第75回毎日王冠(6日/GII、東京芝1800m)には、宝塚記念5着、大阪杯2着の実力上位馬ローシャムパーク、3歳馬の意地を見せたいシックスペンス、昨年の勝ち馬エルトンバローズなどが出走予定。

本記事では、出走各馬の追い切りを診断し「S」「A」「B」の3段階で評価した有力馬や穴馬をピックアップ。ここでは「エルトンバローズ」を取り上げる。

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■エルトンバローズ

【中間調整】昨年のラジオNIKKEI賞で重賞初勝利を果たし、続く毎日王冠では斤量差の恩恵があったにせよソングライン、シュネルマイスターら一線級を相手に回して重賞連勝を果たした実力馬だ。GI初挑戦だった昨秋マイルCSも道中窮屈だったことを考えれば大健闘の0秒2差4着。今年に入って勝ち切れていないが、中山記念はノメる特殊な馬場状態が、安田記念は香港遠征から中4週とタイトな日程が響いた。そこから中6週で立て直された中京記念も1番人気に応えられずの3着だが、酷量59キロを背負って早めに勝ちにいったもの。復調の兆しを感じさせた一戦だったと言っていい。

秋は昨年と同じこの一戦から始動。放牧からの帰厩後9月14日に坂路15-15の初時計を出し、以降坂路とCW併用の調整が順調に進んでいる。1週前は西村淳騎手が騎乗し、CWで3頭併せ。骨っぽい先行2頭を外からマクるというかなりハードな内容だったが、ラストは豪快な伸びを示してそれぞれに3馬身ほどの先着を果たした。時計も5F65秒3(一杯)と上々。

【最終追い切り】レース当週も西村淳騎手が騎乗し、坂路で単走。ある程度走路が混雑した時間帯に追われたが、落ち着き払ってまったく力まず序盤からブレの少ないフォームでスピードに乗っていく。坂の途中で前にいた他厩舎の馬を勢いの違いであっさり抜き去り、ラストも余力たっぷりのまま1F11秒9と切れた。脚捌きもそうだが、精神面がしっかり整っていることも大きくアピールした内容。

【見解】今年前半は軌道に乗れなかったが、陣営の懸命なケアでしっかり立ち直ってきたようだ。ベスト条件と言える東京芝1800m重賞の毎日王冠に向け、帰厩後は順調そのもの。時計は昨年時と比べてもまったく見劣らない。1週前追いは昨年がインをついて先着、今年は外をマクって先着だから攻め気配は昨年以上かも。スプリンターズSでルガルを復活Vに導いた西村淳騎手×杉山晴厩舎のタッグが2週連続……はいささか話が出来過ぎな感もあるが、なんにせよ勝ち負け濃厚の好仕上がりだ。

総合評価「S」

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著者プロフィール

西村武輝(にしむらぶこう) 【重賞深掘りプロジェクト】調教ライター。競走馬の追い切り評価を専門として、ネットメディア中心に執筆を続けているフリーライター。UMAJINでは「競馬サロン」開設以前から毎週の重賞出走全頭のレポートを執筆、担当。またプロレス関連業界にも関わっており、週刊プロレスや書籍等への寄稿歴もある。