河村勇輝が、アメリカの地で印象的な活躍を続けている。エグジビット10契約という保証のない契約のなか、プレシーズンマッチでは3…
河村勇輝が、アメリカの地で印象的な活躍を続けている。エグジビット10契約という保証のない契約のなか、プレシーズンマッチでは3試合連続で出場機会を与えられ、ポイントガードの主力を欠いた10月13日(現地1時間10月12日)のシカゴ・ブルズ戦では、出場時間23分48秒が与えられ、2得点、8アシスト、1スティールを記録。プラスマイナスはチーム2位の+17となり、ルーキーのザック・イディーに通した相手を欺くノールックパスは敵地の観客さえも沸かせ、NBA公式でもハイライトが公開された。
コート外での振る舞いも高く評価され、メディアからもファンからも注目の的となっている河村だが、日本のファンが気になるのはシーズン開幕時の動向だろう。河村も「毎日が戦い。いつカットされてもおかしくない」と気を引き締めるように、NBAで居場所を勝ち取るのは容易なことではなく、同じ契約でインディアナ・ペイサーズ入りを果たした富永啓生はプレシーズンを前にウェイブされている。
しかし、河村も渡邊雄太と同じ道を辿る可能性があるかもしれない。メンフィスの日刊紙『Memphis Commercial Appeal』によると、河村はグリズリーズの2Way契約の候補の1人だという。
グリズリーズは現在、今年8月にママディ・ディアキテをウェイブしたことにより、トップチーム契約が14人のままとなっている。NBAの規定により球団は最大15人と本契約を結ぶことを許可されているため、現在プレシーズンに参加している選手のいずれかが本契約を勝ち取ると予想されている。
同紙は、その1人がサマーリーグでトリプルダブルを記録するなど、夏からグリズリーズで存在感を示すスコッティ・ピッペンJr.が2Way契約から本契約に昇格すると予想。そうした場合、ピッペンJr.が抜けた枠でもう1人と2Way契約を締結できるわけだが、河村がその枠を埋める有力候補になると報じている。
グリズリーズを率いるテイラー・ジェイキンスHCは、河村の2Way契約について「恐らくね。競争は自由だ」とし、その可能性を否定しなかった。また、高さがものをいうNBAにおいて身長というディスアドバンテージを背負う河村だが、アグレッシブなディフェンスとピック・アンド・ロールをすり抜ける俊敏性でその不利を最小限のものとしており、逆転劇を演じたブルズ戦でも自身がウィークポイントになることはないことを数字をもって証明している。それはジェイキンスHCもすでに認識済みで、背番号17の持ち味を以下のように賞賛している。
「彼の体格がどうであろうと、それが彼の情熱を止めることはない。そして、コート全体で競争力を発揮し、混乱を巻き起こそうと努めている」
また、リーグで2度の3ポイント成功率1位を獲得したチームメートでルーク・ケナードも、河村の選手としてのアイデンティティに惚れ込んでいる様子だ。
「彼は激しく、競争心に溢れ、バスケットボールを愛しています。僕は間違いなく、彼のプレーを気に入っている。才能に恵まれた選手ですね。彼はこの競技で大金を稼ぐでしょう」
ブルズ戦の終盤には、コートサイドでジャ・モラントが河村に声をかけるシーンもあり、すでにチームの一員として迎えられている河村。チームメイト、コーチ、メディア、ファンと早くも四方からの信頼を勝ち取りつつある河村なら、この先に待ち受けるいかなる逆境も乗り越えてしまうと感じるのは決して筆者だけではないはずだ。
文=Meiji
【動画】河村がアシスト連発…ブルズ戦の試合ハイライト映像