西田、モッチラミン、平は今季注目の選手だ(C)SeaHorses MIKAWA co.,LTD. いよいよ開幕したBリーグ2024-25シーズン。シーホース三河が所属する中地区は、東地区から昨シーズン2位のアルバルク東京が、西地区から優勝を…
西田、モッチラミン、平は今季注目の選手だ(C)SeaHorses MIKAWA co.,LTD.
いよいよ開幕したBリーグ2024-25シーズン。シーホース三河が所属する中地区は、東地区から昨シーズン2位のアルバルク東京が、西地区から優勝を果たした名古屋ダイヤモンドドルフィンズが移動し、“魔境”と称される激戦区となった。
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佐古賢一チームディレクターは先日ラジオ番組に出演した際、「チャンピオンシップ(CS)のボーダーラインは40勝。怪我人が出たチームは苦戦する。大事なのは怪我人が出ることをある程度想定した上で、誰が出ても同じ戦いができること」と述べていた。
今シーズンのシーホース三河は、昨シーズンプレータイムの長かった上位10選手のうちイデソンを除く9人が契約を継続した。バックアップメンバーを含めた多くの選手がリッチマンHCの目指すバスケを遂行できることは大きなアドバンテージになるだろう。
■夏の間に急成長。兄・優大と同じ「新人賞」に照準
しかしながら、昨シーズン以上の成績、目標としているリーグ優勝を達成するためには、チーム力を底上げする新戦力の台頭が求められる。その一人として期待されるのが、昨シーズン途中に特別指定選手として加入した西田公陽だ。
CSでベンチ入りできなかった西田は、「雰囲気にビビってしまい、ここでプレーするのは今の自分には無理だと感じた」と明かしていた。それからわずか3か月。オフの間にハンドリングやシュート練習、身体づくりに心血を注いできた23歳は見違えるような姿で新シーズンの練習に合流した。
たくましくなったのは上腕だけではない。最も変化したのはメンタルだ。西田は9月に行われたプレシーズンゲームvs滋賀レイクス戦で約20分の出場時間を得ると、アグレッシブなプレーで猛アピール。「ディフェンスで貢献できて、それによってオフェンスもいい流れでできました。ディフェンスでチームに良い影響を与えることが自分の強みだと再認識できた試合でした」と積み重ねてきた努力が成果として表れたことに自信を深めた。
今季の目標は、兄であり、シーホース三河のエースである西田優大も獲得した新人賞。「新人賞の一番の評価基準はプレータイム。最近は自分の持ち味を発揮できるようになってきて、試合に出られるところまではきていると思う。ここからさらに多くのプレータイムを勝ち取れるように、今以上に何が必要なのか考えて取り組んでいきたい」と強い眼差しで目標を見つめる。
■戦術の幅を広げる、八村世代の帰化選手・モッチラミン
今シーズン加入した帰化選手・モッチラミンも戦術の幅を生み出すことができるキーマンの一人だ。「オフェンス、ディフェンスともにリバウンドのスペシャリスト」(リッチマンHC)の獲得は、昨シーズンの弱点を補う効果的な補強と言える。
さらに大きいのは、モッチの加入により、ジェイク・レイマンが最も能力を発揮できるSFでプレーできるようになることだ。「モッチ、もしくはアヴィ(シェーファー)と外国籍選手2人が同時にコートに立つ“ジャンボラインナップ”は、自分たちのシステムをさらに高いレベルに引き上げる大きな武器になる」(リッチマンHC)。
昨シーズンまで社会人チームのJR東日本秋田ペッカーズに所属していたモッチ。「彼のキャリアで最もレベルの高いチームでプレーしているので失敗することもあります。我慢強くコーチングしたい」とリッチマンHCは長期的視野で彼を育てる構えだ。
15歳で来日し、異国で数々の困難を乗り越えてきたモッチも我慢の大切さを重々承知している。
「昨日よりも今日。今日よりも明日、明後日。毎日一つでもプラスできるようにというメンタリティで取り組んでいる。自分はやれば何でもできる人。自分を信じて、みんなを信じて、我慢して努力を続ければ、“モッチタイム”は必ず来る」
■NBAコーチが認めたポテンシャルを秘める生粋の刈谷っ子
モッチの桜丘高校の後輩である平寿哉にも、「5年後に日本一のPGになってほしい」とリッチマンHCは高い期待を寄せている。刈谷市出身、シーホース三河U15の創立メンバーである平は、高校卒業後はアメリカに留学する予定だったが、元NBAコーチであるリッチマンHCに「プロの環境でプレーすることの方がトシにとってはいいのでは」とBリーグ入りを薦められ、入団を決意した。
身長178cmながらダンクを決められる高い身体能力以上に、「高い競争心や自信を持っているところが素晴らしい」とリッチマンHCは平のメンタルの強さを買っている。
「AICHI CENTRALCUP 2024」では約2分間プレーをして得点を挙げたが、「長野(誠史)さんが『トシ、ボールを持て』と言ってくれたことが大きいので、まだまだです。まずはベンチに入れるように、そして数分でも試合に出ることができたら100%の力を出し続けたい」と驕らず、でも遠慮もせず、目の前の課題と向き合っている。
優勝するようなチームには必ず、シンデレラボーイ、ラッキーボーイと呼ばれる選手が出現する。彼らがそういう存在となり、ローテーションの一角を担う選手に成長すれば、悲願のリーグ制覇も近づいてくるだろう。
[取材・文:山田智子]
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