図らずもほぼ同じニュアンスの言葉が返ってきた。ホームのUvanceとどろきスタジアムで光州FC(韓国)に0-1で敗れた、1日のAFCチャンピオンズリーグ・エリート(ACLE)の東地区リーグステージ第2節を終えた直後だった。 クラブ史上で…
図らずもほぼ同じニュアンスの言葉が返ってきた。ホームのUvanceとどろきスタジアムで光州FC(韓国)に0-1で敗れた、1日のAFCチャンピオンズリーグ・エリート(ACLE)の東地区リーグステージ第2節を終えた直後だった。
クラブ史上で初めて臨むアジアの戦いで、7-3で圧勝した横浜F・マリノスとの開幕節に続く連勝を達成した光州のイ・ジョンヒョ監督から、パフォーマンスを称賛された左サイドバックの三浦颯太が特に前半の戦いを悔やんだ。
「相手のマンツーマンのディフェンスが、もうちょっとぼかしてくるのかなと思いきやガツガツできて、相手のビルドアップの質もすごく高くて、テンポもよかった」
40分にペナルティーエリア手前の左からカットインし、強烈なシュートを放つも光州のGKキム・ギョンミンにセーブされたMF遠野大弥も続いた。
「僕たちがやりたいプレーを、相手の守備にやられてしまった。僕たちも前からはめにいきたかったんですけど、前半はなかなかうまくいかなかった」
光州に関しては、マンツーマン気味に守備をしてくるとスカウティングがあった。実際にキックオフを迎えると様相がかなり異なった。右サイドハーフで先発した瀬川祐輔の言葉を聞けば、ピッチ上でいかに混乱をきたしていたかがわかる。
「僕が逆サイドに走っていっても、くっついてくるようなマンツーマンでした。そこを攻略するのがすごく難しかったというか、時間かかってしまった」
■「それでもアベレージくらいのプレーは出せていた」
それでも守護神チョン・ソンリョンの好守などで、両チームともに無得点で進んでいった一戦が動いたのは19分。自陣のゴール前でパスを受けたDF高井幸大の選択肢が、キム・ジンホに大きく制限をかけられた直後だった。
左前方に降りてきた遠野を狙った高井のパスがずれる。ボールをカットしたシン・チャンムが、すかさずキム・ジンホへスルーパスを通す。ペナルティーエリアへ侵入された直後に、慌てて追走してきたDFセサル・アイダルが倒してしまった。
「自分の判断ミスで、難しい試合展開にしてしまった印象です」
イラクのモハナド・サレー主審が宣告したPKを、アルバニア代表のヤシル・アサニがゴール左へ決めたのが22分。結果的に決勝点となったPKにつながったミスを犯しても、日本代表に名を連ねる20歳のホープは絶対に下を向かなかった。
「ミスをした後はメンタル的に厳しいところもありましたけど、それでもアベレージくらいのプレーは出せていたと思うので。またひとつ成長じゃないですけど、自分のなかでサッカーに対するものがより変わったかな、と思っています」
■高井幸大が「もっと必要」と語る戦い方
試合終盤にはパワープレーで敵陣へ攻め上がり、光州の脅威になった高井は失点後の自身のプレーをこう振り返りながら、0-2で完敗した22日の名古屋グランパスとのリーグ戦と、ほぼ同じ展開で喫した黒星を介してえた教訓にも言及した。
「この前の名古屋戦もそうですけど、マンツーマンでくる相手に対してのボールの動かし方、というのはもっと必要だと思う。自分たちは攻撃で圧倒するチームなので、前半の段階から攻撃のところはさらに質を求めていきたい」
試合を通して光州の後塵を拝したわけではない。逆境で奮起した高井は、今後への成長という点で個人的な収穫となる。さらに川崎はチームとしても、前半の30分すぎから盛り返しはじめた。相手のマンツーマンディフェンスを逆手に取るプレーの数々こそが、悔恨との代償という形で手にした進化へのヒントだった。
(取材・文/藤江直人)