守田英正はここまで抜群のバランスを見せて、攻守両面でチームをけん引してきた。しかし、主将が前日練習を休まざるを得なくなったという事実は重く、“第3のボランチ”田中への期待が高まった。
 その田中は、冒頭の言葉のように「チームの総合力」という言葉を使っており、自らがその穴を埋め、さらに違った森保ジャパンの強さを見せようと意気込む。

■田中碧が膨らませるイメージとは

 田中は、「まず守備から入るというのがすごくキーなっている」と今の日本代表の強さを説明し、「5ー4ー1なので、前プレスがハマらない時にブロックを作って守るという選択肢がまず1つあるっていうのが、フォーメーション上の特徴であって。ただ、その分ボールに行けないって現象は起きますけど、5ー4ー1で守る時間帯を作ることで、その中で新たな解決策を見つける、見つける時間を多少なりとも稼げると思う」と、イメージを膨らませている。
 だからこそ、その時間を生かして「どう立ち位置を変えていくかとか、どう相手にハメていくかっていうのを考える時間ができている」と、攻撃面でもその持ち味を発揮するつもりだ。
 3バックには、田中のよく知っている選手も2人いる。谷口彰悟板倉滉で、2人とは川崎フロンターレの下部組織やトップチームでイメージを共有してきた仲だ。
 板倉も練習後に、「もちろん、ずっとキャプテンとして引っ張ってきている存在なのは間違いないですし、ずっと代表でハイパフォーマンスを出してくれているので、どうなるか明日分からないですけど」と遠藤不在について語りながらも、「ふだん出ていない選手たちの練習を見ても準備できているなという印象を受けていますし、みんながそこのポジションを取りに行くという気持ちを持って練習をやっているので、全然心配ない」と、遠藤の代わりに“誰が出てもやれる”と太鼓判を押す。

■板倉滉も守備からのイメージ

 そして、田中同様に守備から入るイメージも共有している。
「無失点で行きたいし、無失点なら負けないし、どれだけゼロで長く推移できるかっていうところで変わってくると思うので。もちろん、そこはこだわってやっていきたいですけど、簡単な相手じゃないことは分かっていますし、失点したとしても落ち着いて(失点を)「1」で留めることも大事」
 オーストラリア戦の心構えをこう説くからだ。
「常に準備したいなと思いますし、相手より先にっていうところは変わらずやりたいですし、ここ何試合か無失点で行けているのもコミュニケーションの多さがいい感覚になってるので、やっていきたい」
 板倉はこうも語り、周囲と連携を図る構え。仮に遠藤航の代わりに田中や他の選手が入ったとしても、しっかりとコミュニケーションを取って、難敵を迎撃するつもりだ。
 田中は2021年10月に行われたカタール大会の最終予選でも先発に抜擢され、衝撃的なゴールを決めている。その再現を披露できるか。キックオフは19時35分だ。
(取材・文/中地拓也)

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