エンドが変わった後半開始。2点を追う清水エスパルスの秋葉忠宏監督は、2人の選手を敵地・ケーズデンキスタジアム水戸のピッ…

 エンドが変わった後半開始。2点を追う清水エスパルス秋葉忠宏監督は、2人の選手を敵地・ケーズデンキスタジアム水戸のピッチへ交代で送り出した。

 ベンチへ下がったのは、右のルーカス・ブラガと左のカルリーリョス・ジュニオの両MF。こぼれ球を追わなかった前者のプレーが23分の先制点に、クロスを簡単にあげさせた後者の対応が38分の追加点にそれぞれつながっていた。
 指揮官の強いメッセージが込められたと映る最初の選手交代。しかし、水戸ホーリーホックと最終的に2-2で引き分けた6日のJ2リーグ第34節は前半の段階で、選手が主導する形で同じニュアンスの檄が、清水のなかで共有されていた。
 後半開始早々の47分に、反撃の狼煙をあげるゴールを決めたキャプテンのFW北川航也が、2失点目を喫した直後にMF乾貴士が呼びかけ、自陣の中央で円陣を組みながら実施された異例の緊急青空ミーティングの意図を慮った。
「ゲームの入りからやってきたプレーは間違いなかったし、自分たちの時間帯も長く作っていたので、まずそこはこのまま続けていこう、と。そのなかで緩くなっている部分もあるし、ちょっとゆっくりプレーしたところで2失点しているから、そこは反省する必要があるし、もちろん締めていかなきゃいけない、と。それで全員の意識をあらためてひとつにさせる、といったところを望んだんだと思います」

■乾貴士がチェックした他チームの状況

 試合中にほんの一瞬でも見せる隙が、大きな代償を伴った苦い記憶がある。くしくもケーズデンキスタジアム水戸へ乗り込んだ昨シーズンの最終節。ミスから相手のカウンターを招いて水戸に先制され、何とか1-1で引き分けた直後だった。
 2位のジュビロ磐田に勝ち点1ポイント差の4位に終わり、J1自動昇格を逃した清水は、J1昇格プレーオフ決勝の試合終了間際にも痛恨のPKを献上。1-1で引き分けた東京ヴェルディが、規定により昇格する姿を見せつけられた。
 2-2で引き分けた今シーズンの水戸戦でも、代償を支払わざるをえなかった。同時間帯に鹿児島ユナイテッドFCと戦っていた、2位の横浜FCが1-0で勝利。清水と入れ替わり、勝ち点1ポイント差をつけて首位に再浮上した。
 試合後すぐに横浜FCの結果をチェックしていた乾は、2戦連続では引き分けない横浜FCの強さ、隙のなさを踏まえたうえでこう切り出した。
「そういうチーム(横浜FC)が上に来るのは、ここは仕方のないところですね」

■「どうにか勝利につなげたかった」

 さらにホームのIAIスタジアム日本平に、モンテディオ山形を迎える20日の次節で、勝てば無条件で2年ぶりのJ1昇格が決まる状況にもこう言及した。
「いつも通りのすごい応援をしてもらったし、どうにか勝利につなげたかったけど、あの後押しがあったからこそ僕たちは追いつけた。あと必要なのは選手たちの力。ファン・サポーターのみなさんも、ホームで昇格ができればさらに喜んでくれる。時間がちょっと空くけど、勝てるようにしっかり準備していきたい」
 残り4試合となったJ2戦線で、3位のV・ファーレン長崎との勝ち点差は9ポイント。磐田、東京Vとの三つ巴で最終節までもつれ込んだ昨シーズンとまったく異なる最終盤を迎えても、乾が主導したピッチ上の緊急青空ミーティングを介して気持ちを高め合った今シーズンの清水には、油断や慢心の類は見当たらない。
(取材・文/藤江直人)

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