秋のダートマイル王決定戦、第37回マイルチャンピオンシップ南部杯(JpnI、ダ1600m)が14日、盛岡競馬場で行われる…
秋のダートマイル王決定戦、第37回マイルチャンピオンシップ南部杯(JpnI、ダ1600m)が14日、盛岡競馬場で行われる。
今年はJRA所属馬が6頭、地方所属馬が9頭の計15頭により争われ、「Road to JBC」として、1着馬にJBCスプリントまたはJBCクラシックへの優先出走権が与えられる一戦。ダートマイル戦線の頂点に立つのはどの馬か、その結末を予想する。
◆【マイルチャンピオンシップ南部杯2024予想/結論・買い目】「一発逆転」の使者に人気盲点のJRA所属馬
■リピーターが活躍 レモンポップの評価は
昨年の覇者レモンポップが、今年も堂々の主役を演じそうだ。昨年はドバイ遠征からの海外帰りで、長期休養明けのレースとなったが楽逃げで後続に2秒差もつける大差勝ち。2着イグナイターが後にJBCスプリントを制しており、決して楽な相手関係ではない中での圧勝劇で、マイル戦線での王者っぷりを発揮してみせた。
その後はチャンピオンズCを制し、フェブラリーSも含めてGI年間3勝。JRA最優秀ダートホースに輝いた。今年は初戦のサウジCこそ12着に大敗したが、前走のさきたま杯ではイグナイター、シャマルらを寄せ付けず快勝。国内戦では14戦11勝2着3回のパーフェクト連対で、大崩れすることは考えにくい。
元来、リピーターが活躍するのが南部杯の特徴。2006~08年に3連覇を果たしたブルーコンコルドを筆頭に、ユートピア、エスポワールシチー(通算3勝)、ベストウォーリア、コパノリッキー、アルクトスと連覇を決めた馬は実に6頭。加えて、ホッコータルマエ(13年2着、16年3着)、ゴールドドリーム(18年2着、19年3着)など繰り返し出走して好走するケースも目立つ。
1番人気に支持されることは濃厚だが、過去10年、1番人気の成績は【7.1.1.1】馬券内率90%。10日の最終追い切りでは2歳新馬に併走遅れと、まだ万全の状態ではなさそうな印象だが今年も負けるわけにはいかない相手関係。連軸に据えるには最適な1頭だろう。
■逆襲を果たしたいGI馬2騎だが……
レモンポップに挑戦状を叩きつけるのが、今年のフェブラリーSを制したペプチドナイル。昨年までは重賞でワンパンチ足りない印象だったが、初めてのマイル戦となったフェブラリーSで、先行勢にとって厳しい展開のなか好位から正攻法で勝ち切る強い競馬。GI馬に上り詰めた。
左回りのワンターンで実施される当レース。ゆえにフェブラリーSとの親和性は高く、昨年のレモンポップ、一昨年のカフェファラオは同一年にフェブラリーSと南部杯を制覇。16、17年と連覇を果たしたコパノリッキーは、15年にフェブラリーSを勝利しており、12、13年連覇のエスポワールシチーも10年のフェブラリーS勝ち馬。ペプチドナイルにとっては好材料ともいえる。
その一方で、前走のかしわ記念では地方の力のいる馬場が合わなかったか、終い甘くなってシャマルの3着に敗戦。初めて訪れる盛岡コースへの対応がカギを握りそうで、シャマルを物差しに考えても、ややレモンポップとは力の差がありそうだ。
もう1頭のGI馬、大井のミックファイアは昨年の南関東無敗の三冠馬。盛岡のダービーグランプリも制し、コースへの適性は証明済みだ。今年のフェブラリーSでは、勝ち馬からコンマ8秒差とそれほど大きく負けてはおらず、当時よりも相手関係は楽になる今回は前進もあり得るだろう。
しかし、東京大賞典、かしわ記念など中央勢を相手に王道路線を歩み、なかなか結果を残せていない点は懸念材料。元来は2000m前後がベストディスタンスで、かしわ記念も後方のまま流れに乗れず終わってしまった。マイルの速い流れについていけるかが勝負の分かれ目になりそうだ。
■荒れる南部杯、人気薄のJRA勢が妙味
先に述べたように、1番人気が複勝率90%、2番人気も同70%と上位人気の信頼度が高い一方、過去10年の3連単平均配当は3万3388円と、ヒモ荒れで好配当が起きやすいのが南部杯の特徴。レモンポップが逃げて地力を発揮する展開になれば、好位追走のペプチドナイルはGI馬として勝ちに行く競馬をすると思われるが、追いかけて逆に終い甘くなりそうな予感も漂う。
ミックファイアも同様に、先団につければ追いかけて失速、あるいは後方から進めれば速い流れについていけず終いジリジリ……という展開が予想され、上位人気ほどの信頼度はいまひとつ。それぞれバッサリ切ってしまい、死んだふりの下位人気馬の台頭に期待を込めて、好配当を狙ってみる。
まずは昨年の当レース4着のタガノビューティー。全7勝中6勝を左回りで制している典型的なサウスポーで、重賞未勝利と勝ち味に遅い同馬だが、常に後方からレースを進めて上がり3Fはほぼ1~3位のタイムで差し込んでくる。昨年もレモンポップに次ぐ2位の上がりタイムをマークしており、展開次第では豪快に突き抜けてもおかしくないタイプ。今回もレモンポップ云々ではなく、自分の競馬に徹して差し込んでくるレースをすればひと泡吹かせる場面は作れるかもしれない。
そのほかのJRA勢は、ダイシンピスケス、キタノリューオー、キタノヴィジョンと重賞実績も乏しくやや小粒な印象。だが、JRA勢に限ると、6番人気以下で複勝率が23.8%と人気薄ほど台頭してくるのが南部杯の特徴だ。実績不足だからといって安易に切り捨てるのではなく、上位人気勢がやり合って着順を落とした際の漁夫の利で2・3着、というシーンもあり得ると考え、馬券の相手には加えておきたい。
また、兵庫のアラジンバローズは前走のサマーチャンピオンで重賞初制覇を果たして勢いに乗っている。JRA在籍時もオープン特別で勝ち負けできる力を見せており、前記JRA勢3頭と比べてもそん色ない。マイル前後は守備範囲で、盛岡の馬場も経験済みな点はプラス材料。こちらも一発あっておかしくないので相手に入れておきたい。
馬券は3連単のフォーメーションで。レモンポップは連は外さないとみて1,2着のみに配置し、一発逆転を期待してタガノビューティーも1着欄に。それ以外の馬は2~3着に配置して勝負する。万が一、レモンポップが4着以下に沈んだら大爆発だ。
◎(1)レモンポップ ◯(4)タガノビューティー ▲(10)ダイシンピスケス △(6)キタノリューオー △(11)キタノヴィジョン △(8)アラジンバローズ
3連単フォーメーション(36点) 1着:1、4 2着:1、4、10、6、11、8 3着:4、10、6、11、8
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◆著者プロフィール
石川豊●いしかわゆたか 20代から競馬メディアに寄稿。「ユタカ人気」と言われた時代、武豊が騎乗する過剰人気馬をバッサリと切り捨てる馬券術を駆使し、年間回収率100%超に成功。以来、「1番人気の勝率は3割」を念頭に、残り7割の可能性を模索し、「危険な人気馬」理論を唱え続ける。