第29回秋華賞(13日/GI、京都芝2000m)には、オークス馬のチェルヴィニア、桜花賞との2冠を狙うステレンボッシュ、ローズS勝ち馬クイーンズウォークなどが出走予定。

本記事では、出走各馬の追い切りを診断し「S」「A」「B」の3段階で評価した有力馬や穴馬をピックアップ。ここでは「チェルヴィニア」を取り上げる。

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■チェルヴィニア

【中間調整】出れば上位人気確実だった阪神JFをトモの違和感で回避。5カ月ぶりのぶっつけとなった桜花賞は13着大敗に終わってしまったが、脚元の様子を見つつの慎重な立ち上げだったし、入ったゲートは大外18番、鞍上はC.ルメール騎手の負傷でB.ムルザバエフ騎手に乗り替わり、そして直線では挟まれる場面があるなど厳しい条件が揃い過ぎていた。そこから中5週でしっかり立て直され、ルメール騎手に手戻りしたオークスでは桜花賞馬ステレンボッシュを競り落として見事勝利。これが能力通りの本来の走りだろう。

牝馬3冠最終戦・秋華賞への直行は予定通り。9月15日に美浦へ戻り19日の初時計でさっそくウッド5F67秒4(馬なり)と速いところをこなした。帰厩前に体調を崩したとのコメントも出ているようだが、これだけやれたあたりまったく問題ないと考えていい。2週前のウッド併せ馬では5F65秒7(馬なり)と大きく時計を詰めてきた。この日のウッドは右回りで、コーナー通過で若干だけ口向きの悪さを見せたものの、直線に入っての伸びは豪快そのもの。1週前追いはウッドで準オープン馬を追走し、楽に併入。内目を回ったにせよ、時計はさらに短縮し5F65秒4(馬なり)をマークできていた。

【最終追い切り】レース当週は前後に馬を置く隊列で入り、直線では左右からタイトに挟む木村厩舎お得意のウッド3頭併せ。上々の操縦性で滑らかなコーナリングで直線に入り、まったくの馬なりのまま重心をグンと沈めて加速していく。結局左右2頭に合わせるようにして楽々と併入を果たした。ブレが少なく、やや頼りなさげだった春からグンと成長を果たした感が。

【見解】発表された調教後馬体重はプラス16キロ。見た目上はまったく太く感じさせず、ほぼ成長分と考えていいだろう。実際に春の自己ベストはウッド5F66秒4だったが、この中間は楽に65秒台を連発できており、パワーアップぶりは顕著だ。「久々で関西圏のレース」は大敗した桜花賞と同じだが、トモ違和感からの立ち上げという事情があった前回と比較し、今回は予定通りの直行で順調さがまったく異なる。右回りに関しても2週前で動きを確認済み。もしそこで不安を感じたのなら、1週前なり最終追いなりで周回が右回りとなる木曜に追い切って修正を施すところだが、ルーティンの水曜追いを崩さず来ており陣営的には意に介していないということか。正パートナーのルメール騎手を背に、盤石の状態で2冠獲りへ。

総合評価「S」

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著者プロフィール

西村武輝(にしむらぶこう) 【重賞深掘りプロジェクト】調教ライター。競走馬の追い切り評価を専門として、ネットメディア中心に執筆を続けているフリーライター。UMAJINでは「競馬サロン」開設以前から毎週の重賞出走全頭のレポートを執筆、担当。またプロレス関連業界にも関わっており、週刊プロレスや書籍等への寄稿歴もある。